『つるかめ助産院』小川糸著 レビュー
夫が行方不明になり、以前ふたりで旅をしたことがある南の島へと向かう主人公まりあ。たまたま島で出会った、つるかめ助産院院長鶴田亀子が、まりあの妊娠を察し食事に誘ったのが縁で、まりあは助産院スタッフとなる。
南の島の濃密な自然、そこで育まれた食べ物、人との交流、なにより自他の出産に向き合うことで、出自のトラウマからまりあの閉じた心が癒され、浄化されていく。
ストーリーの設定展開にやや唐突感(え?!そんな事ある?!みたいな笑)感じられた部分もあったものの、濃密な島の空気に包まれるような読書体験だった。ヒーリング作用があって、ズンズンどこまでも読めてしまい一気読み。人として根源的な、生きるということはなんだろう。そんなことを考えさせられた一冊。