『52ヘルツのクジラたち』
町田先生に惹かれる理由は、きれい事だけじゃないところです。
人生そんな、うまくいきません。
ハッピーエンドだけなら、犯罪も戦争も減ると思います。
フィクションの世界だけでも、幸せでありたい。ではなく、向き合いつつ、
その中で見つけることのできる
ほっこりする部分、幸せになれる瞬間、
涙があふれる感情を教えてくれます。
休養をかねて、田舎に引っ越してきた主人公に向けられたのは、好奇心と変な噂。
田舎の人が温かいなんて、夢です。
傷ついた子どもを助けるために一緒に悩んでも、実親がほっといてくれ。と、
言われたら手出しができません。
それが現実。
それでも、それでも立ち向かうのが
町田先生の小説のいいところです。
人間のみにくいところと、愛おしいところをしっかりと描写してくれる作家さんだと思います。