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【詩】さいごの友だち

眼に浮かび上がった風景に時が止まります
なつかしい景色がわたしを包みます
高尾山に行きましたね
鎌倉にも行きました
バーベキューもしましたね
柔らかい波が撫ぜる砂の上に
すぎた夏が立ち込めます
みどりの風が薫っていました
30代は若くないと思っていたけど
充分若かったね
今年の銀杏はいつ紅葉するでしょうか
曇り空を見上げながら
貴女がくれた手紙を読み返します
最後の友だち
貴女はわたしの服からも漂う絶望を
敏感に感じ取って
揮発して空中を漂う絶望に眼をしょぼしょぼさせて
手紙にはさようならとありました
死なないでとわたしは願いました
けれど解き放たれることは罪でしょうか
わたしを殺してくれればいいんだよ
いつの日かの彼女の言葉がわたしを貫きます
みんな、死んじゃったの
みんな、亡くなっちゃった

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