【詩】珊瑚
珊瑚のように
亀裂が入る
燃えるように赤くあざやかな
掌よ
真っ直ぐに開かないし拳もつくれない
何を掴めるというのか
おかまいなしに
母は倒れる
倒れたことすら忘れて
コトリと眠りに落ちて行く
同じ部屋で気休めの布団にもぐって
私は明日も起きるのかな
今日も起きたな
何もかもが何かの蜃気楼に見えるけど
右手の痛みがそうじゃないと訴える
詩って何
入れ墨のように私に遺ればいいや
何もかも忘れっちまったら
ノートをひらけばいいや
そうして過ごしてきたのだから
こうして過ぎていくのだろう