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カルチャーショックリハビリ日記その5「冬の鬱と戦う私」(2003)

 日本ではあちこちで桜の便りが聞かれる今日このごろ、こちら北海道は桜の「さ」の字もなく、雪が時たまちらついたりしております。日陰にはまだ雪が残っているし… でも、チューリップの葉や、クロッカスの花などが見られるようになると、ああ、春なんだな、と。

 私がロンドンに着いた1998年6月は、まさしく一年中で一番日の長い時期でした。10時過ぎまでうっすらと明るいなんて… そう、地球では緯度が高ければ高いほど、夏は昼が長く、冬は夜が長くなるのです。日本は北緯30~40度、イギリスは50度以上ですから、かな~りイギリスは日本に比べると、その差が激しいわけです。北欧に白夜という現象が起こるのは、一日中日が沈まないからであり、逆に冬は一日中日が出てこない時期がしばらくあるらしいのです。想像しただけで恐ろしいですね。どうしてかな?それは理科の先生にでも聞いてみよう!(手抜き) 

まあそんなわけで最初の夏をかなりエンジョイした私でしたが、8月にもなってくるとどんどん日が短くなってくるわけで…パブの外で飲んでいてもちょっと寂しい気持ちになってくる。つまり、夏に日が長く、冬に日が短いと言うことは、長くなったり短くなったりする幅が大きいと言うことで、毎日々々日がどんどん短くなっていくのが目に見えて分かるのです。そして9月の秋分の日を過ぎ…10月にサマータイムが終わり… 

 うおおおお!朝の8時なのに何なのよこの真っ暗な世界は?!
 これから学校に行くというのに、何故暗いの?私はめざましテレビのキャスターじゃないのよ!とワケの解らないことを言ってみた。そうなんです、真冬のロンドンは朝の8時くらいに明るくなり始め、4時にはとっぷり暗くなっているのです。
 そのせいかすっかり暗くなってしまった私。同時にイラク空爆が始まって「戦争だ!」とパニクってみたり、更に悪いことに住んでいたフラットを追い出され毎日泣き暮らしたりとますます心は病んでいく一方でした。 

 しかし、これがもし夏の出来事だったらこうはならなかったと思うのです。
 SAD(SeasonalAffective Disorder)という神経症があって、緯度の高い地域に多く、冬場に暗く寒くなってくると鬱状態になるとか…
他の友達にも「冬の鬱ってあるらしいよ~。ちょっと外で日に当たってみたら?」って言われたりして。そうか~冬のせいなのか~。なるほど、北欧で冬に自殺率が高いというのはそのせいかもしれません。
そう言えば春がやってくる頃にはそんなことをすっかり忘れて元気になっていました。冬至を過ぎて夏至までの半年、どんどん日が長くなり、サマータイムも始まり、毎日がウキウキわくわく…イギリスで一番素晴らしい季節の始まりです。これもあの暗く長い冬のおかげでしょう。太陽が出てくると、冬に浴びられなかった光を浴びようと、老若男女が肌を露出し、その辺に寝そべるのも季節の風物詩(謎)。 

 その後イギリスで3回の冬を越し、何とか乗り切った私でしたが、日本に帰ってきて冬の鬱が戻ってきてしまいました…
イギリスは緯度が高いけど、ロンドンは東京よりちょっと寒いくらい。でも北海道は…

人間の住むところじゃありません…寒すぎます…

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