水泳の安らぎ効果
私の趣味は体を動かすことで、週末の朝はマウンテンバイクやジョギングに出かけ、平日も仕事帰りに公園でジョギングしたり、ジムでインドアバイクに乗ったり、プールで泳いでから家に帰ることが多い。去年の夏にランニング好きの友達に誘われて今年2月のトレイルハーフマラソンに申し込み、9月ころからはとにかく完走できるように走れる距離を伸ばさなければならない!との一心でランニングを優先してきたのだが、これが思いのほかしんどかった。トレランは好きなのだが、なんというか気ままにその日にやりたいと思った運動をする自由がなくなり、本当はマウンテンバイクに乗りたいけど、今日走っておかないと・・・など「走りたいから走る」から「走らなければならない」という考えに縛られ、水泳やマウンテンバイクの時間を削ってランニングに充てるようになった。それで本来ストレス解消目的で楽しく走っていたのが、だんだんストレスになっていった。レースになんて出なくてよかったのにという思いが出てきた。そんな中、1月に入って少し膝痛が出たときはなんとかレースをキャンセルする(参加費用を返金してもらう)方法はないかと思案したりした。
それでもなんとか2月のトレランを無事完走し、それはそれで満足だったのだが、それよりもまたマイペースに体を動かせる自由を取り戻せたのが何より嬉しかった。「自由」「自分の好きでやっている」そういった感覚が私にはとても大事なのだ。それでまた週一くらいのペースでゆるく泳ぎに行くようになったのだが、泳がなかった期間を経て水泳が他のスポーツにはない体や精神面で与えてくれる安らぎ効果みたいなものを改めて実感し「やっぱり水泳って良いな」と思ったのでその良さをいくつかまとめてみたい。
まず一番の効果は泳いだあとの体のほわほわ感。
私が大人になってやっぱり泳げるようになってみたいと思ったきっかけはこのほわほわ感だ。夏休みで家族旅行に出かけ、ホテルのプールで子供たちを遊ばせて自分も水の中で1時間くらい過ごした。プールから上がってきてその午後はなんだか体全身が心地よい疲労感に包まれた。ああ、この感じ、小学校の夏休み、プール遊びした帰りはいつもこんな感じだったなと思い出した。プールで30分くらい泳いだあとは体全身がゆるんでホッとしたような感覚になる。体がほわっとしているのでこころも頭もゆるむ。これがなんともいい。仕事でちょっとぐったりした日も泳いだあとは体も頭もゆるむ。プールから帰るときにはその日の仕事のことはすっかり遠い出来事のように思える。この状態で家に帰ると、娘や夫のことで少々イラっとすることがあっても「ま、いいか」と受け流すことが出来る。このゆるみは他のスポーツでは得ることのできない感覚だ。
2つ目は安眠効果。
運動した日としない日を比べるとやはり運動した日の方がよく眠れる。していない日も疲れて眠りにつくのだが、眠りの質が違うので起きたときの目覚めの良さが違う。その中でも水泳の安眠効果はずば抜けて高い。いつもより深い眠りで長い時間寝れている感じがあり、目覚めも心地いい。先週末は疲れていて、いつもなら土曜日の朝は7時半くらいまでには起きて何かしら運動しに出掛けるのだが、その日は出かけずに朝は家でゆっくりすることにした。9時ころ遅い朝ごはんを食べて背もたれの倒れる一人掛けソファーで読書していたら、眠気に襲われて結局お昼近くまでウトウト眠ってしまった。めずらしくちょっと頭痛がする程の寝すぎをやった。そこから子供の昼食の準備をして自分も軽く食べて、午後にジムへ行って泳ぐことにした。平日だとなかなかゆっくり時間が取れずにささっと泳いで帰ってくるので、久しぶりに時間をかけて1時間半ちかく泳いで帰ってきた。いつもよりたくさん泳いだせいもあるが、午前中ダラダラと寝て頭痛がするほどの寝すぎをやったのにも関わらず、夕方になったら全身の心地よい疲労感でまたひと眠りしてしまった。水泳の疲労感はどこかがバキバキするような痛みのある疲労感ではなく、体全身がじんわり暖かく重たく感じるような疲労感だ。その睡眠導入効果が半端ない。
3つ目は循環が良くなること
水圧のせいなのか何故なのかはわからないが、泳いだ後は体中の循環がよくなっていると感じる。いつもは寝るときに足先が冷たいのが気になるのだが、泳いだ日の夜は足先がポカポカしている。寝る前に軽くストレッチをするのが私の20代からの習慣なのだが、40歳超えてからは足先の冷えが気になるのと、寝ていても疲れが取れにくい=眠りの質がよくない気がしていた。ストレッチを軽いヨガに切り替えて5分か10分くらい血液の巡りを促してから寝ると眠りに入りやすくなったのだが、泳いだ日は何もしなくても寝るときから朝まで足元がポカポカしてずっと良く眠れる。泳いだ日の翌朝もまだ体の巡りが良いらしく目覚めに10分くらいヨガストレッチすると、体を動かして2、3分でじんわり汗ばむくらいに体が温まるのが早い。
4つ目はマインドフルネス効果
水泳は他のスポーツと違って好きな時好きなように呼吸ができない。だから、泳いでいる時間はずっと呼吸をコントロールしなければならない。泳ぎ慣れると意識しなくなるとはいえ、体の動きと呼吸が連動していなければ水を吸い込むことになる。リズムの整った呼吸をし続けることで精神も沈静化される。それから、泳ぐときにこの100mは腰が反らないように気をつけてみようとか、この100mはキックのリズムに気をつけて泳ごうとか課題を決めて泳いだりするのだが、水の中だからなのか2つ以上のことに気を配りながら泳ぐのはとても難しい。だから泳いでいる時間はその都度1つのことにしか気持ちを集中させることができない。ただその一つのことに集中しながら丁寧に動作を繰り返し練習する。そういったシンプルな時間が頭や気持ちの整理をしてくれるような気がする。
トレランのトレーニングでしばらく水泳から遠ざかる期間があったので、また泳ぎ始めて改めて水泳の癒し効果の大きさを感じている。体を鍛えるとかカロリーを消費して体重管理という側面もあるけれど、私にとっての水泳の魅力は体全身と精神面にも大きな安らぎ効果があるという点だ。楽しく泳ぎ続けるために小さな課題や目標を立て、泳いでいるなりにちょっとずつでも上手に速くなりたいという気持ちもあるが、日々の生活のなかで自分の体とメンタルを良い状態を保つのに水泳はとても大切なものだと再認識できた。これからも水泳をずっとやっていきたい。