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こうして学びは続いていく


今年の3月、私は大学の通信教育部を卒業した。
学んでいたのは心理学だ。


子育てを卒業したらやり残したことに挑戦する。

これはいつからか漠然と掲げた目標だった。やり残したことの大きな1つが心理学の学び直しだった。実は既に一度心理学を学んでいる。卒業はしたものの、若かりしあの頃は解放感からアルバイトやサークル活動に全力投球してしまい勉学に集中できなかった。親に無理を言って行かせてもらったこともあり、このことは私の中で大きな心残りになっていた。


子供の時から人の心について興味があった。私自身が大人びた子どもだったこともあって、友達との考え方の違いや周りの大人との関係から派生して、心についての疑問を持っていた。心とはなんだろう。どうあれば幸せでどう捉えるのが正しいのか。
道徳でも保健の授業でも、親や先生からも答えが得られないモヤモヤ。それを解決してくれそうな学問が心理学だった。

学び直しの時期がやってきたのは3年前の秋。時はコロナ禍だった。
願書と小論文を提出し、無事に入学が決まった。
色々調べてみると、大学の通信課程はどの大学も当初の予定年数で卒業しない(できない)率が高い。孤独な学びに加えてタイトなスケジュールが主な要因らしい。
入学前にマイナスな情報を知ってしまったものの、ずっしり重い段ボールで教科書や副教材が届くと心が弾んだ。
私が学ぶのは専門教科のみ。それを2年間で修得する3年次編入という形だ。卒業に必要な単位数を計算すると2年で20教科以上学ぶことになる。

春になり授業が始まった。
科目ごとに授業をオンライン視聴し自習して単元テストを受けレポートを提出する。合格すると次の単元に進む。ひたすらこれの繰り返しだ。教科書一冊を勉強し終えたら単位認定テストを受け、合格したら科目修了となる。
早めに進めるためには1日3〜4時間の自習が必須だった。

忘れていた勉強方法、落ちた記憶力を呼び覚まし奮い立たせた。時々zoomで仲間との交流はあったもののハードで孤独な学び時間。あの頃誰もが動けない世の中だったから耐えられたのかもしれない。継続して前向きに取り組めたのは、勉強できるありがたみや幸せを噛み締められる年齢になっていたからかもしれない。


2年間で21教科を学んだ。各教科から様々な気付きと学びを得た。抱いていた疑問やモヤモヤが鱗が1枚ずつ剥がれ落ちるように解決していった。
心の発達の差異について。まるごとの自分を受け入れる姿勢。自分の評価の所在を内側に置く捉え方。他者に依存しない考え方。



正義感が強く独り葛藤してしまう自分の殻をずいぶん破れたような気がする。自分や他者を俯瞰で見ることができるようになり、心が軽くなり視野が広がった。



今や◯◯心理学と名がつくものは無数にあり、心理学は他分野にどんどん広がりつつある。数十年前に比べて格段に進歩している。しかし、「心理学って人の心が読めるようになるの?」と質問されることもある。スピリチュアルに紐づくものと捉える人も多い。一般的にはまだまだ浸透していないと感じる。


心理学は大学で初めて学ぶ学問だ。心を目で見ることはできないため、人間の行動を対象にして科学的に分析する。生理心理学では脳という臓器のミクロな視点から、社会心理学では社会の中の1人としてマクロな視点から見つめる。文系であり理系でもある。社会を生き抜くうえで知っておくべき学問だと思う。


もっと心理学を身近に感じてほしい。学び終えて最初に思ったことだ。


卒業した翌月からnoteで発信を始めた。心の内を言葉にするという私にとって勇気がいる新たな取り組み。学び直しをしなかったらここには辿り着かなかっただろう。
学びはゴールに辿り着くと次の何かに確実に繋がっている。バトンを繋いでいくように人は学び続けるのかもしれない。



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