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スマホをきれいに使いたい

都会のど真ん中を颯爽と歩く、長澤まさみ(仮)みたいなかっこいい女性になりたい私。

全身キレイにしている人はきっとスマホもキレイにしているんだろう。私もそういう細やかなところにも気を遣える人になりたい。

と言いながらも、私のスマホはすぐに汚くなる。
落として割るなんてことはしょっちゅうで、ケースをつけても護られていない画面側は普通に割れるし、保護シール貼ったとしてもそれを通り抜けた衝撃で画面が割れる。いちばん最近で言うと、もうケースも保護シールも信用できないってことで施してもらった全面コーティング。これもなぜかコーティングを通り抜けて中だけがボロボロに割れて、ピカピカのコーティングの中で割れた破片がスノードームみたいにシャラシャラ踊ってた。こんなにもエモい気持ちにならないスノードームがいまだかつてあっただろうか。

スノードームといえば、私のスマホの画面は薄く雪が積もったように白んでいる。これだけで気づいた人がいれば、それは仲間なのかもしれない。そう、原因は手垢。人より汗っかきな私は、その分手垢が付きやすく、画面が汚れるのは一瞬なのだ。

いつか聞いた、ファーストフード店とかに置いてある紙ナプキンで拭けばキレイになるとかいう情報。あれを信じて意気揚々とファーストフード店で試したこともあった。情報に嘘偽りはなく、キレイになった。ただ、次にスマホを触るまでの間に限り、だ。全体がキレイになった分浮き上がるように目立つ汚れ。触るたびに拭くなんて車のワイパーみたいなことを一生やってるわけにもいかないし、すぐにやめた。

そんなわけで私のスマホは、スノードームを背負って画面に雪を積もらせた状態をもうしばらく続けている。今や傷を付けないためではなく傷を隠すためにカバーをつけているし、画面には全面に手垢をつけることでそういう保護シートをつけている風を装うようになった。

おそらく潔癖症の人なんかは、この文章を見ただけで発狂して消毒用アルコールを持って追いかけてくるのではないだろうか。おそらく新種のアルコールハラスメントにもなり得るだろう。

ハラスメントといえば、ターゲットになった人は徹底的に追い詰められるとよく耳にする。それが事実であれば、いくら私が気配を消して身を潜めて生活していても、潔癖症の人に一度見つかれば消毒用アルコールを持って執拗に追いかけられる可能性が高い。しかも街中には潔癖症の人なんて数え切れないくらい生息しているだろうから、ちょっと出歩いただけで潔癖症の人たちがゾンビのようにウヨウヨと群がってくるのだろう。

いやまあ、普通に考えたら逆なんだけど。私が街を汚染しているゾンビで、私がアルハラゾンビとしている人は正常な人間。

どちらにせよのんきに外をうろつこうもんなら退治されるのには変わりないわけで。そんな想像をしていたら、なんだかポストの郵便物を確認しに行くくらいのことさえ怖くなってきた。私のスマホが汚いばかりに。

ただ一発逆転があるとすれば、あの千と千尋に出てきた河の神のパターン。あれはお風呂だったけど、私の場合は消毒用アルコールをぶっかけられることで垢という垢が落ちて本来の私が出てくる、というような。その本来の姿が長澤まさみだったなら言うことなしだ。一気に自分の理想の姿へと飛び級昇格。知らない人にいきなり消毒用アルコールをぶっかけられたことも「善きかな善きかな」って広い心で許せるだろう。

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