事業ポートフォリオを作って、選択と集中をしよう。
確実に利益を生む投資がある!?
限られているリソース(ヒト・モノ・カネ)をどこに投下するかというのは会社の中でも、最も難しい決断の一つです。
無尽蔵にリソースがあれば良いのですが、企業は限られたリソースを経営戦略としてどこか一つあるいは複数の商品・サービスに重点的に配分しています。
しかし、社長や役員の鶴の一声で、利益を生み出さない商品開発に多くの費用を回していたり、人手が足りない部署を放置する一方で潤沢に社員がいる部署があるなど、ビジネスパーソンであれば誰しも、その会社の方針や配分に疑問や不満を感じたことがあるのではないでしょうか。
このリソースを正しく配分するために重要となるのが「ポートフォリオ」という考え方です。
ポートフォリオとは本来金融用語で、複数の金融商品を組み合わせて投資することを指します。
例えば、ローリスク・ローリターンの大企業A社の株と、ハイリスク・ハイリターンのベンチャー企業B社の株を■:▲の割合でポートフォリオを組むことで、リスクヘッジしつつ利益を確保するといった使い方をします。
結論から言うと、タイトルのように確実に利益が出るといううまい話はありませんし、誰にも保証はできません。
しかし、ポートフォリオの組み方によっては、リスクを限りなく減らして、利益を出す可能性を追求することはできるのです。
経営にもポートフォリオの概念を。
さて、本題に戻りましょう。
会社もポートフォリオという概念で見てみるとどうなるでしょうか。
日本を代表する商社である三菱商事株式会社では、エネルギー、素材、自動車、食品、不動産…様々な分野の事業のポートフォリオを組んでいます。
また、小さなパン屋さんであっても、食パン、カレーパン、アンパン、ドーナツ、サンドイッチなど様々な商品を取り扱っているのではないでしょうか。
これのどこにウエイトを置くかを考える時の参考となるフレームワークが、プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)です。
「プロダクト」となっていますが、商品単位でなくても、事業所単位、事業分野単位など、様々なものに応用することができます。
このPPMに当てはめると、自社の商品や事業が一律同じ位置にいるということはないはずです。
自社の収益の柱となっている花形商品もあれば、目が出ない負け犬商品もあるでしょう。
経営は感覚や勘でやるものではなく、客観的・合理的に行うものです。
経営分析をするにあたっては、PPMを利用して自社の商品や事業を見つめなおしてはいかがでしょうか。
どこにリソースを投下すべきか。
PPMを利用し、自社のポートフォリオの中で、その製品やサービスのポジションを確認することができたかと思います。
では、それらの製品をどのような方針で取り扱えば良いのでしょうか。
その一つの考え方がビジネススクリーンというフレームワークです。これれをPPMに重ねることで、その製品を今後どうすべきか判断する材料とすることができます。
以前「イノベーションのジレンマ」の話を書きましたが、経営者は、往々にして、過去の成功体験や既存のシステムに捉われがちです。
当然のことながら、負け犬ポジションにある製品は、利益を生まない金食い虫なので、削減あるいは撤退というのが定石です。
先ほどのパン屋さんの例であれば、カレーパンに力をいれて、アンパンをやめるというのも一つの戦略になるのです。
それが思い入れのある商品や創業以来の伝統であったとしても、将来性もなく、利益を生まない商品やサービスは、勇気をもってやめるか小さくし、その分もっと有望な分野に投資していきましょう。
ゼロベースで物事を見つめなおし、メリハリをつけてリソースを割り振るのが、正しい経営のありかたです。
つまり、「正しい選択と集中」をしましょうということです。
リソースが限られた中で、間違えた選択と集中を行うことほどもったいないことはありません。
リソースには限りがあるのだから、すべてに万遍なく割り振るのではなく、有望な特定の分野を中心に投下すべきであるということです。
経営者は、最後は腹をくくって、自社のポートフォリオをどうすべきか決断をくだしましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも皆様のお役に立ち、新たな気づきや思うことがあると幸いです。
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