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連作短歌「渦」

なんとなく壁に触れてはいけないと思って暮らす六畳一間

僕たちはネットの中も現実の一部とみなす逃げ場所はない

住んでいる場所が近いというだけで兄弟みたいな扱いしてた

この詩からお前が得るべき教訓は一つとして無いそのまま帰れ

僕が月ならあの人はパンジーだ 今日も駅には人が溢れる

諦めろ 半紙に垂れた墨なんて表面積の僅かじゃないか

この風邪がなければ無かった幸せも受け入れ難いしんどさの咳

長すぎて忘れちまった文頭に君の名前があった気がする

形などなんでもよかった君にだけ届けばよかっただから殴った

ネジ一つ取れたベッドはどこよりも軋むからまた思い出せるね


余談

こちらの連作「渦」は、本当にくだらない裏話になってしまいますが、ピース又吉のYouTubeチャンネル「渦」をゴロゴロしながら見ている時に書いた短歌の集まりとなっています。
ですが、良い具合にどんよりと暗い短歌ばかりで、心象風景として「渦」という言葉がぴったりだな〜と思ってタイトルとしました。
咳の短歌があるのでタイトルの「渦」が「コロナ禍」に結びつけられてしまったらやだな〜と思ったのですが、字も違いますし、意図としてはそうではないです。
自分のお気に入りは、「なんとなく壁に触れては〜」と「長すぎて忘れちまった〜」です。

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