「会社の不満」が「仕事の成果」に変わる!商売思考のすすめ
はじめに
こんにちは。
株式会社エイチームコマーステックの望月と申します。
株式会社エイチームコマーステックは、名古屋に本社がある株式会社エイチームの100%子会社で、私は代表を務めています。
私は社会人経験20年以上となかなかのベテランになってきましたが、3年前に設立されたばかりの若い会社で経営デビューし、日々奮闘中です。
そんな経営者として未熟な私が、成長するために様々なインプットや思考を繰り返す中で、気づいたことや分かったことなどを発信するnoteを毎月書いています。
どんなことを伝える記事か
仕事終わりに飲みに行くと、会社の愚痴で盛り上がっているビジネスパーソンを見かけることがあります。
他人の話に興味はないのですが、お酒が入り、集団であることも手伝って大きくなった声が、無関心の壁を突き破って耳に入ってきます。
「うちの会社はスピードが遅い、このままじゃだめだ」
「◯◯さんという上司がなぜあのポジションなのか理解できない」
「会社が決定した◯◯について、全然納得できない」
「会社はもっと自分たち社員の意見を聴くべきだ」
このような話を耳にしたり、なんなら自分自身が当事者となって会話に参加した経験が誰しもあるのではないでしょうか。
この光景を見るたびに、私は心の中で「もったいない」とつぶやいてしまいます。
それは、優等生的な思考ではなく、ビジネス感覚としてそう感じるのです。
この記事では、会社に抱く不満と効果的に向き合う私なりの考え方を説明するものです。
周囲から「変わっている」といわれるキャリアの中で得た考え方で、誰からも共感されるものではないと思いますが、どなたかのお役に立てれば幸いです。
※内容は私個人の解釈であり、所属組織とは一切関係ありません。
仕事と商売
私はこれまで、複数の職種を経験してきましたが、あえて自分の仕事を一言で表すなら「商売人」だと思っています。
なぜなら、生まれてから社会に出るまでつねに商売を意識する環境で育ち、また社会に出てからも「独立自尊の商売人」になることを求められてきたため、仕事を商売として考えることが習慣化しているからです。
「商売として考える」をもう少し詳しく分解すると、「お客さんになにを提供し、いくらの対価を頂き、結果がどうなっているか」となります。
現代では、受益者負担の原則がやや複雑になっていることで、誰が「お客さん」なのかが曖昧になっている人がいらっしゃるかもしれませんが、私がいうお客さんとは、あくまでも「対価を支払う人」です。
私はこの歳になるまで、所属組織や立場は変化したものの、一貫して会社に雇用されてきました。
子会社の代表をしている今でも、株主(親会社)から委任されている存在であり、本質は変わっていません。
つまり、仕事を商売として置き換えた場合、私のお客さんは所属する会社だということです。
皆さんは普段、生活を維持するため、生活をよりよくするために財やサービス(まとめて商品といいます)を手に入れ、対価として代金を支払っています。
会社の視点に立っても同じことで、会社を存続させるため、成長させるために手に入れる一つの商品が労働力であり、その対価として給与を支払っています。
この考え方で自分たちの視点に立つと、私たちが会社で働いていることは、「会社を相手に商売している」といえます。
少なくとも、私は20年以上そのような商売思考で捉え続けています。
自分というお店
私たちは労働力という商品を、会社というお客さんに提供し、商売しています。
単に労働力といっても、その中身には複数の種類があり、その取り扱いは世の中にあるお店と同様に、人によってさまざまです。
どんな商品を取り扱うか、それをいくらで売って、その結果お客さんと自分自身がどのような豊かさを享受するのかは自分自身で考えて決定し、コントロールすることができます。
自分というお店において、取り扱う商品(労働力)は大きく分けて3つの種類があります。
一定の時間を提供すること
特定のタスクをこなすこと
新たな問題を発見する、もしくは解決すること
「1」は、仕事内容やその結果に関係なく、決められた時間その場にいることを商品として提供しています。
「2」は、職種ごとに発生する仕事のうち、分解され割り振られた特定の業務の処理を商品として提供しています。
多くの場合、かかる時間や生み出される結果が一定となるように、内容や手順は標準化されています。
「3」は、解決することで価値が生まれる問題の提起や、それを解決することを商品として提供しています。
経営者や責任者、企画職など、これまでなかったものを生み出す職種が代表的ですが、ミクロで見れば業務フローの改善なども含まれます。
これらにも市場原理はあてはまるため、お客さんに需要があれば商売として成立し、なければ商品としての価値が出ません。
また、需要に対して供給が不足していれば値段は上がり、逆であれば値段は下がる、もしくは売れなくなります。
会社と社員の関係を考える上で、自分を商店とした場合の考え方として理解してください。
不満の扱い方
冒頭で触れた、会社の不満を愚痴ることがなぜもったいないのか、について説明していきます。
まず前提として、商売においてお客さんとお店は取引関係であり、プライベートな関係ではありません。
家族や友人などプライベートな関係は、替えがきかない存在なので、お互いに不満がないか気を配り、あれば解消しようとするものです。
一方で、取引関係においては、お客さんとお店は双方がオンリーワンの存在ではないため、不満があればその相手との取引をやめ、他を探せばいいだけです。
特に商売では、買い手が意思決定をするケースが多く、売り手である社員が買い手である会社の不満を愚痴っていても何も変わらず、もったいないと感じるのです。
では、その不満をどう扱うのが効果的なのでしょうか。
前の章で説明したとおり、問題発見と解決は価値のある商品です。
不満はそのままではなんの価値もありませんが、建設的な思考でお客さんにとって価値のある問題や解決策に変換できると、会社の状況が改善されるだけでなく、自身の報酬や役割などその後の取引にも良い影響を与えるような、成果を生む種になります。
せっかくの種を手に入れたのに、それを効果的に育てようとしないので、もったいないのです。
ここまでの話は抽象的なので、冒頭に登場した「会社のスピードが遅く、このままではまずい」という不満を具体例に説明していきます。
この不満を建設的に考えると、「会社のスピードが早くなれば、危機が回避できる/より良い結果が得られる」となります。
不満の状態よりも会社にとって価値のあるトピックスに近づいたと思いませんか?
ここからさらにブラッシュアップしていきます。
お客さんにとって価値があるかどうかを判断してもらうには、必要な情報を揃えた上で提案する必要があります。
例えばこのケースでは、以下のような情報が必要です。
どこを見て遅いと感じるのか
何のスピードを基準に置いているのか
基準と比較してどの程度遅いのか
今のままのスピードだと何が起こるのか
それはどの程度確からしい予測なのか
解決するとどのようなメリットが生まれるのか
どうすれば解決できるのか
解決にはどの程度の時間、人手、お金が必要なのか
これを見て「こんなに面倒なのか」と感じられたかもしれませんが、商売において、商品の価値を詳しく知っているのはお店側であり、その知識差があるからこそ、それは売り物として成立するのです。
多くの人はこれを面倒と考え、不満を不満のままにしてしまいますが、会社をお客さんと捉え、不満を問題に変換し、お客さんが理解できるように情報を揃えて伝えられている人が、不満を仕事にし、成果につなげているのです。
最後に
長文になってしまいましたので、これまでの要点をまとめます。
会社への不満を愚痴るだけではなにも生まれず、もったいない
自分の仕事を、労働力を売るお店と考える
自分と会社の関係をお店とお客さんとして考える
会社への不満を、解決すると価値が生まれる問題に変換する
お客さん(会社)に理解されるために必要な情報を揃える
結果としてお客さん(会社)とお店(社員)の双方が豊かになる
誤解のないように補足しますが、決して会社に不満を感じることや、愚痴をいうことが悪いとはいっていません。
人間なので、感情が揺れることはありますし、会話の中でつい愚痴がでることもあると思います。
ただ、高い価値を生むアイデアかもしれない種が、ただの愚痴として捨てられてしまうのがもったいないというだけです。
この記事が、どなたかのネガティブをポジティブに変換し、世の中が少しだけよくなるきっかけになれば幸いです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。