「面接の準備って結局なにすればいいの?」最終面接官の私がおすすめする二つのこと
はじめに
こんにちは。
株式会社エイチームコマーステックの望月と申します。
株式会社エイチームコマーステックは、名古屋に本社がある株式会社エイチームの100%子会社で、私は代表を務めています。
私は社会人経験20年以上となかなかのベテランになってきましたが、3年前に設立されたばかりの若い会社で経営デビューし、日々奮闘中です。
そんな経営者として未熟な私が、成長するために様々なインプットや思考を繰り返す中で、気づいたことや分かったことなどを発信するnoteを毎月書いています。
どんなことを伝える記事か
私は現在、新卒採用と中途採用の最終面接であり、過去の会社での経験も含めると、累計で1,000件以上の面接に立ち会ってきました。
面接の中で行われるたくさんの質疑応答を通して、もったいないと感じることが度々あります。
面接に向けて準備をされているのは伝わるのですが、その内容が本質を外してしまっていることで、正しい効果を生んでいないのです。
この記事では、面接官の目線で効果的な面接準備とは何かをできるだけ整理して解説します。
体系的なノウハウではなく、あくまでもいち個人としての解釈を過分に含んだ内容となっていますが、新たな活躍と成長の場を求めるビジネスパーソンのお役に立てば幸いです。
面接は相性を確かめあう場
面接は、新卒でも転職でも、働く人々にとってキャリアの分岐点となる重要な機会です。
なぜなら、面接の本質とは、求職者と会社の間で価値観や期待する/される役割、要求される能力や保有する技術、そしてそれに対する報酬が、相互にマッチするかを確認する場だからです。
その本質を理解したうえで準備に取り組むのであれば大きな問題はないのですが、残念ながら多くの求職者はその不安から「面接の正解」を探してしまうようです。
私が新卒として就職活動に取り組んだ20年以上前には、面接前に「面接対策本」を読むのが一般的でしたし、現在では本以外にもYoutubeなどの動画を検索すれば「面接ではこれをしろ!」という内容がたくさん存在します。
もちろん、中には的を射ているアドバイスもあると思いますし、その通りに準備をして面接を通る人はいると思います。
ただ、面接官としてお話しを聞く中で、「この答えは本当にこの人自身の言葉なのか?」という違和感を持ってしまうと、お互いの相性を確認する場が成立しなくなってしまうケースがあるのも事実です。
同じく時間や労力を投じて面接に向けて準備をするのであれば、本質から外れた画一的なアプローチは避けたほうが効果的です。
おすすめしたい二つの準備
本質的な準備とは、大きく分けて二つの方向性があります。
それは、「志望する会社を徹底的に知ること」と「自分のことを徹底的に知ること」です。
なにを当たり前なことを、と思われたかもしれません。
言葉にすると簡単ですが、これらを実践するのはかなり難しく、それなりの労力や苦労が伴います。
というのも、私が担当する面接で、この二つが十分に準備されていると感じることは珍しく、多くのケースで不十分だと思うのです。
例えば、志望する会社を徹底的に知ろうとすると、あなたは何をどこまで調べますか?
ホームページを見て、トップのメッセージや会社の理念を読む。
もしくは取り扱っているサービスを把握する。
上場会社であれば決算説明資料を読んで、業績が伸びているのかなどを調べると思います。
また、自分のことを徹底的に知ると言われて、あなたは自分自身のことを誰よりも知っていると思うかもしれません。
これまでに一番頑張ったことは何か。
チームで取り組んだことは何で、自分の役割は何だったか。
自分の強みは何か、会社で生かせる能力は何か。
きっと、これらの自己分析は終わっており、いつ聞かれても答えられるようになっていると思います。
私がおすすめする「徹底的に知る」では、これらの準備では不十分であり、さらに踏み込んだレベルを求めています。
ちなみに、会社と自分は両方とも深く掘り下げたほうが準備として効果的ではあるものの、志望する会社によっては情報が入手しにくかったり、人によって(特に学生)は振り返る材料が少ないなど、人によって状況が異なるため、難しい場合はどちらか一方だけでも取り組むことをおすすめします。
志望する会社を徹底的に知ること
さきほど、ホームページで見た情報を把握するだけでは不十分かもしれないとお伝えしましたので、その詳細を説明していきます。
この説明は、面接の本質が相性の相互確認であることを前提としています。
その点に納得されない場合は、あまりしっくりこないかもしれません。
まずはじめに、会社を徹底的に知ることの目的は、シンプルに「求める人物像を高い解像度で把握すること」です。
トップのメッセージや理念、サービスの内容や業績を知っているだけでは、その目的は果たされません。
大切なのは、そのインプットを元に、会社がどんな人物像を求めているのかを高い精度で推測することです。
例えば、決算説明資料に、その会社の業績が低迷していることと、特定の領域で新規事業を立ち上げて再起を図っている旨が書いてあったとします。
当然ですが、会社としては業績の回復が最優先なので、この新規事業への期待と意気込みは高いものと想像できます。
では、この会社ではどのような人材を求めているのかを考えてみます。
その領域の専門知識を持っていること
新規事業を成功させた経験があること
自ら動ける行動力や判断力があること
指示待ちではなく、考えて提案できること
新しいチームをまとめるマネジメント経験があること
業績が落ちた会社を立て直した経験があること
雑に考えてみましたが、この二つの情報だけでも仮説はたくさん出てくると思います。
そして、出てきた仮説が正しいかを判断するために必要な材料もわかってきます。
募集しているポジションの具体的な役割
社内に不足している具体的な知識や領域
既存社員の行動や意識への課題感
新規事業のチームが立ち上がった背景や組織構成
プロジェクトの進行状況や現状の課題
仮説を裏付ける材料がわかれば、採用担当者やリクルーター、中で働く社員、初回の面接官に質問し、新たな情報を引き出していきます。
そうして、求められる人物像がわかれば、あとは自身のどの部分がその要件を満たしているのかを面接で説明すればいいだけです。
もちろん、仮説が当たっていれば、会社が求める人物像そのままと判断されて採用に至れるため、最良の結果です。
一方で、仮に仮説が外れていたとしても、会社側は一連のプロセスからあなたの価値観や能力を知ることができるため、入社してからの動きが想像しやすく、相性がいいと判断される可能性があります。
自分のことを徹底的に知ること
面接は、合計してもわずか数時間という短い時間の中で、面接官が会社とあなたの相性を判断する場です。
限られた時間の中で、自分自身を正しく理解してもらうために自己開示する難易度は、決して低くありません。
極論を言ってしまうと、あなたの特性は、世界で唯一あなただけのもので、それらはこれまでの人生で段階的に形成され、積み上がってきたものという理解が必要です。
例えば、「コミュニケーション能力が高い」と言っても、それが人と積極的に関わる姿勢を指すのか、論理的思考を指すのか、言語化能力を指すのか、抑揚のある話し方を指すのかなど、無数に分岐します。
そして、その特性が生まれた背景についても、家族の影響を受けた人もいれば、本を読んで学んだ人や、全くの他人の言動から気付かされた人など、様々な場面があると思います。
特性の分岐と、それらを生み出した背景は世の中に全く同じものが存在しない、世界で唯一のものです。
このように、「どんな特性」」「どんなイベント」で生まれたのかを丁寧に振り返って整理していくことが、正しい自己開示を実現する方法です。
これには、誰しもが持っている「自分はこうでありたい」という思いをできるだけ抑え込んで、たとえ不格好でもそのままの自分を言語化するということも大切です。
もう少しわかりやすくするために、私自身の過去を一部紹介します。
私は新卒で就職した際に、強い出世欲を持っていました。
当然ながら私にとって就職は人生で初めてのイベントなので、どこかで身についたものでも、ましてや先天的に出世欲が強い状態で生まれてきたわけでもありません。
そこで、過去を振り返ってみると、学生時代のアルバイトで、先輩の正社員の方から受けた指示に納得できず、いつまでも消化できなかったというイベントに突き当たりました。
つまり、当時の私は、「学生時代に先輩から受けた指示に納得できなかった」というイベントから、「早く誰にも指示されない立場になりたい」という価値観が芽生えたことがわかります。
このように、出世欲が強い、という言葉だけだと胸を張って人に伝えにくい特性なので、曲げようとしたり隠してしまいたくなりますが、ありのままを振り返ってください。
こういった、個人の特性とそれが生まれたイベントを、物心つくところから現在にいたるまで振り返ることができれば、自分自身を点ではなく線や面で理解することができるため、面接官に正しく判断してもらえる材料を提供することにつながります。
最後に
長々と書いてしまったので、お伝えしたかったことをまとめます。
面接とは、会社と求職者がお互いの相性を確かめる場であること
必要な面接の準備は、画一的な対策ではなく会社と自分を詳しく知ること
会社を詳しく知るとは、複数の情報から求められる人物像を予測すること
自分を詳しく知るとは、特性とそれが生まれたイベント線で振り返ること
これを読んだあなたは、もしかしたらキレイごとだと感じるかもしれません。
私も大学時代が就職の超氷河期であったり、初めての転職はタイミングを間違えて一ヶ月無給だったりと、働く場所がないことへの強い不安を感じたことがあるため、その気持ちは理解できます。
そんな状態では、相性のいい会社を求めるよりも複数社からの内定が欲しくなってしまうのもわかります。
しかし、20年以上の社会人人生で様々な人を見てきて断言できるのは、最も不幸なのは相性が悪い会社でがまんして働き続けることです。
自分にマッチした環境とそうでない環境では、成長や経験、キャリアや給与など、あなたが手にするものは何倍も変わってしまいます。
また、相性が悪い状態で過ごしてしまった時間は、あとからどれだけ努力しても取り戻すことはできません。
そうならないためには、焦る気持ちに負けず、内定という入口よりも活躍できるか楽しめるかといった中身に目を向けて、面接の準備に取り掛かることをおすすめします。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
この記事が、これから面接に臨むビジネスパーソンのお役に少しでも立てば幸いです。