しごと
「俺たちの時代は24時間働くのが当たり前だったから」
と、言うのはとある優秀な女性が会社の上の人から言われた言葉。
それを聞いた女性は、ブラックな環境で働いていたことにいまだ誇りを持っている人間が上にいると会社は変わることが難しいんだなと実感したという。
私が以前働いていた会社もそうだったなと思い出す。
ブラック企業は所詮ブラックで、どんなにホワイトに近づけようとしてもグレーにしかならない。
上の人間は自分がやってきたがむしゃらな時代をいつまでも否定したくないのだろうな、と薄々感じながら働いていた。
彼女は私の娘と同じくらいの子供がいて、夫はいつも妻子が寝静まったころの帰宅で平日はほぼワンオペだと嘆いていた。私とまったく一緒で、そんな同じ境遇の人に会ったことがなかった私たちはお互いを心から労った。
ホワイト企業なんて本当に存在するんですかね。と私は言い、彼女は吐き捨てるように「さあ。存在なんてしないんじゃないですか」と言った。
ここには私たちにしかわからない孤独がある、と思った。
「大変だけどあっという間に終わっちゃうよ」
「今が一番かわいい時期ね」
良かれと思って投げかけられたその言葉によっていつも苦しめられている。
誰にもわかってもらえない、誰にも言いようのない孤独。彼女を抱きしめたいと思ったけれど私は欧米人のような文化の元に育ってこなかった為に断念した。
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