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あの頃のこと


コロナが猛威を奮っていた頃、他のヨーロッパ諸国と同様にスロバキアでも一時、外出禁止を余儀なくされた。

食料品店以外は営業停止、スーパーも入店できる人数、時間が限られていた。

義親の知り合いが何人も亡くなり、私がお世話になっていた内科の先生も亡くなった。

義父は獣医なのだが、隣町に住む獣医仲間は皆亡くなった。まだ若かったのに。

あの頃、動物病院は営業を停止するかどうかは、医師の判断に任されていた。

義父は義母の反対を押し切って営業を続行した。
どこの動物病院も閉まり始め、義父は連日忙しかった。

フリスコもたくさんお世話になったので、病気がちな子をもつ親は、開いている病院があることは救いだったに違いない。


あの頃、当初は
日本に帰国できる日は来るのだろうか。
日本から持って来たふりかけをもう少し残しておけばよかった。

などと考えていたが、

毎日死者数が増え続けるにつれ、万が一の時フリスコをどうしようかと、夫と話し合うことが増えた。

そして、今日もフリスコと一緒にいれることがただうれしかった。


今振り返ると、あの時期は異様だった。
街の空気も、人も。

あの閉ざされた日々でも、前を向いて過ごせたのはフリスコのおかげに他ならない。








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