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ありがとう、ジニ。

ランプの魔人ではありません。

しかし彼は、その魔人と同じように、
悲願のプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、クラブワールドカップと、
3つの願いを叶えてくれました。

ジョルジニオ・ワイナルドゥム。

2016年の夏にニューカッスル・ユナイテッドからやってきたオランダ代表は、
その前年途中にユルゲン・クロップを指揮官に迎え、上昇気流にあったチームを、さらに勢いづけてくれた存在でした。
ファン・ダイクも、前線のトリデンテも、超攻撃的サイドバックの2人も、
当時はまだ揃っていませんでした。(フィルミーノはいましたがマネは同期入団、サラーは次のシーズンに入団)

今と比べるとまだまだタイトルなんて期待できず、30年近く期待しては裏切られ続けてきたKOPにとっては、
「クロップが来てくれて経営陣も良い感じだから、きっとこれから強くなるはず…そうだよね?」
と半信半疑な時期でした。

そんな時期にアンフィールドにやってきたジニことワイナルドゥムは、
あっという間にクロップのスタイルに順応し、
プレイスタイルも明らかに「リヴァプールっぽい」選手でした。

前述の通り多くのタイトルと勝利をもたらしてくれたジニですが、
僕が1番印象に残っているのが、トップにも載せているこの写真の後ろ姿です。
同じリヴァプールファンの方ならお分かりいただけるかと思いますが、

あの「アンフィールドの奇跡」の時のワンショットです。

2018/19シーズンのCL準決勝、バルセロナ戦。
アウェイの1stレグ、敵地カンプノウで0-3の惨敗を喫し、
さらにトリデンテのフィルミーノとサラーが欠場。
まさに飛車角落ちで臨んだ一戦でした。

迎えた2ndレグ。
ジニは1stレグのまさかの前線真ん中での起用で精彩を欠く出来に終わりました。
そして2ndレグはベンチスタート。
忸怩たる思いでベンチから見つめていたであろう前半。
開始早々に先制点を奪い奇跡へ一縷の望みを繋ぐも、その後は攻めあぐね、
1-0で折り返します。
トータルスコアはまだ1-3。

そして、後半開始と同時に、ジニ投入。
その瞬間。ピッチに入る直前のジニの背中を捉えたのがこの写真になります。

この後彼は、追撃の2点目、起死回生の同点ゴールと、
2点を叩き込み、KOPとクロップの期待に応えると共に、
1stレグの悔しさを見事に晴らしました。

彼は本当に僕たちに多くの歓喜をもたらしてくれました。

しかし、僕にとって彼のリヴァプールでのキャリアでのハイライトは間違いなくこの夜です。

今でも脳裏に焼き付いて離れません。

早朝5時頃に狂喜乱舞し、家族を起こしてしまったこと。

その後ヨーロッパを制し、世界を制し、30年ぶりの戴冠を果たしたこと。

その歓喜の輪の中に、彼がいたこと。
そしてあの日の背中を、僕は忘れません。

ありがとう、ジニ。

今季いっぱいで契約満了を迎え、退団することが決まった彼は、
一時期はバルセロナ移籍が濃厚と言われていましたが、
最新のニュースではバイエルン移籍が秒読みと言われています。
昨日の最終節クリスタル・パレス戦では腕章を巻き、ようやく観客の戻ってきたアンフィールドで躍動しました。
交代時にはスタンディング・オベーションで別れを悲しむとともにその功績を讃えられました。

もしかしたらヨーロッパの舞台では敵として戦うことになるかもしれませんが、
どこにいても応援しています。

Dank u,Gini.

小野トロ

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