最近読んだ本の話 vol.86
「最近読んだ本の話」の第86弾です。とうとう昨日雪が降りました。めっちゃ寒いクリスマスイブです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。
1、柚木 麻子『とりあえずお湯わかせ』
柚木麻子さんのエッセイです。どんな日常を過ごしてらっしゃるのか興味があって、わくわくしながら読みました。この本に収録されているエッセイの途中までは、『きょうの料理ビギナーズ』で連載されていたそうです。
柚木さんはお料理が上手そうで、美味しそうな物、なかなか自分で作ろうと思わないような凝った物をどんどん作って、ご家族やお友達とにぎやかに食べてらっしゃってとても楽しそうです。でもこの連載中にコロナの感染が拡がって自粛生活を余儀なくされて、人と気軽に会えなくなってしまいます。私は柚木さんほどの行動力はないし、何かに興味を持ってやり始めたとしても柚木さんほど到達できないと思いますが、読んでいてこの人はタイプが似ている気がする、近い感じがする、と確信しました。人生の重要なことを、友達を面白がらせたいからという理由で決めてしまうところとか、世の中で起きていることにいつも怒っているところとか。
このエッセイが書かれた時期に、柚木さんがこういう状況の中で『らんたん』を生み出されたんだと知って、驚愕しました。小説家が声を上げることで、その問題について議論が起こって世の中を少しでも変えることができる、そういうことを積極的に実践されているのがカッコいいです。
2、井上 荒野『小説家の一日』
こちらも日常を描いたエッセイなのかな、と思って興味がわいて読みました。読み始めてすぐ、エッセイではなく「書くこと」にまつわる10編の物語だとわかりました。どの話ももの悲しさが漂っていて、すっきりとはしないのですが、色々な立場や年齢の女性が主人公の物語で、こういうこと言う人いる!とか、こういう哀しさってある、と思うことがたくさん出てきます。語りすぎない感じなので、主人公はこれからどうするのか想像しながら読みました。
3、一穂 ミチ『光のとこにいてね』
一穂 ミチさんは前から気になっていた作家さんですが、今回初めて作品を読みました。めっちゃ好きです、この世界観!ずっと読み続けていたかったのですが、読み終わってしまいました。物語の中に、和歌山県の串本が出てきます。私が初めて潜った海のあるところです。また行って海を見たい!と読みながら思いました。結珠ちゃんと果遠ちゃん、今度こそ一緒にいられるのかなあ。
2022年もあともう少しで終わりですね。夏からホントに早かった!ワールドカップを見て騒いでいるうちに12月もあっという間だったなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。