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最近読んだ本の話 vol.86

 「最近読んだ本の話」の第86弾です。とうとう昨日雪が降りました。めっちゃ寒いクリスマスイブです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、柚木 麻子『とりあえずお湯わかせ』

このエッセイもまた、公開の日記帳だ。前向きで後ろ向きで、頑張り屋で怠け者で、かしこく浅はか、独特な人物の日々の記録だ(前書きより)――はじめての育児に奮闘し、新しい食べ物に出会い、友人を招いたり、出かけたり――。そんな日々はコロナによって一転、自粛生活に。閉じこもる中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。それぞれの立場でNOを言っていくことの大切さ、声を上げることで確実に変わっていく、世の中の空気。食と料理を通して、2018年から2022年の4年間を記録した、人気作家・柚木麻子のエッセイ集。各章終わりには書下ろしエッセイも収載。

Amazonより引用

 柚木麻子さんのエッセイです。どんな日常を過ごしてらっしゃるのか興味があって、わくわくしながら読みました。この本に収録されているエッセイの途中までは、『きょうの料理ビギナーズ』で連載されていたそうです。
 柚木さんはお料理が上手そうで、美味しそうな物、なかなか自分で作ろうと思わないような凝った物をどんどん作って、ご家族やお友達とにぎやかに食べてらっしゃってとても楽しそうです。でもこの連載中にコロナの感染が拡がって自粛生活を余儀なくされて、人と気軽に会えなくなってしまいます。私は柚木さんほどの行動力はないし、何かに興味を持ってやり始めたとしても柚木さんほど到達できないと思いますが、読んでいてこの人はタイプが似ている気がする、近い感じがする、と確信しました。人生の重要なことを、友達を面白がらせたいからという理由で決めてしまうところとか、世の中で起きていることにいつも怒っているところとか。
 このエッセイが書かれた時期に、柚木さんがこういう状況の中で『らんたん』を生み出されたんだと知って、驚愕しました。小説家が声を上げることで、その問題について議論が起こって世の中を少しでも変えることができる、そういうことを積極的に実践されているのがカッコいいです。


2、井上 荒野『小説家の一日』

短篇の名手が、深遠なカタルシスを紡ぎ出す。すべて「書くこと」をテーマに、さまざまな日常の忘れられない瞬間を描いた珠玉の十篇!

Amazonより引用

 こちらも日常を描いたエッセイなのかな、と思って興味がわいて読みました。読み始めてすぐ、エッセイではなく「書くこと」にまつわる10編の物語だとわかりました。どの話ももの悲しさが漂っていて、すっきりとはしないのですが、色々な立場や年齢の女性が主人公の物語で、こういうこと言う人いる!とか、こういう哀しさってある、と思うことがたくさん出てきます。語りすぎない感じなので、主人公はこれからどうするのか想像しながら読みました。


3、一穂 ミチ『光のとこにいてね』

たった1人の、運命に出会った

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。

運命に導かれ、運命に引き裂かれる
ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語

Amazonより引用

 一穂 ミチさんは前から気になっていた作家さんですが、今回初めて作品を読みました。めっちゃ好きです、この世界観!ずっと読み続けていたかったのですが、読み終わってしまいました。物語の中に、和歌山県の串本が出てきます。私が初めて潜った海のあるところです。また行って海を見たい!と読みながら思いました。結珠ちゃんと果遠ちゃん、今度こそ一緒にいられるのかなあ。



 2022年もあともう少しで終わりですね。夏からホントに早かった!ワールドカップを見て騒いでいるうちに12月もあっという間だったなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。



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