最近読んだ本の話 vol.85
「最近読んだ本の話」の第85弾です。一気に冬らしく寒くなってきました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。
1、多和田 葉子『太陽諸島』
以前『星に仄めかされて』を読んだので、完結編と聞いて読んでみたくなりました。
主人公のHirukoは、消えてしまった故郷の島国を探して5人の仲間たちと船の旅に出るのですが、乗ったのが郵便船なので港町に何度も寄港します。その度に街を散策したり、いろんな人と出会って話したりするのですが、途中でビザが無いと次の国に入国できなくなり、引き返すことになります。とにかく不思議な物語です。最後まで読んで、完結なのかどうなのか、もしかしたら何年後かに別の物語で出会えるのでは?と、色々な想像が膨らみました。
2、森 明日香『写楽女』
主人公のお駒は地本問屋の「耕書堂」で働く女中です。「耕書堂」の店主・蔦屋重三郎は、絵描きや物書きを集めてきて新しいものを生み出そうと奔走します。どこからか見つけてきた新しい絵師の写楽に描かせた役者絵は、賛否入り混じる評判を呼び、次はもっと驚かせようと、絵師の銀蔵と戯作者の余七、お駒にも写楽の手伝いをさせて、次の興行で新しい錦絵を発表するのですが、なかなか評判は上がりません。
それにしてもこの物語に出てくる登場人物たちが、同時代に活躍していたことが驚きです。東洲斎写楽、葛飾北斎、十返舎一九、滝沢馬琴って歴史に出てくる人ばっかり!お駒と写楽の身分違いの恋が切ないです。
3、ラビンドラナート・タゴール『少年時代』
タゴールが少年時代を振り返って書いたもので、今はもう失われてしまった情景が克明に描かれています。タゴールの生まれた家は、かつてとんでもないお金持ちで、タゴールが生まれた頃にはそれほどでもなくなっていたらしいのですが、それでも宮殿みたいな家に住んで、たくさんの召使いがいて、家の敷地内でしょっちゅう音楽会や演劇などが催されていて、幼いタゴールがこっそり覗き見たりしているところを思い浮かべると、もし自分がこういう家に生まれていたらどんな風に育っていたんだろう?なんて想像したりしてしまいます。勉強はとても厳しそうで、興味が無かったら出来そうにないけど、この家に生まれたら「出来ません」なんて言えなさそうです。楽しそうなところだけってわけにはいかないなあ。
もうすぐクリスマスです🎄お正月も近づいてきました。掃除しないとなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。