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最近読んだ本の話 vol.85

 「最近読んだ本の話」の第85弾です。一気に冬らしく寒くなってきました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、多和田 葉子『太陽諸島』

世界文学の旗手が紡ぐ、初の連作長篇三部作、完結!
響きあう言葉とともに地球を旅する仲間たちの行方は――。国境を越えて人と人をつなぐ、新しい時代の神話
ヨーロッパで移民として生きるため、自家製の言語「パンスカ」をつくり出したHirukoは、消えてしまった故郷の島国を探して、仲間たちと共に船の旅に出る。一行を乗せた船はコペンハーゲンからバルト海を東へ進むが、沿岸の港町では次々と謎めいた人物が乗り込んできて――。
言葉で結びついた仲間たちの、時空を超えた出会いと冒険を描く、多和田葉子の新たな代表作。
『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』に続くサーガ、ついに完結!

Amazonより引用

 以前『星に仄めかされて』を読んだので、完結編と聞いて読んでみたくなりました。
 主人公のHirukoは、消えてしまった故郷の島国を探して5人の仲間たちと船の旅に出るのですが、乗ったのが郵便船なので港町に何度も寄港します。その度に街を散策したり、いろんな人と出会って話したりするのですが、途中でビザが無いと次の国に入国できなくなり、引き返すことになります。とにかく不思議な物語です。最後まで読んで、完結なのかどうなのか、もしかしたら何年後かに別の物語で出会えるのでは?と、色々な想像が膨らみました。


2、森 明日香『写楽女』

寛政六年(一七九四)の春。日本橋通油町にある地本問屋の「耕書堂」は錦絵を求める客で賑わっていた。
女中として働くお駒はそんな店の様子を誇らしく思いながら、買い物に出ようとしたとき、店の中に入って行く一人の男を見かける。
その男は、写楽と名付けられた新しい絵師だった。
五月興行が始まると同時に、「耕書堂」の店頭に写楽の役者絵が並ぶと、江戸の町に衝撃が走った。それは、今まで誰も見たことのない役者絵だった。
賛否入り混じる評判の中、店主の蔦屋重三郎に呼ばれたお駒は、次の興行で出す写楽の絵を手伝ってほしいと言われ――。

Amazonより引用

 主人公のお駒は地本問屋の「耕書堂」で働く女中です。「耕書堂」の店主・蔦屋重三郎は、絵描きや物書きを集めてきて新しいものを生み出そうと奔走します。どこからか見つけてきた新しい絵師の写楽に描かせた役者絵は、賛否入り混じる評判を呼び、次はもっと驚かせようと、絵師の銀蔵と戯作者の余七、お駒にも写楽の手伝いをさせて、次の興行で新しい錦絵を発表するのですが、なかなか評判は上がりません。
 それにしてもこの物語に出てくる登場人物たちが、同時代に活躍していたことが驚きです。東洲斎写楽、葛飾北斎、十返舎一九、滝沢馬琴って歴史に出てくる人ばっかり!お駒と写楽の身分違いの恋が切ないです。 


3、ラビンドラナート・タゴール『少年時代』

アジアで最初のノーベル文学賞作家タゴールの追想記。
ベンガル語からの完訳。
詳細な訳註・解説を加えました。タゴールの魅力をたっぷり味わうことができます。

Amazonより引用

 タゴールが少年時代を振り返って書いたもので、今はもう失われてしまった情景が克明に描かれています。タゴールの生まれた家は、かつてとんでもないお金持ちで、タゴールが生まれた頃にはそれほどでもなくなっていたらしいのですが、それでも宮殿みたいな家に住んで、たくさんの召使いがいて、家の敷地内でしょっちゅう音楽会や演劇などが催されていて、幼いタゴールがこっそり覗き見たりしているところを思い浮かべると、もし自分がこういう家に生まれていたらどんな風に育っていたんだろう?なんて想像したりしてしまいます。勉強はとても厳しそうで、興味が無かったら出来そうにないけど、この家に生まれたら「出来ません」なんて言えなさそうです。楽しそうなところだけってわけにはいかないなあ。


 もうすぐクリスマスです🎄お正月も近づいてきました。掃除しないとなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。

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