最近読んだ本の話 vol.87
「最近読んだ本の話」の第87弾です。2023年が始まりました!寒さは少し和らいだかな?今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。
1、青山 七恵『はぐれんぼう』
めっちゃ変わったお話です。クリーニング店で働く主人公の優子が、持ち主が長い間受け取りに来ない衣服(「はぐれんぼちゃん」と呼ばれている}を、同僚の馬宵さんから頼まれて家に持ち帰ったら、寝ている間に身につけていて、服に引っぱられるように外に出て歩き始めます。着いた先はその衣服の持ち主の家で、その服の思い出が優子にも伝わってくるという。次々と持ち主の所へ訪ねていくのですが、持ち主たちは色々な事情があって、受け取りを拒否します。途中で同じような状況になった別の店舗のユザさんと出会って、二人は倉庫に向かって歩き始めるのですが、この人たちどうなっちゃうの?と思って読み進むと、まったく予想できない展開に…。物語ってこういうふうにできるんだなあ。
2、大崎 清夏『目をあけてごらん、離陸するから』
読み始めてこれは小説なのかな?と思いながら読み進んでいくと、著者本人が出てくる文章もあって、エッセイもたくさん収録されています。外国の詩のイベントに何度も出かけて、たくさんの外国の方と出会って仲良くなって楽しそうです。最後のエッセイは、キューバのハバナに行って、現地の友人たちとあちこち出かけて満喫してらっしゃいます。そういう旅からどんな詩が生まれるのか読んでみたいなあ。
3、渡辺 優『カラスは言った』
ある日の朝、自分の部屋のベランダにとまったカラスに話しかけられた主人公は、2日連続で同じ現象を体験して、職場の先輩に相談します。先輩は「それはドローンじゃないか?」と言い、2人は待ち構えてカラスを捕まえるのですが…。描き方が面白いです。嫌な感じの人もそんなに嫌な人ではないのかもしれない、と思えるような書き方なので、現実もそうだったらいいな、見方を変えればそうなのかもしれないな、と思いました。
今年も「最近読んだ本の話」を書くことができました。最後までお読みくださってありがとうございました。