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半年と20万円をかけてボドゲ制作して赤字を出した話

これは●◆■■◆●様主催の十人十色アドベントカレンダーの12月10日の記事です。下記にリンクを貼っておきますので、ぜひ他の方の記事も見てみてください。

 皆さんこんにちは、モカ(X:@mocachimoca, @ioriboardgame)です。今回私が書かせていただくテーマはボドゲ制作です。先日雙峰祭やゲームマーケット2023秋にて販売したボードゲーム「学費が湧いた」の開発経緯、小話について書こうと思います。




準備編

1.ボドゲ制作の始まり(2022年12月)


 私はもともとボードゲームが大好きな人間で、大学入学すぐから今に続くまでシベリアンという場所でボドゲ会を主催していました。(開催形態や共同主催など時期によって色々状況は異なっていますが……)ボドゲ会を行っていく中で自然とボドゲ制作の意欲が高まり、2022年の12月程からボドゲの雛形を作り始めました。その時はまだ「学費が湧いた」ではなかったです。様々なテーマで雛形を20個以上制作をしていましたが、多くは作って消してを繰り返したせいで記録が残っていません。

お粗末なマップ案です。

 上記の画像は奇跡的にNotionに残っていた鬼ごっこボドゲのマップです。ルールやパラメータはお粗末なものなので公開しません。ギミックとしてワープやスキルを導入し、ダイス等にも工夫を凝らして1対他で遊べるカジュアルなDBDボドゲを制作していました。この頃は、ボドゲ会で使えるボドゲを作ろうという意識が強く、雛形の多くがパーティーゲームでした。


2.学費が湧いた原案(2023年1月付近)


 2023年1月頃にようやく学費が湧いたの原案を制作しました。もともと筑波大学のミームで何かボドゲを作りたかったのですが、学外者向けにも販売したかったので塩梅が難しく難航していました。ある日、母親へ封筒を使って在学証明書を送付する事があったのですが、茶封筒に入れると中身が透けることに気づきました。これがボドゲのギミックに使えるなと気づいたことがターニングポイントでした。そこからその日のうちにゲームルールを制作しました。筑波大学のミームである学内の噴水を学費と呼ぶことから、お金を使って噴水を湧かせたり湧かせなかったりするゲームを制作しました。この時点で目標金額に合わせてお金をかけ、親が上下を当てるシステムは確立されていました。また、大学地下の賭博場の設定は存在せず、学長が噴水を湧かせたかを密室に閉じ込められた学生が少ない情報から判断するデスゲームという謎設定でした。

当時のすっごく雑な案の記しです。ボックスと封筒での表記揺れがありますね。この頃はコンポーネントに硬貨を採用していますが後に消えました。


この頃にコミケと雙峰祭とゲムマ秋で販売しようという目標を立てました。


3.コミケへの参加応募とテストプレイ(2月~3月)


 2月ごろから本格的にテストプレイを開始しました。テストプレイヤーとしてよく主に宇宙(X:@Space_cubics)やおかか(X:@okakakkka)が参加していたことを覚えています。この頃はまだちゃんとクソゲーでした。駆け引き要素がカスすぎて、自分もまだまだだなと思いつつ改良を重ねました。このとき、システム改良をする際に参考にしたのが名作ボドゲである「コヨーテ」と「ふくろと金貨」です。またゲームメカニクス大全という本を参考にしました。

当時の改案の記録です。
ようやく説明書を作る気になりましたね。

 テストプレイを重ねていくことで、奨学金といった要素やマイナス額面のカード、特殊役などが生まれました。この頃要素を生やしまくっていたのですが、後々地獄を生むことになりました。それは、要素やギミックを生やすほどゲームに深みが生まれますが、パラメータが増えて尋常じゃないテストプレイ回数が必要になります。鬼の回数テストプレイをしたことを未だに覚えています。徹夜で永遠にテストプレイをした日もありました。一人回しも100回以上しました。あの頃が一番しんどかったです。その結果、少々要素を削り、基本部分は今の状況になりました。

3月に入ってからは、テストプレイと並行してコミケへの出展申請作業を行いました。このときのサークルカットはなんと妹に書いてもらいました。実家で申請作業をしていたので妹を3000円で買収しました。


妹には元ネタの筑波大学の学費の写真を見せてそれっぽく書いてもらいました。


4.基本ルール完全制定後の微調整と製品化に向けて(3月末~7月末)

 システム部の調整とコミケ申請を終えてからは、またテストプレイです。主には、ボドゲ回など様々な場所に持ち込みいろんな人に参加してもらいました。ここでは、みんなからの感想を聞いて細かい部分の調整を行いました。また、ルールも説明書制作を意識してようやく完全な記述をしました。

上記に当時のルールの様子が載っています。良ければ見てみてください。

 この頃、デザイン担当の慣性くん(速読英単語、ちゃおず X:@jackpotgyoza)に依頼し、製品化に向けて動き始めました。コンポーネントの詳細はしっかりと共有しましたが、デザインに関しては「モノトーンに寄せたシンプルな感じで」とお願いしました。今思うとかなりふわっとしているなと思っています。なんなら説明書制作も依頼したので「学費が湧いた」の構成要素的には、慣性くんが7割作っています。その後にはポスターもチラシも依頼したので、今作はほとんど慣性くんの作品と言っても過言ではないです。

 製品化に際しては、萬印堂さんを利用しました。東京の本社に行って相談会にも参加し、印刷に関する話も多く聞きました。色ブレの多いグレーベースの印刷をお願いしたにも関わらず引き受けていただけて、更にはほぼブレなしの印刷をしていただけたので本当に助かりました。ボドゲ初めて作りたい人はとりあえず萬印堂さんを訪れるといいと思います。本社も秋葉原に移転されたそうで以前より訪れやすいので、ボドゲ制作したい方はぜひ。


パッケージの写真です。背景は白Tシャツでそれっぽくしました。

頒布編

5.夏コミと冬コミ参加を決定(8月ごろ)

 8月になって、夏コミ(C103)に参加しました。コミケ自体初参加初出展でなんなら頒布が初めてなのですごく緊張したんですけど、案外なんとかなりました。持ち込み数がたった20個なのと14時の時点で売り切れてしまった事が少し失敗だったなと感じています。在庫は余裕持つべきだなと改めて思いました。あとこの時点で冬コミも応募しました。このときは何も問題なかったのですが、これが後々……


6.PV制作と宣伝について(9月~12月)

 夏コミが終わってからは雙峰祭に向けて宣伝を開始しました。事前にTwitterで宣伝、製品版のデモプレイ、PV制作を行いました。特にデモプレイは、効果があったなと思っています。PVに関しては、9534くん(X:@kugomiyo9534)に依頼し制作してもらいました。雙峰祭でのステージ広告にも登録していたので見た方も結構いたのではないかと思います。

 ゲームマーケット2023秋に向けての宣伝に関しては、TwitterのFF数増やしや宣伝ツイートや自薦募集ツイートのリプ、ゲムマサイトの制作等を行いました。これらに関しては、すべて一定の宣伝効果があったと思いますが11月12月は2ヶ月連続で溶連菌にかかってしまい、宣伝どころではなくなってしまいました。特に自薦募集ツイートのリプを毎日少しずつ行うのは特に重要で、これができなかったのが良くなかったなと感じています。次回のゲムマ参加時には、リプを毎日行うようにしたいなと思いました。あとは、テストプレイ会や事前試遊会にも次回は参加しようと思っています。


7.雙峰祭準備と雙峰祭(10月~11月)

 雙峰祭は個人にもかかわらず出展側に参加させていただきました。本当は芸祭フリマで参加したかったのですが、条件的に不可能だったので通常出展を選択しました。

雙峰祭に1人で出展参加するのは絶対にやめた方がいいです。

 事前の申請や前日準備の作業量的にも個人で行うことを想定されていませんので本当にしんどい思いをします。肉体的にも精神的にも追い詰められます。どの同人イベントよりも過酷でしたのでできるなら他の個人出展者と連帯すべきです。そしてできるなら屋内を選んでください。屋内なら最悪個人でもなんとかなります。私は、屋外かつ個人で出展したので地獄を見ました。友達と先輩の協力がなければ私は倒れていたと思います。本当にきつかったのはそうなのですが、動線のことを想定すると屋外は正解でした。通りがかった人が興味を持って来てくれて購入につながることもかなりありました。結果初日で50個近く売れ、在庫の関係から2日目は取り置き分のみの販売になりました。多分あの様子なら70~80個ぐらいなら余裕で売れたと思います。過酷だけど一番売れるイベントなので正直参加したくないですけど来年も出展します。次は個人でなく集団もしくは非公式サークル化すると思います。


8.ゲムマについて(11月~12月)

ゲムマのサークルカットです。

 ゲームマーケット2023秋にも参加しました。ただ、雙峰祭で想定以上に売れてしまったせいで在庫不足に陥りました。残り30個しかなく増刷も間に合わないことから積極的な宣伝を控えようと思った矢先、2ヶ月に2度も溶連菌に何もできませんでした。それでも当日興味を持ってくれた方がそれなりにいたので結構売れました。数個余っただけだったのでまぁ耐えたなと思います。次新作掲げてゲムマ参加するときはちゃんと宣伝しようという教訓も得れたので良かったです。正直ゲムマは、売ることよりも知名度上昇や他のサークルさんの作品を買いに行くお祭りなのでかなり満足しています。来年春のゲムマは出展ではなく一般参加の予定です。夏コミには出展する気なのでボドゲ勉強と新作制作の期間に当てようと思います。


9.制作の費用に関する話と赤字について

 今回制作するに当たって予算は当初20万ほど用意しました。(親から借りて年始に返済予定です。)印刷費は100部で15万程かかりました。依頼費は総額5~6万円ほどです。制作自体は20万で可能です。更に自費を出して雑費で3万、交通費イベント参加費で3万かかっています。実は1つ2000円で販売したので売り切っても最大売上が20万なので赤字が確定しています。同人かつ初回なので赤字は仕方のないことだと思っています。2000円以上で売るのも当初は検討していましたが、自分なら2000円以下じゃないと買わないなと感じたので赤字覚悟で制作しました。



10.これからについて(執筆時2023年12月10日)

 冬コミに残りの在庫を持っていく予定です。その後は、しばらくお休みを頂きます。新作を制作したり、ボドゲ自体を楽しんだりする予定です。SwitchやPS2の積みゲーも大量にありますし他の創作物の制作を行っていますのでなかなかボドゲ一辺倒で動くのは難しいです。あと車校行ってなさすぎて電話かかってきたので急いで卒業してきます。夏コミになればまた新作引っ提げる予定なのでしばしお待ち下さい。学費が湧いたの方も資金部分に目処が立てば多少増刷の予定です。来年も夏コミ、雙峰祭、ゲムマ秋、冬コミ、更にはその他のイベントにも参加予定ですので長い目でお待ち下さい!

実はもうepoch100まで行っています。今後配布予定です


最後に

ここまで閲覧していただきありがとうございました!
半日で爆速執筆したので変な文章や誤字脱字があるかもしれません……その場合はしれっとコメントやツイッターでお伝えしてもらえると助かります!
今後ともボドゲ制作していきますのでよろしくお願いします。

↓自作のゲムマ用のサイトです。


各所で配布したパンフレットです

↓説明書です。


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