【映画】ラストマイル
公開初日に見てきました。
「アンナチュラル」も「MIU404」も放送当時毎週楽しくリアタイしていた身としては、このシェアードユニバースムービーは見逃せない!と、公開を楽しみにしていました。
ちなみに、アンナチュラルもMIU404も未見の人でも十分に楽しめる映画です。まだドラマ見たことない人は、先にラストマイルを見て、あとからドラマ見てください!
「誰も何もしないからこうなった」
劇中で一番印象に残ったセリフ。
思考停止、現状維持、気づかないふり。
ちょっとずつ我慢を続けていつのまにか大爆発。
この映画は観る人に色々なことを投げかけてきます。
何が刺さるかは人それぞれかもしれないけれど。
巨悪なんてない。
でも一人一人が見て見ぬふりを続けたことで、歪みが生まれる。
誰も無関係な人なんていない。
誰もがこの物語の当事者だ。
効率主義の末路
消耗する部品のように使い捨てられる
交換可能な人間たち。
順応できているうちはいいが次第に病んでいく
でも物流は、世の中は止められない
動き続けなければ死んでしまうから
ドロップアウトした者は「がらくた」なんだろうか。
でもそんながらくたでも、ちゃんと生きていける世の中の方がいいよね。
What do you want?
ブラックフライデーのセールのCM。
それは本当に自分が欲しいものなのか。
商品をリコメンドするシステムに踊らされてるだけで、いらないものを欲しいと思わされているだけなんじゃないのか。
全てはお客様のために
マジックワードは、うまく使いこなしているようで、いつのまにか自分がいいように使われる呪縛になってはいないか。
佐野親子は裏の主人公
火野正平と宇野祥平さん演じる佐野親子は、物流の末端を担う下請けドライバー。
この二人の会話のシーンが非常に心に残りました。
配達員さんへの敬意と、再配達にならないように時間指定して、ちゃんと受け取らなきゃと考えた。(ちょうど映画見た直後に届く荷物があったからあわてて帰った)
部屋番号404、みんなが間に合ってと思うクライマックス。
仕事に誇りをもって丈夫な洗濯機を作っていたからこそ回避できた悲劇。
松本家のお姉ちゃんの妹に対する「こんな時間に待っている人は来ない」とか、佐野父の「あの小さいお嬢ちゃんのいるとこ」などのセリフから、荷物を顧客に届ける最後の区間である「ラストマイル」の仕事の重要さ、映画のタイトルになる意味…
エレナと孔
この映画は、エレナがちゃんと眠れるようになるまでの物語でもあった。
冒頭でうとうとしながらモノレールに揺られていたエレナ、激務に追われ眠れなかった過去があるけれど、いい仕事をしてパトカーでやっと心から安心して眠れたんだろうなって。
孔は、視聴者の目線。
エレナに対して疑惑の目を向けたり、エレナが爆弾を引き当ててしまったときに逃げずに一緒に運命を背負う覚悟もある。
そして、センター長としてあのロッカーの鍵を引き受け、さあこれからどうすると投げかけられている。
第4機捜
伊吹と志摩がずっと相棒であった4年間が想像できる二人…!
勝俣くんが警察官になって、機捜にいるの胸熱すぎる。
陣馬さんと相棒なんだよ…
UDIラボ
かつて失った恋人のために道を外しそうになった中堂が、筧マリカのことを「見上げた根性だ」と褒めるのをミコトが「そんな根性ならいらない」ときっぱり否定してくれるのがよかった。
セットが当時のそのまま再現されてるのよかったな…
彼らはずっとあそこで毎日不条理な死と向き合っているんだ。今までも、そしてこれからも。
物流が止まってまた動き出す
ストライキによって得たものは、1個当たり20円の配送料UP。
末端のドライバーにとっては100個運んで2000円の微々たるもの。
デイリーファスト社にとっては160億円の損失。
映画が終わって、電車に乗ろうとしたら電車が遅れていた。
人も物流も滞ることが許されない社会を感じた。
私は、あなたは、これからどうする?と問いかけられている作品だと思う。
まだ咀嚼しきれていない。