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『自由研究には向かない殺人』感想

ホリー・ジャクソン著『自由研究には向かない殺人』を読みました。 友人からの推薦図書です。
自分の暮らす町で5年前に起きた女子高生の失踪事件の真相を、関係者へのインタビューやSNSへの調査を駆使して解明しようとするジュブナイルミステリー。主人公はこの事件を自由研究の題材に選んだ女の子ピップ。

事件の周辺にいた人々へのインタビューを通して少しずつ情報を集めていくなかで、SNSに決定的な手がかりが残されているっていうのは現代的で面白いなと思いましたけど、何より部外者の女子高生が自由研究のために失踪事件の真相を解明するために奮闘するっていう筋書きがポップで面白かったです。
事件の真相を追うなかでは町の暗部を知ることになる面もあったし、犬はひどいめに遭うし、実際はすごく明るい話ってわけでもないはずなのに印象としては明るく感じるのはやっぱりすごくひたむきな主人公ピップのキャラクター性ゆえだろうなと思いました。
ピップ、めちゃめちゃ行動的!! 私も行動的だって人から言われるほうですけど、ピップは本当にすごい。全然物怖じしないというか、殺人事件の関係者にそんなデリケートな話をよくぐいぐい質問できるな!? って思いました。鋼鉄の心臓の持ち主!!

ピップがじつはラヴィに一目惚れしてた件、出会いのシーンを読み返したら、確かにほかの人に突撃インタビューするときこんな緊張の仕方はしていないのに、ラヴィとの初対面だけめちゃめちゃ挙動不審で笑っちゃいました。キュンとしてたんか。

町中から殺人犯の弟だと思われていて、これでもかというくらい不利な証拠がそろっていた状況下でもずっと変わらず兄の無実を信じて恨むことなく生きてきたラヴィは強い人だなと思うし、そういう強烈な偏見の目に何年もさらされても、他者へのあたたかい心をなくしていないところがすごいと思います。ラヴィ自身もご家族も。

真実を探求するなかで、ピップにとっては疑いたくなかった大切な友達や近しい人を疑わざるをえなくなっていくわけですが、そういう自分にとって眼をそむけたくなるような現実を前にしても、心を痛めながらも目をそらさない姿はすごくかっこいいなと思いました。
人種差別や偏見の問題に対するピップの素直で純粋な批判性にも共感するところが大きかったです。

あとついでに完全なる私の趣味で言っておくと、ラスト近くでラヴィがピップにキスしてくれるシーンの台詞がめちゃめちゃ最高でした。本当にラヴィはいつでも最高だなと思いました。


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