中国仏教における禅の発展
〇儒教思想による人生観の行き詰まり
東晋以降の中国意識人は、儒教思想の人生観に矛盾を抱くようになった。正しい行為が不幸によって報いられるという人生の矛盾(顔回、伯夷らの道徳と幸福の矛盾)は、非合理な運命も天命として甘受する(「人事を尽くして天命を待つ」)儒教の対処法では解決できなかった。孔子にとっての幸福は道徳的行為の完成に伴う満足感に他ならなかった。孔子は「この人生をいかに正しく生きるべきか」を教えたが、「この人生をいかにすれば幸福にすることができるか」については多くを語らず、運命随順主義をとった。
〇仏教による新たな人生観(三世応報説、輪廻説)
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