
リカレント教育と、プロティアン・キャリア理論
担当しているリカレント講座の中で、プロティアン・キャリア理論に沿ったキャリアデザイン講座も行っています。従来の講座では自己分析が中心であり、他の講座で習得した知識やスキルを未来のキャリアにどうつなげていくかや、自分のありたい姿が実際の市場にあるのかどうか、等を考える時間が少なかったためです。
プロティアン・キャリア理論でのキャリアデザインでは、以下の問いに沿って、個別に自分のありたい姿への現実的な近づき方を考えていきます。
☑自分の興味、能力はどのようなものか?離職中に磨かれたものは何か?
☑今の市場で求められる仕事にはどのようなものがあるか?
☑自分のありたい姿と重なる仕事は何か?
☑どのような近づき方があるか?
☑具体的に何をどのようにして近づいてくか?
参考:「プロティアン・キャリア」は社員のキャリア不安に効く処方箋
そして、他のキャリア理論とは異なるユニークな点は、キャリアの選択ではなく、キャリア資本をどう蓄積するか、という“蓄積”にフォーカスしている点です。また、そのキャリア資本には、地域や家庭で蓄積したスキルも含まれているのです。
リカレント講座には、離職期間がある方や、病気や育児等で休職中の方が多くいらっしゃいます。「キャリアの中断(キャリアを継続していない)」に対して、引け目を感じている方もいらっしゃいますが、その間も多様な経験・スキルが蓄積されています。
だからこそ、“自分でしかできない個別具体的なキャリア”が形成できる、ということです。
ビジネスの場を離れたことで、ブラッシュアップが必要な知識やスキルは、他の講座も含めて拡充し、グループや講師との対話を通したキャリアデザイン講座を通して、ヒューマンスキルもさらに磨きをかけていきます。
さて、経済産業省の資料によると、リカレント教育には、①知的満足のためのもの②更なる社会参画のためのもの③生活の糧を得るもの、という種類があります。それらが必要な背景として、働く期間が長くなったことで、学校教育で身に付けたスキルを一定期間で消費していること、社会で求められる知を理解して複数回学び直す必要があることが挙げられています。
離職期間がなくても、休職しなくても、誰にでも学び直しが必要な時代ということですね。
講座や個別キャリア相談を通じて、今後もお伝えしていきます。
参考:経済産業省「イノベーション創出のためのリカレント教育」(2020年5月)