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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.10「デッドエンドの思い出」

「やっぱり物語はハッピーエンドの方が好きだな」
終わりよければ全てよし、といわれるように、映画にしろ、小説にしろ、あるいは人生にしろ、終わり方によってその作品の評価が決まる。だからこそ、レオナルド・ダ・ヴィンチも、7つの習慣のスティーブン・コビーも、スピルバーグも、名を成した偉人はみな口を揃えて「終わりから考えろ」と言う。
「ちなみに君はハッピーエンドとバッドエンド、どちらの物語が好き?」そんな会話を友人としていたら、何かをふと思いだしたかのようにこの本を手渡された。

5つの短編小説をまとめた文庫本。よしもとばななさんの作品も初めて読んだ(ごめんなさい)のだけれど、日常の中にある心の機微をここまで繊細に言葉に出来るのが、正直羨ましいと思ってしまった。

西山君は、うまくは言えないけれど、もう子どものとき一生で一番大変だったり気分的につらいことをあれこれ経験してしまったから、あとはもう楽しんでいいよ、というふうに神様に愛されて許されているように見えた。
-バッドエンドの思い出より-

夏休みの宿題を、先に終わらせるタイプの人と、最後に追い込むタイプの人と、大きく分けると2種類のタイプの人がいるよね、ということを今日のメルマガ(https://i-magazine.bme.jp/bm/p/f/tf.php?id=nomi&task=regist)にも書いたのだけれど、「苦労」というのも、もしかすると「人生の宿題」なのかもしれないと、この一文を読んで思った。先にやるか、あとにやるか。つまるところ、今現在、苦労している人は、どこかで神様に愛されて許されて、「あとはもう楽しんでいいよ」と言ってもらえる時が来る。もしもそんなふうに思えれば、今まさに苦労している人の心も少しは軽くなるかもしれないと、そんな淡い願いを込めて、文字に残したいと思った。

感想文を書くとき、本来であれば「終わりから考える」のがセオリーではあるのだろうけれど、何回書いても「着地点」が変わる僕のこの筆(というかパソコン)の流れは、もうどうしようもない。それでもハッピーエンドが好きなので、デッドエンド(行き止まり)にはならないように、せめて最後の読後感だけは爽やかになれと、毎回願うばかりであります。。。

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野見 将之
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