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塩むすびで新米を味わう ― 『さんかく』千早 茜 著
夜になると、秋の気配をたっぷり含んだ風が吹く。昼間は夏のような空気が漂っているのに、朝と夜だけは秋の風が吹く。季節がパキっと入れ替わらない、曖昧な毎日。
月見バーガーの発売で秋を感じるようになった現代社会を生きていても、わたしが秋の到来を感じるのは、スーパーの店頭に「新米」ののぼりが上がり、めでたくどどんと「新米」のシールが貼られたお米を買うときなのだ。おなかをすかせて炊飯器を開けたあの瞬間。立ち上る湯気と、そのつやめき。塩むすびにかぶりついて、「今年も秋が来た」と心から感じる。そんな存在なのだ、新米は。今年も大切に食べたいなあと思う。
新米を愛するわたしが、心を込めてご飯を炊いて、塩むすびを作りたくなる、とてもとても好きな小説をご紹介します。
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