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朝ドラ『おむすび』の王道さ。知っている時代を進んでいく知らない物語


ようやく秋めいてきた9月のおわりの朝。NHKの朝ドラ『おむすび』がはじまった。

半年に1回、朝ドラは終わり、その余韻にひたる間もなく新しい朝ドラがはじまる。毎朝のルーティンになっているからこそ、これまでの半年間のテンションとの違いばかり気になったりして、その違和感を感じたりして、どうもなかなか落ち着かない。

……なのになんだ? このフィット感。

まだ初週、3話しか観ていなくて、ゴールデンの連ドラならまだ初回も終わってないくらいの放送時間なのに、なぜだかもうしっくりきている。

▼『おむすび』オープニング(ノンクレジットVer.)


その理由は「王道である」ということだと思う。ヒロインが初回でトンデモ行動を起こす朝ドラっぽさ、それが橋本環奈さんであるというヒロインっぽさ、大きなテーマであるギャルが登場してくるという平成っぽさ。その「っぽさ」の王道を突っ走っているように思う。

「王道の平成っぽさ」を、B'zの主題歌『イルミネーション』がまとめあげている。この曲、本当に良い。B'z素人ながら、B'zのゴリゴリロックっぽさをあまり感じないのに、はじめて聴いた気がしない。B'zっぽいって感じないのに、平成といえばB'z! B'zといえば平成! 平成の朝ドラ主題歌といえばこの『イルミネーション』しかない! と一発で思う不思議な曲。(なに言ってんの?) 朝にB'zって大丈夫? とか思ってた自分が間違ってました。これが正真正銘の国民的アーティスト……

橋本環奈さんのヒロイン感が強すぎるとか、ギャルメイクの程度とか、いろいろな意見があるのかもしれないけれど、少なくともわたしは、まっすぐストレートに「平成」という時代が描かれるのだ、ということが示されているような気がしている。

ヒロインの結は可愛くて、明るくて、意思を強く持っていて、困っている人をすぐに助けようとする。いわゆる王道のヒロインだ。その明るさと行動力はすさまじい。どこか危うさを感じるほどに。なにかの影を隠そうとしているように感じるほどに。

震災というテーマも含まれることが発表されているし、現在の物語の舞台は福岡県であるものの「神戸」というワードが出てきているし、結は大切なものがなくなることをおびえている。きっと結はなにかを抱えている。結というヒロインと、ギャルマインドと、栄養士という職業。どんな「平成」の物語が描かれていくのだろう。オリジナルストーリーって、まったく先が読めないからこそ、どんどん楽しみが広がっていく。

こちらで読める脚本家の根本ノンジさんの言葉を読むと、さらに『おむすび』を楽める気がしますので、おすすめです! 現代物のオリジナルストーリーだからこそ、その時代を生きたわたしたちの物語になる。これまで生きてきた、知っている時代を舞台に進んでいく知らない物語。春まで朝の15分をまっすぐに楽しみたい。


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tsuki | つき
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