『海のはじまり』第9話 夏と弥生のはじまりとおわり ― back number『新しい恋人達に』と目黒蓮という人間の魅力について
『海のはじまり』第9話。夏(目黒蓮)と弥生(有村架純)の選択が描かれた。
ふたりはふたりだった。ふたりで今後の人生を生きていこうとしていた。
そこに海ちゃんが現れ、ふたりは三人になった。このまま三人で生きていくのか、ふたりとひとりになるのか。そんな選択が描かれた。
主題歌であるback number『新しい恋人達に』がいつも以上に染みた第9話。以下、ネタバレを含んで感想のようなものを書きます。弥生の流した儚くも強くて美しい涙を絶対にみてほしい。有村架純さんの涙はこの世でいちばん尊いのです……
本当の気持ちを伝えるすこしのズルさ
弥生は、自分で選択をした。自分の気持ちを犠牲にしてでも三人で居続けることは選ばず、自分を選んだ。それをまっすぐに夏に伝えた。
人の気持ちばかり考えてしまう弥生にしては、かなり自分の気持ちを吐き出しているように感じた。
これまでの弥生なら、我慢して一緒にいることを選んだり、「もう好きじゃない、一緒にいたくない」と嘘をついて夏が離れやすいようにしてしまいそうなところだけれど、弥生は本当の気持ちをすべて伝えた。ズルをしたってあなたが幸せになってほしいと、水季の手紙に書かれていたからなのだろうか。
あなたのことが好きだし、一緒にいたいと思っている。そのうえで自分を選んだ。あなたを選ばなかった。そうまっすぐに伝えること。それは、やさしいようで、すこし残酷だった。好きだといいつつ別れを告げるのは、すこしだけズルかった。でもあれくらいのズルはしたっていいよ。がんばって選んだもん、弥生ちゃん。
どんなおわりにもはじまりがあった
冒頭、夏と弥生の出会いのシーンが描かれた。まったくの他人から仕事相手になり、なんとなくお互いの性格が分かり始め、夏が食事に誘い(夏から?? 意外と肉食なんかい……)恋人になるまで。
そこには、ふたりのはじまりの思い出があった。
最後の十数分、駅でのふたりの別れのシーンは、胸がぎゅうぎゅうに締め付けられて、本当に見てられないくらい苦しいシーンだった。
あの弥生の切なさと、弥生の背中を見送った夏の喪失感を感じられたのは、ふたりのはじまりを知っていたからこそだったように思う。
どんなおわり方をしたとしても、そこには必ずはじまりがある。まぶしいほどにきれいな思い出とか、思い返すと笑ってしまうような思い出とか、そんな愛おしいはじまりの思い出があるからこそ、おわりは悲しくて、切なくて、でも顔を上げたらちょっとだけ気持ちが軽くなるのかもしれない。
涙を流すふたりを抱きしめてくれるのは、back numberしかいない
「がんばれ」
そう言って涙を流す弥生の姿は、強くて、美しくて、儚いものだった。
どうにかして弥生を抱きしめなければいけない。この選択をした弥生を、ひとりになることを選んだ弥生を、どうにかして抱きしめなければいけない、そう強く思った。(怖い)
そして電車に乗り込み、背を向けて座る弥生の姿を見て、夏が号泣する。これまた切なく、美しい涙だった。
夏も苦しい選択をしていた。引き留めることもできず、その選択をしてはっきりと伝えてくれた弥生のやさしさも痛いほどによく分かっているであろう夏は、もう泣くしかなかった。背中を見つめて、電車を見送って、涙を流す姿。こちらもどうにかして抱きしめなければいけない。
いっそどっちかが完全に悪いって別れ方をしてほしいほどに、ふたりの気持ちが切なくて、ふたりとも抱きしめなくてはいけない状況に陥った。視聴者のわたしも泣いてるし、もう手に負えない。
そんなときに流れはじめた、back number『新しい恋人達に』のイントロ……涙を流す夏と弥生、そしてテレビ越しに涙を流すわたしをそっと抱きしめる歌詞とメロディー……ありがとうback numberさん。
あの歌詞ってどの登場人物でも当てはまるけれど、今回は完全に夏と弥生のための歌詞だった。大切な人を想う気持ちの全てが書いてある歌詞。染みた……
このドラマにおけるback numberの存在は本当に大きい。夏と弥生を抱きしめたくてもどうしようもできない視聴者のわたしまで抱きしめてくれて、本当にありがたいです。この夏の名曲。
最後に目黒蓮さんのことを
※Snow Manに詳しくない人間の戯言です※
夏くんを演じる主演の目黒蓮さんのことを書きたいのだけれど、この前ネトフリの『WE ARE! Let's get the party STARTO!!』ではじめてライブパフォーマンスをみたのですよ。
ダンスキレキレ、スタイル良すぎ、スーパーアイドルやんけ……ってなったのはもちろんのこと、グループごちゃまぜで歌ってるとき(キンプリのシンデレラガールのときだったと思う)トロッコに乗った目黒さんがマイクを通さず「ありがとう、ありがとう、ありがとう」っていろんなファンの子の目を見て連呼してるのが映ってて衝撃を受けた。
男性アイドルのライブって行ったことないけど、あんなに人気あるアイドルで月9の主演までしちゃう俳優でもあるのに、ひとりひとりに隙あらば「ありがとう」って声かけて回るもんなのか? マイクで会場中に「ありがと~」って言えばそれだけでみんな満足できそうなのに? あんなふうに目を見て自分だけに言われたらファンの子どうなるの? 言われた子たちは大丈夫なの? いつもやってて言われ慣れてるから大丈夫なもんなの?
と、かなりびっくりしてしまいました。誠実なアイドルすぎないか……
『海のはじまり』で夏の誠実さを見てて「実際にこんな男はいない!」と言い切ってたけれど、もしかしたら現実に存在するのかも。それが目黒蓮という男……