初めて宿の有料チャンネルを見た話
多分、2004年頃の話。
中目黒にあるビジネスホテルに宿泊した。
4月で、ちょうど目黒川の桜が満開の時期だった。
たまたまなのか、それともこの頃はまだ有名でなかったのか、
花見に訪れている人は見受けられなく、閑静だった記憶がある。
客室のテレビはブラウン管で横にコインタイマーが付いていた。
昔はこういうテレビがよくあったと思うけど一応軽く説明を。
通常の番組はお金を入れなくても見られる。
成人向け番組に限り有料で、
ここのホテルは10分100円、1時間500円で視聴できる仕様だった。
最初の何秒かは無料のようで、
チャンネルをザッピングすると思わず成人向け番組が現れたりする。
家族で泊まっていたらちょっと気まずくなりそうだ。
この時私は一人で宿泊していた。
フロントで後払いのタイプだったら無理だったけど、
ここは直接清算するシステム。
20歳そこそこでまだ経験もなかった私。
未知の世界を見て一つ大人になる瞬間に気持ちが高まった。
ちゃりんとコインが機械の中に落ちる音がした。
しかし、支払いが完了したにもかかわらず、
モザイクが消えない。
AVでモザイクがかかっているのは無料で見ているからとばかり思っていた私。
お金を払ったのに一番重要な部分が見られないなんて!と落胆した。
だが、たかが100円であってもお金を払ったので元を取る事にした。
AV撮影で知り合った男性と結婚したAV女優が、
夫の実家で義兄といたしてる妄想をしたり義弟に襲われたり…というドラマ仕立ての内容だったのだけど、
夫、義兄、義弟、それぞれ相手が違いシチュエーションも異なるのに、
みんな手順が同じなのだ。
なんなら時間配分も大体一緒。
兄弟だから?似るの?
ちなみに、要所要所で何か視線を感じるシーンがあり、
はじめは根暗そうな義弟が覗いてるのでは…?と疑うのだが、
実は夫と義兄がグルでAV女優がエッチしているところを撮影していてそれを売り出そうとしていたのだった。
という設定のAVを撮っている、という二段オチだった。
とにかく女優さんが大根過ぎて、
これが作品として許可されるなんてと驚くばかりだった。
なぜラストまで知っているのかというと、
「あと10分」を繰り返して最後まで見たから。
結局1時間見たから、それなら最初から500円を入れればよかった。