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東京人が体感した、TOKYOは魅力いっぱいだった

東京生まれ、東京育ちの40代女性は忙しい。休暇をとっていく旅行先は、東京以外のところが大半のはず。でも、あえて東京を一つの目的地として訪れることの魅力を伝えたい。

さあ日本橋、いこう

東京に住んでいるからこそ、美味しい和食が食べられる朝食ビュッフェを楽しむことができる。
ある日曜日、いつもとは違う時間に起きて、日本橋駅に朝8時半に降り立った。

ここから神田駅方面に向かって歩いて行くと、洗練されたおしゃれな建物が立ち並ぶ、マンダリンホテルや台湾の誠品書店などを通り過ぎる。そして、三井ガーデンホテルプレミア日本橋に到着し、このホテルの9階の和食レストランで朝食ビュッフェを食べることにした。

ホテルの入り口に入ると、ふわっと木のアロマの香りに包まれる。リラックスできる空間で、まるで別世界に迷い込んだような気分にさえなる。直通のエレベーターで9階へ上がると、薄水色の着物姿の仲居さんが迎えてくれた。心地よい笑顔に私も自然と笑みがこぼれた。

広々とした和風の部屋に案内され、大きな窓に面した席に座り、気分が良くモーニングのひとときを過ごせそうである。このお店のモーニングビュッフェは和食が中心で、小鉢に沢山の種類の惣菜漬物焼き魚が並び、自分の好きな分だけお盆に載せることができる。ご飯とだし巻き卵と味噌汁は出来立てが提供され、美味しい和食に加え、焼きたてのクロワッサンやヨーグルトフルーツの盛り合わせなど、品数は少ないものの素材にこだわった美味しい料理がある。食後には、和食に合うコーヒー豆と称したコーヒーが提供される。

触れる、愉しむ、愛でる

私にとって、日本橋の街並みはいつでも懐かしさを感じさせる。私が小学生の頃、洋食好きの祖父が、映画館の帰りに老舗の食堂やレストランに連れて行ってくれたことが思い出される。
日本橋タワーの一階にある榛原(はいばら)という和紙の専門店は、まるでバージニアリーバートンの絵本を出てくる『小さなおうち』のようなたたずまい。店内に入ると、身近な和紙の小物たちに心を奪われるような感覚に陥る。

ビルとタワーのあいだに

榛原の千代紙は明治の頃より海外の博覧会などで集められ、今でもヨーロッパの各地の博物館に展示されているそうだ。そんな歴史ある千代紙を手にすると、日本の美しい文化に触れ、愉しむことができる。

明るく並べられた一筆箋を一つ一つ見て歩いていると、いきなり小さな手が伸びてきた。えっ、と驚くとどうやら4歳ぐらいの白人の男の子が、私を母親と間違えて手を繋いできたらしい。なんだか甥っ子に手を繋がれているようで思わず手を握り返してしまった。彼は間違いに気づいて、よほど恥ずかしかったのだろう、母親の方へぴゅうっと走っていった。
こんな異文化交流があるのも、東京の面白さかもしれない。

道具はここにある@かっぱ橋道具街

昼近く、日本橋駅より地下鉄銀座線に乗って七つ目、田原町駅に移動。そこから浅草寺まで、かっぱ道具街が続いている。合羽橋というのは行政の名称ではない。この問屋街はテレビの情報番組でインバウンドの観光客たちに人気のエリアとして紹介されていた。キッチン道具が種類豊富で、廉価で手に入るらしい。

残念ながら、訪問日が日曜日だったため、半分くらいの店は閉まっていた。しかし約半分の開いているお店だけでも、各店舗品揃えがあり、初心者には十分だった。
店店で焼き魚皿やれんげ、キッチン道具などを購入してながらぶらぶら歩いていると、ある金物屋の前で店の男性に声をかけられた。


かっぱ橋のシンボル

その店頭に並んだスプーン、フォークなどの食器は燕三条で作られたもので、品質がいいにもかかわらず、仲買人を通していないため、大変安くなっているという。彼は続けて、いいカトラリーと安物のそれの見分け方を教えてくれた。おかげで、店に入るたびにフォークやスプーンの曲がり具合が気になって仕方がない。
2時間ぐらい店を回って歩いた。それでも見れたのは全体の1/4の店だけだ。

もちろん食器やキッチン用品は、自宅近くでも買える。でもプロから買える場所は、そうは多くないはずだ。かっぱ橋で購入する面白みは、いろいろな道具のストーリーが垣間見えるところにあるのだろう。

浅草寺界隈の魅力


浅草は、東京が誇る観光スポットの一つであり、私たち40代の東京人にも親しみ深い場所である。浅草を散策し、古き良き雰囲気が漂う「ヨシカミ」という老舗洋食レストランで遅めのランチを楽しんだ。
ヨシカミは、有名なビーフシチューとステーキが自慢のレストランであり、受付で名前を書いて30分待つよう指示されたが、混雑しているにも関わらず、スムーズに案内される様子は流石の一言であった。店内に入ると、壁に飾られた歌舞伎役者からお笑い芸人までの色紙が目に入り、この店そのものの歴史を感じた。

そして、何よりもビーフシチューは絶品であった。ほろほろにとろけそうな大きなタンが2枚も入ったタンシチューが熱々で出てきた。今まで食べたビーフシチューは何だったんだろうかと感じるほど、濃厚なデミグラスソースに舌鼓を打ち、コース料理を食べたような満足感があった。


値段は2800円(ライス別)


ランチ後は、浅草寺を散策した。20年ぶりの訪問であったが、道々にたくさんの露店飲み屋が連なっていることに驚いた。大学生ぐらいの若者たちでどの店もいっぱいで、観光客か地元の人か見分けがつかないほどであった。浅草寺までの仲道には、最近の外国人観光客目当てにできたような風体の新しい店がたくさんあったが、古い演芸場もあり、懐かしい浅草の一面を覗かせてくれた。

浅草は、昔ながらの情緒あふれる街並みが残るとともに、最近では外国人観光客にも人気が高まっているため、新しい店舗も増えている。しかし、そんな中でも、ヨシカミのような老舗のレストランは、その歴史や料理の味わいが多くの人々に愛され続ける秘密なのであろう。

浅草には、多様な魅力があり、私たち40代の東京人にとっても、いつまでも新鮮な魅力を感じられる場所である。是非、浅草を訪れて、その魅力に触れてほしい。


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