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「何だ私、笑えるじゃん」舞台『もうがまんできない』に救われた話

これから「好きなお笑いコンビは?」と聞かれたら、『ずっとまってるズ』と答えたい。

あらすじ
東京は渋谷。
ラブホテルや雑居ビルが立ち並ぶ猥雑な裏街。
出来たばかりのセレブリティなマンションの前に、古びたビルがある。そんな猥雑な街の一角で、メジャーになれない解散寸前のお笑いコンビ、デリヘル嬢と店長、浮気妻と間男など、訳ありな人々がたまたま出会い、ワンシチュエーションで交差し、ノンストップで駆け抜ける物語。

『もうがまんできない』公式HPより引用

開幕早々、私の心を掴んで今でも離さない『ずっとまってるズ』

お笑い好きのクドカンさんだからこそなのでか、ネタもめちゃくちゃしっかりしている。


ステージナタリー ウーマンリブ vol.15「もうがまんできない」(撮影:田中亜紀)より引用

阿部サダヲさんと宮崎吐夢の掛け合いも、コント要素があり最高。

体を張ったドタバタコメディで、笑い笑い笑いの連続。

そして、まさかの全裸で登場した皆川さん。

よく分からないことを口走っていて、「なんだこの演劇は?!」と衝撃を受けながらも、笑いが止まらず。

みちる役の荒川良々さんは、今も思い出し笑いをするほど面白かった。

WOWOW『「もうがまんできない」作・演出・監督 宮藤官九郎』10/17(土)の放送を前に出演者からのコメントが到着!より引用

とにかく本がいい。

さすが宮藤官九郎さん。クドカンファンにはたまらない作品。

むしろ多くを語りたくないくらいには、本もいいしキャスト本当に全員がいい。

クドカンさんの「今やりたいこと」を舞台化するというシリーズ。

テレビ規制なども厳しくなる現代、見ようによってはグレーな部分もあった。もしかしたら、不謹慎だと感じる人もいるかもしれない。

でも、その中で比較的縛りがきつくない演劇の世界で、「今やりたいこと」をやってくれたクドカンさん。

笑ったっていい。

笑ってもいい。


実は当時、鬱を拗らせたのか、精神状態がゴミだった私。

このときは、なぜか何をしても楽しいと思えなかった。

人と関わりたくなかった。

上手に笑えなかった。

「笑わなきゃ」と思ってから、顔を作って笑っていた

そんな私が、考えるよりも先に笑っていた。

目を細めて、顔中シワだらけにして、口角なんて表情筋がピリつくくらいギュインと上げて、鼻息も、声まで出しちゃって。


「何だ、私笑えるじゃん」
 

『もうがまんできない』公式HPより引用


ホックホクの観劇後、朝から目を付けていた本多劇場から徒歩3分のスープカレー屋さんに。

本当は公演前に行ってみたのだが、お昼時だったからかまあまあな行列ができていて、何に対してもやる気が出ない私は人だかりを見た瞬間早々に撤退。

しかし!スペシャル舞台を観た後は、無敵状態だったので「パロパリのチキンが入ったスープカレーを食したい!」という本能のまま、食べに行きました。

15時過ぎだったので、空いていてすんなり入ることができ、壁際のおひとり様席へ。

謎の太っ腹モードに突入し、プラス料金のエビスープを選択。

ポニピリカ(https://www.ponipirica.in)さん

そこには、普段は食べないレンコンやにんじん、大根など沢山の種類の野菜が。

歯応えが苦手なブロッコリーも、油で炒めてあるからかしんなりしていて食べやすい。

野菜にしっくり合うスープは、ちょっぴり辛くて、でもエビベースでマイルドな優しい味。

皮がパリッッッパリのチキンは、中はコンフィみたいにしっとりしていてこれもカレーに合う。

あったかくて、人に例えると包容力を感じるようなスープカレー。

夢中で口に運ぶ。

美味しくて、次の一口が早く食べたくて、そのうちあっという間に食べ終わってしまった。

ポニピリカさんのカレーは、“パンチがあるけれど体に優しい”をテーマに、化学調味料は使われていないそう。

パンチのある、思いっきり笑えてハートフルな気持ちになる演劇と、パンチがあって思いっきり食べられる、体に優しい美味しいカレー。

今のわたしに必要な栄養が全て摂取できた一日。

今日を生きていてよかったと思わせてくれた「もうがまんできない」と「すカレー」


2023年5月10日、控えめに言って私は救われた。



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