政宗九セレクト「西村京太郎トラベルミステリーベスト5」
2022年3月に91歳で亡くなられた西村京太郎さん。
列車を舞台にした「トラベルミステリー」を中心に多くの読者に親しまれたことは有名です。
また、ミステリファンにとっても、特にトラベルミステリー発表前に発表された作品に名作が多いことでも知られています。
西村京太郎さんの作品世界をまとめたムック『西村京太郎の推理世界』が文藝春秋から発売されており、西村さんの作品についてや、貴重な記事がたくさん収録されています。全作品647作品の完全リストなど資料もすごいです。
さて、このムックの発売関連で、「オール讀物」編集部が、西村京太郎作品について語るスペースを何度か開催しておりました。
私も2度ほど参加させていただきましたが、そのうち、「トラベルミステリー」に特化した回が「本の話」のポッドキャストにアーカイブされていますので、ぜひお聴きいただければと思います。
西村京太郎トラベルミステリー究極のベスト5とは!? マニア代表の書店員・政宗九さんに聞く!
ここで紹介した「西村京太郎トラベルミステリーベスト5」は
以下の5作品です。
『終着駅(ターミナル)殺人事件』
日本推理作家協会賞受賞作。同窓生が北国へ帰る旅、という郷愁と、犯人の動機が最後の1ページまで分からない構造の妙が素晴らしい。
『寝台特急(ブルートレイン)殺人事件』
記念すべきトラベルミステリーの第一作目。ブルートレインの運転に関する特殊性をトリックに使っている点が斬新。
『ミステリー列車が消えた』
列車一編成が乗客乗員ごと消える、という、西村さん得意の「デカいものを消す」トリックもの。鉄ヲタ心をくすぐるネタがいい。
『特急さくら殺人事件』
私が最初に読んだ西村京太郎作品として思い入れの強い作品。「セノハチ」越えがトリックに使われている。
『四国連絡特急殺人事件』
瀬戸大橋開通前で寝台特急「瀬戸」が宇野行き、四国の特急「南風」などが高松始発だったころの作品。四国各地で事件が起こる旅情部分と、犯人に関する大きなトリックが素晴らしい。
ベスト5には入れませんでしたが、以下の作品にも触れています。
『雷鳥九号殺人事件』
鉄道の特殊な場所を使ったトリックと、法廷劇の面白さ。
『寝台特急あかつき殺人事件』
「あかつき」の(他の列車ではあり得なかった)特殊なダイヤがトリックに使われている。
『札幌着二十三時二十五分』
犯人を追う側の十津川警部が、悪から追われる身になっている逆転設定のタイムリミットサスペンス。
『特急「白鳥」十四時間』
亀井刑事の命に懸賞金が懸けられる、という特殊設定のサスペンス。
残念ながら、現在は入手困難な作品も多いです。
新刊書店で入手可能なものはリンクを貼っています。
入手困難な作品でも、古本屋では比較的入手し易いかと思います。
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