尊敬を恋愛感情と勘違いしていた

私は、すぐ人を好きになる。
これは本当に恋なのだろうか。
ただの気の迷いでは、そう思っていたし大半はそれで正解だった。

そんなふうに、恋愛の定義を正しく理解していなかったので、尊敬を恋愛感情と勘違いしてしまった。本当に好きな人ができたと、自分では思っていたのだ。

一生そばで見届けていたいと思った。誰かに取られたくないと思った。異性と話していると嫌だった。自分をもっとみて欲しかったし、一番になりたかった。恋した時の特徴を調べても見事に当てはまっていた。

自分の恋を疑い始めたのは、相手と同化したい願望に気づいたからだ。
好きな相手に合う服装を探していたのだが、気づけば相手そっくりになってきていたから。相手に合わせる、相手と並んだ時に魅力的に映るものではなく、相手になろうとしていた。振る舞いも気づけば相手に寄っていた。自分なら、はた迷惑で気持ち悪いと思う。

結局のところ、誰にも渡したくないというのも、「天才を独占して功績を見届けていたい」「一番愛していて一番に祝福するのは私」というエゴでしかなかった。
好意をすべて恋愛感情だと思ってはいけないのは理解していたものの、尊敬という存在の立ち位置が難しい。

考えた末、結果的に私は尊敬と恋愛は同じものであっても構わない。
むしろ、それでしか人を愛せない気がするからだ。

自分の恋愛観はプラトニックだと思う。これは昔から感じていた。
だがそれも、尊敬した相手を汚したくないという気持ちからであり、適度な距離感を保ちたいのもそうだ。
無意識的に、恋愛と尊敬が私の中では密接であり、同じでも問題がないのだと思う

私は、干渉されることがひどく苦手で怖い。
だが、今回の恋にあたっては、そんなこと気にならなかった。
恋と等しいほどに、自分の価値観を変えてしまう尊敬とは、恋と変わらないのではないかと思う。

なにより、衝撃的だったのだ。
今までの自分の気持ちに不安になる恋に比べたら、なんてロマンチックで苦しく、必死だったか。今もその情熱は絶えないのだ。
私は、尊敬だと気づいたから恋ではないとは思わない。
気づいた時は混乱するかもしれないが、何も問題はないのだ。
より一層相手が魅力的で、そばにいたいと思えるのだ、不思議と。

愛という不確定なものを信じるのは怖いと思うし、定義なんてない。
難しく考えず原点回帰するだけでいいのだ。
そばにいたい、そう思えば尊敬も本気の恋なのだから。