たった1回の
1回目と同じ感情ってどうして持てないんだろう。
あのワクワク感を、あの緊張感を、なんどもなんども味わえたら人生何百倍も楽しいと思うのになあ。と、本を読む度に思う。
本の楽しみって買う前から始まると思う。
下の方にある、なるべく綺麗で新品な本を選ぶのが最初の楽しみ。
時間をかけて何冊もの同じ本を手に取って、シワがないか、汚れがないかにらめっこ。これだ!と思った本をレジに持っていき、大切に持って帰る。
中古の本は滅多に買わない。楽しみが1つ減るから。わたしにとっての本は新品の本に限る。
なんでだろう。漫画なら許せる。中古でも。
でも小説とか文字の本は嫌。しっかり新品で買いたい。
ルンルン気分で家に帰ったら、ゆーっくり袋のセロハンテープを剥がして中をのぞき込む。
爪を立てないように気をつけながら本を取り出す。ここで謎の満足感。
横にストレートティーを用意して、最初のページをめくる。
わたしは本を開いたら読み終わるまでその場所を動かない。
ご飯も食べないしトイレも行かないし、お風呂も入らない。だって続きが気になるから。本から目を離す時間がもったいない。
小学生の時、夏休みを利用してハリーポッターシリーズを全て読んだ。
約6時間。1冊を読み終えるのにかかる時間。ご飯を食べずに本に没頭してた。
本を途中で閉じるって行為が本当に嫌いだから今もこれは続けてる。
どんどんラストへと続いていく。
本をめくる手に汗が現れてきて、なぞにお腹が痛くなる。緊張してるのだ。
あの嫌な感じ。身体に虫が張ってるかのようにゾワゾワしてきて、唾が大量。ゴックンと飲み込んで少し震える手でページをめくる。
読み終えたらぼーっと余韻に浸る。
1番突き刺さった言葉を思い出したり、涙腺に来たシーンを思い出したり。
お気に入りのページに印をつけて、1度本を閉じる。
そこまで終えたらスマホを手に取ってその本のクチコミを調べる。
うんうん!そうなの!
え〜この人ちゃんと本読んだの?
納得と否定が次々と現れてくる。
本とスマホ画面を交互に見ながらわたし以外の読者が何を感じたのかを自分の中に取り入れていく。
そこまで終われば、もうこの本を開くことは無い。
わたしの読書は1回きり。
本を読み返すということは絶対にしない。
理由なんて簡単で、つまらないから。初めて読んだ時の、あの手に汗握る展開は無い。この後はこうなるってわかってるのに楽しいわけがない。
面白かった、と読み終わってしまった、が複雑に絡み合うなんとも言えない感情が襲ってくる。
2回目でも3回目でも、何度本を読んでもあのドキドキがあればいいのに。
でもその1回があるから特別感が増すっていうのもあるのかなあ。
うーん、なんとも言えない。
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