【来日記念】テイラー・スウィフトの「祝福」と「呪い」(野球編)

米国の音楽界のスーパースター、テイラー・スウィフト(34歳)が、自身6度目となるワールドツアーである"The Eras Tour"で日本を訪問し、2月7日から2月10日まで東京ドームで4日連続、公演が行われる。

1989年生まれのテイラー・スウィフトは2006年にアルバム"Taylor Swift"でデビューして以来、立て続けにメガヒットを連発し、いまや米国の音楽界どころか世界的なアイコンである。

彼女の通算6度目となるライブツアーである"The Eras Tour"は2023年3月に米国でスタートし、ほぼ全大陸を廻る形で2024年11月まで続き、全世界で149公演が予定されているが、2023年の上半期だけでチケットの売上が119万枚、推定3億ドル(約432億円)に達していたという。
2023年では同約10億4000万ドル(約1540億円)と、音楽業界史上初の10億ドル超えを達成し、2023年のツアー興行収入ランキングでトップとなった。
さらには、2023年に行った60公演だけで、Tシャツなどのグッズ販売の売上が2億ドル(約296億円)に達したと報じられている。
米国の音楽業界史上、文字通り、空前絶後のライブツアーとなる見込みだ。

テイラーがライブツアーを行うと、ライブを観に来るファンが飛行機で移動し、宿泊し、現地で消費することで莫大な経済効果が発生し、いまや、「テイラーノミクス(Taylornomics)」「スウィフトノミクス(Swiftonomics)」と呼ばれる”社会現象"となっている。
米調査会社クエスチョンプロの試算によると、この全米ツアーの経済効果は50億ドル(約7400億円)とされている。
日本の調査サイト「経済効果・NET」の試算によると、日本の4日間のライブツアーだけで、なんと341億円の経済効果があるという。

しかしながら、スーパースターともなると、自らの意思や力の及ぶ範囲とは関係のないところで様々な”問題"や"雑音”にも悩まされるようになる。

”The Eras Tour"ではテイラーのファンがプラチナチケットの獲得を巡り、大手チケット販売会社のTicketmaster社の販売方法に批判を浴びせたり、11月のブラジル・リオでの公演では、炎天下の中、主催者側が入場者に水筒の持ち込みを禁じたこともあり(代わりに水の入ったボトルを配布)、公演開始後に観客の女性一人が倒れて搬送され、死亡するという痛ましい事故が起きたりもした。

テイラーの影響力が及ぶのはもはや音楽界、経済だけではない。
テイラーは政治的な立場では「リベラル」であり、米国の共和党からはテイラーの存在が米国の大統領選挙の行方を左右するのではないかという「懸念」が生まれるほどの影響力を持っている。

また、かつて特に米国のスポーツメディアでは、テイラー・スウィフトの音楽活動と、MLBの優勝チームの行方を真面目に結び付けて考察することが一時期、流行した。

ここでは、テイラー・スウィフトの「祝福」を受けたとされる野球チームと、「呪い」をかけられたとされる野球チームを見てみよう。

テイラー・スウィフトの「祝福」を受けたチーム


2006年 デビューアルバム"Taylor Swift"

テイラー・スウィフトは1989年12月13日、ペンシルバニア州のウェスト・レディング出身で、2006年10月24日、自身最初のアルバムとなる"Taylor Swift"をリリースすると、Billboard アルバムチャートでは最高5位まで上がり、カントリー・アルバム部門で1位を獲得した。
ソーシャルメディアの"MySpace"を積極的に活用し、カントリー歌手とは異例ともいえる、若年層からの支持を得ることに成功した。

2008年 2枚目のアルバム”Fearless"

2008年、テイラーは2枚目のアルバムを制作し、その先行シングルとして9月に”Love Story”をリリースする。

その年のワールドシリーズは、テイラーの地元チームでナショナル・リーグ優勝のフィラデルフィア・フィリーズが進出し、ア・リーグ優勝チームのタンパベイ・レイズと「世界一」を争うことになった。

レイズの本拠地で始まり、両チームが1勝1敗となって、フィリーズの本拠地、シティズンズパークでの第3戦を迎えた10月25日、18歳のテイラーは試合前にアメリカ合衆国の国歌である”The Star-Spangled Banner(星条旗)"をアコースティックギターを抱えて歌った。

テイラーは2006年6月にデビューシングル"Tim MacGrow(ティム・マグロウ)"をリリースしている。

この曲名の由来となったのは、地元出身のカントリー歌手であるティム・マグロウの名前である。
この日、ティムは地元青少年組織 "ボーイズ&ガールズ・クラブ・オブ・フィラデルフィア" 所属の18歳女性が始球式のボールをマウンドへ持っていくときに彼女に付き添うという役目を担っていた。

だが、ティムが呼ばれたのは、テイラーの「脇役」としてではない。
ティムの父であるタグ・マグロウはサウスポーとして活躍したメジャーリーガーで、ニューヨーク・メッツでは1969年にクローザーとしてメッツ史上初のワールドシリーズ制覇の原動力、「ミラクル・メッツ」の一員となった。その後、1975年にフィリーズに移籍すると、今度は1980年のワールドシリーズでフィリーズが球団創設初となる優勝を決めたときもクローザーとしてマウンドに立ち、最後のバッターから三振を奪ったという、フィリーズのレジェンドであった。
タグは現役を引退して20年後の2004年1月に死去しており、マグロウはマウンドに父の遺灰を撒いた。

テイラーとティムの応援とタグの「御加護」があったのだろうか。
この日、フィリーズは4-4で迎えた9回裏、敵失でつくった無死満塁のチャンスで、最後は8番・キャッチャーのカルロス・ルイーズのボテボテのサードゴロの間に三塁走者がホームに還り、劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

勢いに乗ったフィリーズはそこからホームで3連勝し、28年ぶりにワールドシリーズを制覇した。
それは同時にテイラーが、最初に「勝利の女神」になった瞬間であった。

フィラデルフィアが歓喜に沸いた2週間後、テイラーは11月11日に、セカンド・アルバム"Fearless(フィアレス)"をリリースすると、発売後1週間で59万2000枚を売り上げ、Billboardのアルバムチャートで初登場1位を記録した。
シングルカットされた4曲のうち"You Belong With Me"は、Billboard Hot 100で自己最高の2位に達した。

2010年第52回グラミー賞では、テイラーのアルバムの"Fearless"が、「最優秀アルバム賞("Album of the Year")」と「最優秀カントリー・アルバム賞」、"White Horse"は「女性カントリー・ヴォーカル・パフォーマンス賞」と「最優秀カントリー・ソング賞」を受賞し、計4冠を獲得した。
当時21歳のテイラーは「最優秀アルバム賞」を獲得した史上最年少のアーティストになった。


2010年 "Speak Now"

2010年10月25日、テイラーが3枚目のアルバム"Speak Now"をリリースするとわずか1週間で100万枚を売り上げた。

2010年のMLBのワールドシリーズは、サンフランシスコ・ジャイアンツとテキサス・レンジャーズとの間で行われ、テイラーのアルバムリリースの6日後、ジャイアンツが4勝1敗でレンジャーズを下し、56年ぶり、6度目のワールドシリーズ制覇を果たした。

2012年 "RED"

2012年10月22日、テイラーが4枚目のアルバムとなる"RED"をリリースすると、2日後にワールドシリーズが始まり、サンフランシスコ・ジャイアンツ(ナショナル・リーグ)とデトロイト・タイガース(アメリカン・リーグ)で争われ、10月28日に、ジャイアンツが4勝0敗で、2年ぶり7回目の優勝を果たした。"RED"は最初の1週間で、120万枚の売上を記録した。

2014年 ”1989"

2014年10月27日、テイラーが5枚目のアルバム"1989"をリリースすると、その2日後、ワールドシリーズ第7戦でサンフランシスコ・ジャイアンツがカンサスシティ・ロイヤルズを3-2で破り、2年ぶり8度目のワールドシリーズ制覇となった。
テイラーのアルバムは最初の週で128万枚を売り上げた。

なお、このアルバムからシングルカットされた、"Shake it off(シェイク・イット・オフ)"、""Blank Space(ブランク・スペース)"、”Bad Blood(バッド・ブラッド)"はBillboard Hot 100でいずれも1位となるヒットを記録した。

さらに、2016年の第58回グラミー賞は、テイラーはアルバム"1989"で「最優秀アルバム賞」を受賞し、女性アーティストとしてはグラミー史上初となる2度目の受賞を達成した。

しかも、テイラー・スウィフトがアルバムをリリースする度に、サンフランシスコ・ジャイアンツがワールドシリーズを制覇するという現象が3度も続けて起きたのである。

勿論、これは単なる偶然の一致である。

2017年 ”Reputation"

2017年11月10日、テイラーは3年ぶりとなる6枚目のアルバム"Reputation"をリリースしたが、その9日前、ワールドシリーズではヒューストン・アストロズがロサンゼルス・ドジャースを4勝3敗で破り、1962年の球団創設から56年目にして初のシリーズ制覇の栄冠をつかんだ。

2019年    "Lover"

その2年後、2019年8月23日にテイラーは7枚目のスタジオ・アルバム"Lover"をリリースしたが、この年のワールドシリーズ制覇はワシントン・ナショナルズであった。
ナショナルズは4勝3敗でヒューストン・アストロズを破り、1969年の球団創設以来、51年目で初の優勝を果たした。

2020年 "Folklore"/"Evermore"

COVID-19によるパンデミックが起きた2020年、7月24日にテイラーは8枚目のアルバム"Forklore"をリリースし、さらに12月11日には、9枚目のアルバム"Evermore"をリリースするが、この年、MLBは60試合の短縮されたシーズンとなり、ワールドシリーズを制覇したのはロサンゼルス・ドジャース(32年ぶり7度目)であった。

なお、2021年の第63回グラミー賞で、テイラーはこのアルバム"Folklore"で自身3度目となる「最優秀アルバム賞」を受賞し、グラミー史上、最多タイとなる記録をつくった。

2022年  "Midnights"

2022年10月21日、10枚目のスタジオ・アルバム"Midnights"をリリースしたが、ワールドシリーズはヒューストン・アストロズが5年ぶりに制覇した。

かくして、テイラー・スウィフトのアルバムリリースと、MLBのワールドシリーズ制覇には何の関係もなかったことが証明された一方、今度は別の「ジンクス」がささやかれ始めた。

テイラー・スウィフトの「呪い」を食らったチーム

2015年 "The 1989 World Tour"

テイラー・スウィフトは2014年10月にリリースしたアルバム"1989”をひっさげて、2015年5月から世界ツアーを開始した。
しかも、その皮切りは5月5日・6日の東京ドームの2日公演だった。

その後、米国に戻って、主にNFL(アメフト)、MLBのチームの本拠地やアリーナで公演を行う予定になっていた。

7月13日・14日 ナショナルズ/ナショナルパーク

テイラーは7月13日と14日、ワシントン・ナショナルズの本拠地であるナショナルズパークでライブを行った。

ナショナルズはナショナル・リーグ東地区で、48勝39敗で首位を走っており、オールスターウィークに突入した。

オールスター明けの7月18日、ナショナルズパークに還ってきたナショナルズを待ち受けていたのは、「ブラックアウト」だった。

ナショナルズパークの三塁側の照明が故障したのだ。

試合は1時間22分も中断し、やっと再開したと思えば、再び、照明が落ちた。今度は40分の中断を経て再開されたが、ナショナルズの選手が6回表の守備についたところで3度目の故障が起き、試合は続行不能という判断が下された。

5回裏を終わって、ナショナルズは3-2でリードしていた。
NPBであればコールドゲームが宣告されていてもおかしくはないが、MLBの場合、試合が続行できない理由が照明の不具合である場合、サスペンデッドゲームが宣告される。
この試合の続きは翌日のに予定されている同じナショナルズ対ドジャーズ戦の前に行われることになった。
結果はナショナルズが5-3で逃げ切った。

停電で試合が中断した夜、ナショナルズのエース右腕で、サイ・ヤング賞受賞経験もあるマックス・シャーザーは当時、Twitter(現X)にこうツイートした。


「最後にナショナルズ・パークを使ったのは誰だ?
テイラー・スウィフトだろ。
今夜の停電は彼女のせいだな。
いま俺たちは”ご機嫌斜め”さ」


テイラーの曲には"Bad Blood"という曲がある。
シャーザーは半分、冗談のつもりで書き込んだのだろう。

だが、ナショナルズはこの後、チーム状態が悪化してしまうのである。

テイラーのライブの後、7月は6勝8敗で終えると、8月中旬に6連敗を喫し、地区首位から陥落してしまうと、ニューヨーク・メッツが地区優勝を果たし、ナショナルズは2位に沈んだばかりか、ポストシーズン進出のワイルドカード争いにも敗れて終戦した。

特にテイラーに「冗談」を飛ばしたシャーザーはそれまで18試合に登板して、10勝7敗、防御率2.11と好成績であったが、この発言以降、15試合に登板して、4勝5敗、防御率3.72と調子を落とし、チームの”失速”の一因ともなってしまった。

8月29日 パドレス/ペトコパーク

それだけではない。
テイラーは8月29日、サンディエゴ・パドレスの本拠地であるペトコパークでライブを行った。

パドレスはこの時点で62勝67敗、ナショナル・リーグの西地区4位と、残り試合を考えればポストシーズン進出の望みも薄くなっていたが、テイラーのライブの後、さらにチームは負けが混み、12勝21敗と大きく負け越して、4位に終わった。

9月9日 アストロズ/ミニッツメイド・パーク

続いてテイラーは9月9日、ヒューストン・アストロズの本拠地であるミニッツメイド・パークでライブを行った。
アストロズは76勝64敗でアメリカン・リーグ西地区で首位を走っていた。

しかし、この後、アストロズは10勝13敗と失速し、テキサス・レンジャーズに地区優勝をさらわれた。
ワイルドカード枠でのポストシーズン進出はなんとか決めた。
(その後、結局、アストロズはALDSで敗退した)

このあたりで、北米のスポーツメディアが騒ぎ始めた。

テイラーがライブを行ったボールパークを本拠地にしているチームが”失速”していると。

次にテイラーがMLBチームの本拠地でライブを行うのは、トロントのロジャースセンターで、トロント・ブルージェイズの本拠地だった。

「テイラーの呪い」に抗してワールドシリーズ進出を目指したブルージェイズ


アメリカン・リーグ東地区のトロント・ブルージェイズは1991年・1992年にワールドシリーズ2連覇を達成したが、その後、地区優勝から長らく遠ざかっており、ワイルドカードでのポストシーズン進出も果たすことができなかった。

しかし、このシーズンは7月に大型補強を行い、8月以降は2勝1敗ペースで快進撃を続けて、ついにア・リーグ東地区の首位に立った。

ブルージェイズの本拠地、ロジャース・センターでテイラーがライブを行う予定は10月2日であった。
幸運なことに、ブルージェイズは9月30日、敵地のボルティモアで22年ぶりとなる地区優勝を決めた。

そしてポストシーズンに突入し、ブルージェイズは西地区優勝のテキサス・レンジャーズと、3戦先勝のディビションシリーズ(ALDS)を戦うことになった。

ブルージェイズの本拠地・ロジャースセンターで開催された第1戦、ブルージェイズは5-3で敗れると、続く第2戦も延長14回の末、4-6で敗れ、あっという間に後がなくなった。

第3戦からはレンジャーズの本拠地、アーリントン・ボールパークで開催されたが、ブルージェイズが2連勝し、2勝2敗のタイに持ち込んだ。
そして、第5戦もブルージェイズが6-3で勝利し、3連勝でリーグチャンピオンシップへの進出を決めた。

これでブルージェイズは「テイラーの呪い」を破ったように見えた。
続く、アメリカン・リーグチャンピオンシップ(ALCS)では、カンサスシティ・ロイヤルズと対戦することになった。

敵地のカウフマンスタジアムで初戦を迎えたが、ロイヤルズに0-5で敗れた。
第2戦、ブルージェイズが6回まで3-0とリードしていたが、7回、それまで無失点に抑えてきたエース左腕のデビッド・プライスが突如、崩れ、一挙5点を失い、ブルージェイズはそのまま敗れ、2連敗となった。

移動日を挟み、ブルージェイズの本拠地に戻って、第3戦が行われた。
ブルージェイズが11-8で勝利し、なんとか一矢を報いた。
ポストシーズンでブルージェイズが本拠地で勝利するのは22年ぶりである。

第4戦はロイヤルズが14-2で圧勝し、ワールドシリーズ進出に王手を懸けた。
後がないブルージェイズはホームでの第5戦、7-1で勝ち、2勝3敗まで戻した。

だが、第6戦、本拠地に還ったロイヤルズが3-3で迎えた8回裏、1点を勝ち越し、そのまま4-3で逃げ切って、ワールドシリーズ進出を決めた。

ブルージェイズはロイヤルズと「テイラー・スウィフトの呪い」の前に22年ぶりのワールドシリーズ進出を逃した。

2015年に「テイラーの呪い」を食らったもう一つのチーム

2015年、MLBで「テイラー・スウィフトの呪い」を食らったチームは4チーム、うち3チームはテイラーのライブの後、首位から陥落し、2チームはポストシーズン進出を逃し、ポストシーズンに進出したアストロズも敗退、最後に残ったブルージェイズもワールドシリーズ進出を逃した。

だが、「テイラーの呪い」を受けたチームは実はもう1チームあった。

2015年 読売ジャイアンツ

それでは読売ジャイアンツである。
冒頭に、テイラーの"The 1989 World Tour"のオープニングは5月5日・6日、東京ドームの公演で始まったと書いた。
東京ドームを本拠地にするのは読売ジャイアンツだが、2012年から2014年まで、原辰徳監督の下、リーグ3連覇を達成していた。

この年の巨人は4月終了時点では2位のヤクルトに1ゲーム差をつけて首位に立っていたが、テイラーが東京ドームでライブを行った5月5日、広島での遠征中で最下位の広島カープに1-13と大敗を喫し、首位から陥落すると、テイラーの東京ドームライブ2日目となった翌5月6日も巨人は1-4で敗れ、まさかの3タテを食らった。

それでも5月終了時点までは巨人は30勝24敗で、首位ヤクルトに次いで2位につけていたが、パ・リーグとの交流戦の4カードで負け越したことで、セ・リーグのペナントレースの「混迷」が深まった。
7月3日の終了時点で、セ・リーグ史上初めて、全6チームが負け越すという”異常事態”に陥ったのである。

しかも、首位・ヤクルト(勝率.4933)、2位・阪神(同.4931)、3位・巨人(同.487)、4位・DeNA(同.4864)、5位・広島(同.4861)と、1位から5位までがゲーム差0.5内にひしめき、6位の中日(同.440)ですら、首位まで3.5ゲーム差までという大混戦になった。

その後、7月中旬以降は、ヤクルト、巨人、阪神との三つ巴の争いとなり、9月に入ると、阪神が脱落し、ヤクルトと巨人の一騎打ちとなった。

しかしながら、巨人は攻撃陣で規定打席に達したのが坂本勇人と長野正義の二人だけで3割打者はゼロ、ホームランもチームトップは長野と阿部慎之助の15本で長打力を欠いた。
先発投手陣はマイルズ・マイコラスがリーグ3位の防御率1.92でチームトップの13勝(3敗)を挙げたが、エース菅野智之はマイコラスを上回る防御率1.91と好投しながら、10勝11敗で負け越すなど見殺されたことで勝ち星が伸びず、巨人はリーグ4連覇を逃し、2位に甘んじた。

巨人はクライマックスシリーズではファーストステージこそ、3位・阪神を2勝1敗で破ったが、ファイナルステージでは首位・ヤクルトに4勝1敗で敗れた。

しかも、シリーズ最終戦の神宮球場での試合後、原辰徳監督が辞任を発表し、10年に及ぶ第2期原政権が終わりを告げることになった。

さらに激震が走ったのは、後任の監督にベテランの高橋由伸が指名されたことで、現役引退を余儀なくされたことだった。
そして、さらに追い打ちをかけるようにオフには、巨人の複数名の選手の野球賭博が発覚し、その対応を巡り巨人のコンプライアンスに対する姿勢に厳しい非難と目が向けられた。

2015年の日米の野球界で起きたことは、テイラー・スウィフトとは何の関係もない。

だが、これらのチームが「勝利の女神」に見放されたことは間違いない。

テイラーの関心は、「野球」より「アメフト」?


テイラーの新恋人は、アメフトNFLの選手

テイラー・スウィフト本人は昨年から、NFL/カンザスシティ・チーフスのタイトエンド、トラヴィス・ケルシーとの交際が取り出たされており、昨年9月にはNFLの試合があったスタジアムの観客席で熱狂的に応援している姿がSNSでも拡散され、試合後にツーショットも目撃されている。

テイラーの観戦によって、ケルシーのレプリカジャージの売上が数倍に増えるなど、「テイラー効果」はここでも健在である。

ケルシーの所属するチーフスは、1月29日、テイラーの目の前でNFLのスーパーボウルへの出場を決めており、2月12日の「決戦」にも、テイラーは駆けつける予定である。

"The Eras Tour"で野球場でライブが行われるのは東京ドームだけ


一方、北米プロスポーツ史上最大の大型契約を結んだ大谷翔平を、「野球界のテイラー・スウィフト」としてみる向きもある。

だが、テイラーは「野球の女神」になることはもうこりごりなのかもしれない。

テイラーの今回の"The Eras Tour"だが、北米で行われるライブの会場に、MLBチームの本拠地は一つも選ばれていない。
これは偶然なのか、意図的なものなのだろうか?

図らずも、今回のツアーで唯一、野球場で行われるのは東京ドームだけである。
阿部慎之助・新監督の下、2020年以来となるリーグ優勝、2013年以来の日本一の奪還を目指すジャイアンツにとって、テイラーは「女神」になってくれるのだろうか。

P.S.

2月4日(現地時間)に米国ロサンゼルスで第66回グラミー賞の授賞式が行われ、テイラー・スウィフトは自身10枚目のアルバム"Midnights"で「最優秀アルバム賞」を受賞した。
テイラーの同賞受賞は4回目となり、フランク・シナトラ、スティービー・ワンダー、ポール・サイモンの各3回を抜いて歴代最多を更新した。








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