翠月

好き×好きの物語を自分が楽しむために書いてます。物語はフィクションであり、実在の人物や…

翠月

好き×好きの物語を自分が楽しむために書いてます。物語はフィクションであり、実在の人物や団体とは全く関係ございません。全体のストーリーラインも考えてはいますが、基本的に書きたいシーンを並べているだけです。また、キャラによってスポットの当たり方にかなり差があります。ご理解ください。

最近の記事

日向坂×セイバー #53

  ◇ ひより  「あ、おかえり菜緒」  ロビーの入口からひょこっと顔を出した菜緒に声を掛けた。 「ただいま」 「愛萌とお出かけだったっけ?楽しかった?」そこまで訊いたところで、菜緒が何かを抱えていることに気づく。「何それ?」 「ああ、これ、まながくれた。クリスマスプレゼントだって」そう言って菜緒が掲げたのは、大きなトリケラトプスのぬいぐるみだった。 「あ、それ誕生日に渡そうとしてたやつじゃん」 「え?」 「愛萌が菜緒の誕生日に渡そうとしてたやつだよ。言ってなかった?」  

    • 日向坂×セイバー #52

        ◇ 菜緒  陽菜が駆けつけた後も、当然あっさりと勝利とはいくはずもなく、苦戦を強いられた。 「貴様らも、仲間の殺し合いを楽しむといい。残った奴は俺の手で終わらせてやろう」  そう言ったレジエルは、明里に赤い光弾を放った。 「危ない!」  反射的に明里を庇った結果、菜緒が光弾を食らった。 「菜緒!」  明里の声が聞こえたときには、意思に反して声の方へ剣を振りかぶっていた。 「ははっ、傑作だなあ!」剣をぶつけ合う菜緒と明里、陽菜を見て、レジエルがこれまでにないほど狂気的な笑

      • 日向坂×セイバー #51

          ◇ 美穂  一泊二日の温泉旅行を終えて、ノーザンベースに戻ってきた。ソロモンはあくまで一時的に封印したに過ぎず、さらにはあの力であれば復活は間違いないため、これ以上はあまりのんびりしていられない。  ロビーには美穂の他に史帆、菜緒、愛萌の計四人がいた。久美はサウザンベースの皆々様にお土産を渡しに行っていて、美玖は写真の整理と現像に忙しいらしく、優佳は帰り道で解き出したクイズに熱中して未だに自室で頭を捻っている。彩花と芽依は、どちらかの部屋で二人で冬服のファッションショー

        • 日向坂×セイバー 特別編 #3

          ※特別編は剣士たちのリフレッシュ旅行を描いた話です。戦闘シーンは一切ございません。 ※今回は人によってはややセンシティブな内容があるかもしれません。ご了承ください。   ◇ 彩花  「ああ……あれ?」  目を覚ますと、部屋は既に暗く、というより先程まで久美の部屋にいたはずなのにいつの間にか芽依との二人部屋に戻っていた。 「あ、起きたー?」隣のベッドに腰掛けてスマートフォンを見ていた芽依が、こちらに気づいて降りてきた。「大丈夫?」 「どうなってんの?何してたんだっけ」記憶を

        日向坂×セイバー #53

          日向坂×セイバー 特別編 #2

          ※特別編は剣士たちのリフレッシュ旅行を描いた話です。戦闘シーンは一切ございません。   ◇ 陽菜  露天風呂のお湯に浸かってぼんやりとしていると、突然後ろから誰かに抱きつかれた。 「だーれだ」 「史帆さんですか?」 「あったりー」もはや最初から隠す気がないような様子だった。史帆は抱きついたままお湯に入り、陽菜の身体の後ろに入り込んだ。  しばらくそのまま、外の景色を眺めていた。なんだか都会で見る夕陽よりも、遥かに綺麗に見えた。 「なんか、いつも見てる太陽とは別物みたい」史

          日向坂×セイバー 特別編 #2

          日向坂×セイバー 特別編 #1

          ※特別編は剣士たちのリフレッシュ旅行を描いた話です。戦闘シーンは一切ございません。   ◇ 愛萌  「着いたー!」  歓声を上げて、皆がバスを降りていく。 「河田さん大丈夫?」  久美と彩花に支えられた陽菜が、最後に降りてきた。酔い止めを飲まなかったらしい陽菜は、山道を走るバスの中で酷い車酔いにやられた。ブックゲートですぐに来ても良かったのだが、道中も大事な思い出だろうという意見から交通機関を利用して来ていた。 「ごめんなさい……大丈夫です」ふらふらと歩く陽菜は、全く大丈

          日向坂×セイバー 特別編 #1

          日向坂×セイバー #50

            ◇ 愛萌  離れた場所から、菜緒と久美が同時に変身するのを見ていた。  そうだよ、菜緒。菜緒はもっと素直に、自分の心のままに生きていいんだよ。  全員揃ったからといって簡単に形勢逆転とまではいかないが、明らかに雰囲気が変わったのを感じた。  何より、連携が非常に上手く取れていた。各々が自分の為すべきことを、完璧に把握していた。  優佳がシャドーとなって、ソロモンに近づく。ソロモンの振った剣は、シャドーを全て通り抜けた。その特性を利用して、美玖が優佳の後ろから弾丸を連射し

          日向坂×セイバー #50

          日向坂×セイバー #49

            ◇ 菜緒  「本気でだよ。本気の一騎打ち」  数メートル先に立つ美穂がまた言った。湖から少し歩き、開けた場所で対峙している。 「なんのためにこんなこと」 「負けた方が相手の言うことを聞く。いい?私がが勝ったら菜緒に言うことを聞いてもらう」  一方的にそんな条件付けをされても戸惑うばかりだが、美穂は返事は受け付けないとでも言うようにライドブックを開いた。 『玄武神話』 「変身!」  仕方なく菜緒もライドブックを取り出し、開く。 『ジャアクドラゴン』 「変身」  両者変身し

          日向坂×セイバー #49

          日向坂×セイバー #48

            ◇ 菜緒  周囲は砂漠の如く、左手に美玖が、右手には彩花が倒れている。  荒廃した光景が、菜緒の絶望を深くした。 「やっぱり……これしかないんだ……」  一歩、二歩と踏み出すと、思い切り闇黒剣を地面に突き刺した。  剣から、地面を伝って真っ直ぐにソロモンに向かって闇の力が伸びていく。相手に届いた瞬間、動きが止まった。 「なに?」レジエルは急に動かなくなったことに戸惑っていた。 「私と共に闇に消えろ!」突き刺した闇黒剣に力を込める。  相手は一度闇の力を振り払ったが、すぐ

          日向坂×セイバー #48

          日向坂×セイバー #47

            ◇ 芽依  「なあ、これやばくない?」  思わず隣の史帆に話しかけた。モニター越しに見ても、仲間たちと相手の力の差は歴然で、これまで自分たちが戦ってきた相手とは明らかにレベルが違って見えた。 「うん……」いつも戦闘に関しては自信を持っているように見えた史帆も、さすがに真剣な顔でモニターに見入っていた。 「あれはソロモン。知っての通り、不完全ながら全知全能の書の力を持つ相手だ。その力はメギド幹部の比じゃない」大石橋が、こちらの意思を汲み取ったように教えてくれる。 「勝てる

          日向坂×セイバー #47

          日向坂×セイバー #46

            ◇   全知全能の書の完全復活は失敗に終わったものの、剣士と世界を繋ぐ存在が無事に残ったことについては幸いだった。彼女たちなくしては、せっかくここまで順調に進めてきた計画が台無しになる。  理想としてはここで全知全能の書を完全に復活させたかったが、それは実際のところいつでも出来る。それまではメギドを動かせておけばいいだろう。奴らは勝手に事を進めてくれるはずだ。  全知全能の書の力に触れれば、聖剣の力はますます強くなる。それこそが自分が求めているものだ。  その力を得たあ

          日向坂×セイバー #46

          日向坂×セイバー #45

            ◇ 菜緒  雷鳴剣がオブジェに刺さるのを確認すると、そろそろ潮時だな、と判断した。 『月闇居合!読後一閃!』  飛び上がり、上からオブジェに向かって斬撃を飛ばした。斬撃が命中し、刺さっている聖剣のエンブレムが黒く染まった。 「菜緒...…?一体何を」 「聖剣は全て封印する」それだけ答えると、すぐに敵に向き直った。  突然、甲高い声が響いた。  上を見ると、燃え盛る鳥のようなものがこちらに降りてきた。 『永久の不死鳥!無限一突!』  そのフェニックスは、一直線にサーベラと

          日向坂×セイバー #45

          日向坂×セイバー #44

            ◇ 菜緒  部屋に帰ってくると、真っ先に救急箱のある棚に手をかけた。スマートフォンは持っていたため、手当の方法を調べて必要な道具を取り出す。剣士になるまでは救急箱とは無縁の生活だったため、中身は全てほぼ新品状態だった。運のいいことに、棚の奥には包帯まで置かれている。  服を脱ぎ、手順に従って処置を進めていく。包帯の腹のあたりはすぐに鮮やかな赤色に染まった。まだ血が乾ききっていなかったのか。  包帯を隠すように再び服を着て、コートを羽織った。これでぱっと見は怪我人には見え

          日向坂×セイバー #44

          日向坂×セイバー #43

            ◇ ひより  振り返ると、混合種が起き上がるのが見えた。 「は?まじしぶとすぎなんだけど」思わず嘆く。 「お互い様だろうが」蘇生した混合種が笑う。「俺も、お前も、不死身同士だ」  その言葉の通り、両者共に倒しては敗れ、倒されては蘇りを繰り返していた。不死身同士の、キリがない戦いだった。 「俺とお前は似た者同士なんだよ」 「一緒にしないでほしいんだけど」 「一緒なんだよ。思い出してみろ」 「最初の?あれはそっちが勝手に」 「そういう話じゃねえよ」いつの間にか混合種の声から

          日向坂×セイバー #43

          日向坂×セイバー #42

            ◇ 芽依  しばらくみんなでお話したり遊んだりしていると、大石橋が明里のライドブックを持って帰ってきた。 「解析の結果、破滅の書の中に眠っていた竜とブレイブドラゴン、それに光と闇の力が反応してこのライドブックが生まれたことがわかった」と説明されるが、芽依には何を言っているのかさっぱりわからない。 「光と闇?なんで?」彩花も首を傾げて尋ねた。 「今回覚醒した火炎剣と水勢剣が、最初に覚醒した時のことを覚えているか?」 「丹生ちゃんは私とリベラシオンで特訓したよね」優佳の言葉

          日向坂×セイバー #42

          日向坂×セイバー #41

            ◇ 明里  ファルシオンは本当に強敵だった。破滅の書というだけあって、どの攻撃にも破壊衝動のような凶暴性が感じられる。 「ひよたん!」左から聞きなれた声が聞こえる。 「陽菜!」思わずそちらを向いた瞬間、『不死鳥無双切り!』と聞こえた。 「危ない!」美穂が土豪剣で地面を叩くと、巨大な岩の壁が現れ、攻撃を相殺してくれた。 「変身!」陽菜も変身してひよりに駆け寄る。  しばらく攻防が続く。三対一なのに、なかなか手強い。 「私が隙を作るから、二人で決めて」そう言うと美穂はひより

          日向坂×セイバー #41