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【役員インタビュー】CHRO野川 真木子が語る 組織の変革と展望
現在、三菱マテリアルは組織の多様性を広げる取り組みを本格的に進めています。その中核を担っているのが、執行役常務CHROの野川 真木子さんです。
当社に参画してから数年。野川さんは組織の課題をどのように捉え、どのように改善に取り組んできたのでしょうか。また、多様性の推進や個々の力を引き出す組織づくりに対する想いとは。野川さんが描く当社の未来と、その先にある目標についてお話を伺いました。
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野川 真木子 (のがわ まきこ)さん
三菱マテリアル 執行役常務CHRO
一橋大学社会学部卒業後、花王にて営業、人事を担当。2001年ゼネラル・エレクトリックに入社。日本、アジア・パシフィック、中欧・東欧地域において複数事業部門の人事を担当。2012年日本IBM入社。IBM米国本社出向、グローバル・ビジネス・サービス事業担当人事執行役員を経て、2016年3Mジャパン執行役員人事担当。2021年4月、三菱マテリアル執行役員人事部長に就任、2022年4月より執行役常務人事戦略担当、2023年4月より現職。
会社の源泉である“人”の可能性を解き放つ
── 当社に参画された2021年に、組織面でどのような課題を感じましたか。
最初に感じたのは、組織がとても均質的だという点でした。社員の皆さんが似たようなバックグラウンドを持ち、同じような経験を重ねてきている。そのおかげで、確かに強い一体感や仲間意識が根付いていて、これは簡単に築けるものではない、素晴らしい資産だと感じました。一方で、個々の力や可能性に焦点を当てる機会が少ないのではないか、という印象を受けたのも事実です。
また当時は、社員全員が同じ性質を持っていることを前提としたような制度や取り組みが多い印象がありました。「ローテーションすれば人は自然と育つ」という通念が、ある種の神話のように組織に根付いているのを感じたとき、少し違和感を覚えました。
これまでリーダーシップ開発に力を入れている外資系企業で長年キャリアを積んできた私にとっては、性別や勤続年数に関係なく個々人のパフォーマンスに基づいて評価されることは当たり前でした。そのため、社員一人一人が持つ能力や可能性がさらに活かされる仕組みをつくれば、この組織の強みがさらに引き立つだろう、そんな確信も同時に抱きました。
組織というのは、何よりも人の力で動いていくもの。人は、会社が生き残り、成長を続けるための源泉です。この当たり前の事実がもっと広く浸透していけば、この組織はさらに大きな可能性を手に入れることができると感じました。
── 参画後、さまざまな取り組みをされてきましたが、野川さんご自身が感じられている人事・組織面の変化について教えてください。
短期間で多くの取り組みを実行してきましたが、最初は一つひとつの施策について理解を得られない場面もありました。しかし、何年間か重ねて続けていくことで、共感してくれる方が増え、組織全体に少しずつ変化が根付いていくのを目の当たりにしています。
特に印象的なのは、「キャリア」という言葉が日常会話で聞かれるようになったことです。私が入社した頃は、まだその言葉があまり使われることはありませんでした。1-on-1やパフォーマンスマネジメントなどの施策を展開する中で、社員自身が「自分のキャリアをどう築いていくか」をより意識するようになったと感じています。
多様性を受け入れられる組織こそが、次の時代を切り拓く
── 当社ではDE&Iの推進を強化していますが、その背景についても教えていただけますか。
今の時代には、性別や勤続年数、キャリアのバックグラウンドなどにとらわれず、多様な人材を受け入れ、チームとして力を発揮していくことが不可欠だと感じています。
多様な人材が集まることで、これまでにはなかった発想や働き方、コミュニケーションの方法が生まれていくからです。単に新しいアイデアを得るだけでなく、組織全体が柔軟性を持ち、外部の変化に対応できる力を身につけることにもつながります。特に、経済や社会が急速に変化していく中で、こうした多様性を受け入れてチームの力に変えていかれる組織こそが、次の時代を切り拓く「ブレイクスルー」を起こせると信じています。
さらに、日本全体としても人口減少が進み、労働力の確保がますます難しくなっています。だからこそ、性別や年勤続年数、国籍に関係なく、一人ひとりが持つ力を最大限に発揮し、自身の可能性を広げられる環境を整えることが、組織にとっての新たな活路になると考えています。
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── DE&Iの取り組みの一つとして、当社では女性活躍推進を掲げています。どのような施策を検討していますか?
前提として、当社では「男性だから」「女性だから」といった固定的な見方をせず、それぞれが持つ強みやアプローチの違いを大切にしたいと考えています。そうした中で、これまでの均質的な組織構成を見直し、多様性を広げるためにも、女性の採用や登用を進めることが必要だと考えています。
現状では女性社員の割合が少ないため、まずは、新規採用に占める女性の比率を増やすことに力を入れていきます。また、社内にロールモデルをつくり、成功事例を共有することで、性別に関係なくこれから当社の未来を担っていく世代が自分のキャリアを描きやすくなるような環境づくりを目指しています。
次のステップとしては、女性の管理職登用に力を入れ、特に意思決定層に多様な視点を持つ方を増やしていきたいと考えています。意思決定に携わる方々の中に、異なる考え方や仕事のアプローチを持つメンバーを増やすことで、その影響が組織全体に広がり、さまざまな社員の仕事の仕方や考え方にも良い変化をもたらすと考えています。
キャリアの根底にある「替えの効かない仕事をする」という意識
── 女性活躍の話題と関連して、野川さんご自身のキャリアについても伺わせてください。これまでキャリアを積み重ねられてきた中で、野川さんが大事にされてきた価値観は何ですか。
キャリアを通じて一貫して大切にしてきたのは、「替えの効かない仕事をする」という姿勢です。自分が疑問に思う点をそのままにせず、「この資料を見た相手はどんな質問をするだろう」「本当に求められている成果は何なのだろう」と想像を巡らせてきました。そして、求められている期待を超える成果を出すことを意識してきました。
私にとって、「替えの効かない仕事」とは、後から振り返ったときにクオリティや完成度の面で後悔のない仕事です。誰かに後ろ指を指されることなく、自分自身が胸を張って「これが私の仕事だ」と言える成果を追求してきました。
── これまでのキャリアで、特に影響を受けた出来事はありましたか。
大きな転機となったのは、複数回経験した海外勤務です。日本では、共通の常識や共通の価値観を持つ仲間と働くのが当たり前でしたが、海外に出ると、日本で当然とされることが非常識と見なされることもあれば、その逆もあります。
自分の常識が通じない状況で成果を出すには、どのように仕事と向き合えばよいのか。仲間として受け入れてもらうためには、どのように行動すればいいのか。自問自答する日々の中で、「自身の限界を押し広げる機会」を得ました。共に働く仲間たちの多様な考え方や仕事への向き合い方から多くの刺激を受けた、キャリアの土台となる経験でしたね。
挑戦、変化、成長。新たな仲間と組織を前進させる
── 野川さんから見て当社で活躍できる人材はどんな人材ですか。
自律的に課題を見つけ出せる方だと思います。日々の業務に没頭していると、つい現状を当たり前として受け入れてしまいがちです。しかし、その中で「このままで良いのか?」と自ら疑問を持ち、何が本質的な課題なのかを考え、周囲を巻き込みながら課題の解決に取り組む情熱と行動力がある方には、たくさんの挑戦の機会が当社にはあります。
既存社員も新入社員も関係なく、情熱と行動力を持つ方は、組織全体を前進させる力を持っていると期待しています。
── 今後、野川さんが当社でチャレンジしたいことについて教えてください。
現在取り組んでいる施策は、これから本格的に組織全体に浸透させていく段階にあります。施策を通じて、社員一人ひとりが「この取り組みが自分を成長させた」「会社が良い方向に変わっている」と実感できる環境をつくることを目指したいですね。
また、私は、当社の社員が持つ力や可能性をさらに引き出せる余地があると感じているので、それぞれが最大限に力を発揮できるような環境を整えていきたいと考えています。
加えて、人材育成への投資も強化し、社員一人ひとりの成長を支える取り組みを進めていきたいと思っています。そのためには現場をリードする組織長のマネジメント力強化も重要な課題として捉えています。
── 最後に、当社の採用に興味を持ってくださっている方に向けてメッセージをお願いします。
当社は創業150年を超える非常に長い歴史を持つ企業です。この歴史の中で、社会や経済のニーズに応えながら、事業の形を進化させ、生き残ってきた強さがあります。それは、会社としての「基礎体力」がしっかりと築かれている証でもあり、経験者として入社した私も、その力を実感する日々です。
この先の経営環境はさらにスピード感を増し、競争も激しさを増していくことでしょう。こうした環境下で、当社は次々と新しいチャレンジに取り組みながら、変化に対応し、成長を続けていこうとしています。
特に、DE&Iをはじめ人的資本への投資に力を入れているので、「この会社、面白いかもしれない」と思ってくださる方には、必ずやご自身の可能性を広げられる場を提供できるはずです。当社が目指す姿に共感し、一緒に成長していきたいと感じていただける方が一人でも多く、私たちの仲間に加わってくださることを心から楽しみにしています。
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