マガジンのカバー画像

Book review

48
過去に書いた書評を順に公開していきます。 私自身、何冊分あるのか把握できていないので、ファイリングするつもりでやっています。 過去20年分、いや、もっと以前のものもあるかもしれま…
運営しているクリエイター

記事一覧

氷がとけていく

『氷石』 久保田香里・作 飯野和好・画 くもん出版 2008  物語がラストシーンにさしかかっ…

出て行った二人のこと  book review

『父さんが帰らない町で』 キース・グレイ・作 野沢佳織・訳 金子恵・絵 徳間書店 2020  同…

16

ストリートの光と陰  book review

『オン・ザ・カム・アップ』 アンジー・トーマス・作 服部理佳・訳 岩崎書店 2020  ラッパ…

22

今はもうないもの  book review

『ペーターという名のオオカミ』 那須田 淳・作 小峰書店 2003  ベルリンの壁崩壊を私はテ…

40

悲しみを抱きしめて  book review

『さいごのゆうれい』 斉藤 倫・作 西村ツチカ・画 福音館書店  悲しみがある人生とない人…

28

自分に正直でありたい  book review

『ウソがいっぱい』 丘修三・作 ささめやゆき・画 くもん出版 「自分にウソをつかない、って…

31

未来はあてにならない  book review

『ガツン!』 ニック・ホーンビィ・作 森田義信・訳 福音館書店  本書の著者、ニック・ホーンビィをご存知だろうか? 『ハイ・フィデリティ』『アバウト・ア・ボーイ』と聞けば、ああ、あの、と思い当たる人も多いと思う。イギリスのベストセラー作家で、彼の作品はいくつも映画化された。そのホーンビィの若者に向けた小説が出ると知って、発売前から楽しみにしていた。彼の小説はポップで、それは装丁にも表れていた。片手で持って読んでも疲れない。この軽さがいい。  この物語はティーンエイジャーの

いい夢が見られるまで  book review

『ひみつの犬』 岩瀬成子・作 岩崎書店  大人と子どもは一体何が違うのか? 生きてきた年月…

33

ネコの探し方  book review

『夏に、ネコをさがして』 西田俊也・作 徳間書店  行方不明のネコはどうやって探すのか? …

53

伝えること、自分を知ること  book review

『13の理由』 ジェイ・アッシャー・作 武富博子・訳 講談社 『アメリカのベストセラー問題…

23

それぞれが好き勝手に生きていく book review

『シカゴより好きな町』 リチャード・ペック・作 斎藤倫子・訳 東京創元社  これほどまでに…

遠い記憶 book review

『走れ、風のように』 マイケル・モーパーゴ・著 佐藤見果夢・訳 評論社  子どもの頃の記憶…

応援したくなる理由 book review

『その魔球に、まだ名はない』 エレン・クレイジス・著 橋本 恵・訳 あすなろ書房  この本…

魂で起こる変化 book review

『殺人者の涙』 アン=ロール・ボンドゥ・作 伏見 操・訳 小峰書店  これは、ある殺人者の変化を描いた物語だ。  彼は三つの都市で指名手配になっている。老女を襲い、若者の金を騙し取り、抵抗する者は容赦なく殺す。襲った相手の顔など見たこともなければ、自身の顔すらきちんと鏡に映したこともない。幼少の頃に両親を亡くし、貧しさと路上の法則に従い、たったひとりで生きてきた。いつだって持っていたのは、ナイフと自分の力だけ。男の名はアンヘル。  彼は逃亡生活にうんざりしていた。そんな