ただ好きだなあと思えたことが
しばらくの間、恋人がいない。
というか、そういう出来事全てがなかった。
周りはどんどん結婚していく中、出会いという出会いもなくて、だけど充実している部分もはっきりとあって。結婚、しないのかもなあ、なんて思ったり。
そんなふわふわとした毎日。
好きな人ができた。
正確には、あ、好きだなあ、と思える人がいる。
というのが感覚的には近いのかもしれない。
他愛もない話の中でその人のことを話したとき、
「いいじゃん!その人」と言われた。
それまで、いいとか悪いとか好きとか嫌いとかいうものさしで見ていなくて。まあ、嫌いなんて気持ちは1ミリもなかったのだけど。
そのときに初めて、その人の振る舞いや発する言葉を、いいな、と思っている自分を見つけたみたいな感じだ。
外見より中身を磨かなきゃね、という考え方。
誰にどう思われるだとかを気にせず、揺らがずにいつも同じように振る舞うところ。
たまに面白かったり、わたしの話で笑ってくれたりするところ。
あ〜〜〜!
好きだな〜〜〜!!!!!!!
と思う。
マッチングアプリをやってみたときには、この人は何歳でどのあたりに住んでいて、メッセージの打ち方が好ましいかとか。
まるで相手を見定めているみたいな。
私の分際で。
いい人そうだなあとか
悪い人じゃなさそうだとか
そんな風には思いながら、
あ、この人好きだ!なんて到底思えなかった。
学歴
年収
外見
データで人を見た。
「これから結婚を前提に付き合う恋人」として、ふさわしいかどうかを見定める作業だった。
そんなことばかりして、
そんなことをしていたから、
恋人、ましてや好きな人なんてできなかった。
ただ好きだなあと思えたことが、
ただただ嬉しかった。
「好き」というのは、すごくいい。
付き合えるかどうかとかそんなことを気にしなくていい。紐付けなくてもいい。
ただ好きだから、その人と話せたら嬉しい。
笑ってくれると心の中で浮かれちゃう。
今日はいい日だ!と思う。
ここだけの話。他の人と話しているとちょっと羨ましいなとも思う。マイナスな気持ちも生まれるけど、ただ好きだから、見返りを求めない。発見があるたびわくわくする。まあ、あわよくばわたしを好きになってくれたらそりゃあとっても嬉しいんだろうけど。
改めて考えてみた。自分のフツーをいとも簡単にひっくり返してくれる人だから、好きなんだ。
こういうときはフツーこうするでしょって、周りを気にするのが当たり前になってしまっているわたしとは違うから、違っていて、好き。
これからどうしようかとか、年齢も重ねて、周りの友達は既婚者が増えていって、いろいろ思うところはあるけれど。
今のところ、これと言って変わったことなんてないけれど。
ただ好きだなあと思える人がいる。
これって、素敵なことだ。