サブカル大蔵経663八幡和郎『本当は謎がない「幕末維新史」』(ソフトバンククリエイティブ新書)
通産省官僚から江戸時代の著述家になり、その双方の知見から論客としてネットでも提言をされる著者の八幡和郎さん。
歴史にしろ政治経済にしろ、一般現代人の幻想を打ち砕く、ということを信念として啓蒙されているように思われます。先日参与を辞めた高橋洋一さんと似ている気がします。
時系列、各藩事情、京と江戸。複雑に混み入っている幕末の情勢や人間関係を交通整理して、項目を立てて常識を再検証する。
フランスはイギリスに敗れてカナダを失ったが、そのリベンジのような形でフランスはアメリカの独立を助けたので、イギリスの世界制覇の野望は頓挫。p.39
世界情勢と幕末史。
水戸斉昭は質素倹約を掲げ、大奥の贅沢な暮らしぶりにかねてから批判的で、大奥にとっては目の上のたんこぶだった。p.66
斉昭と慶喜の存在。イメージと史料。
水戸家、徳川昭武、天塩郡の開発。p.77
まさか道北と縁があるとは…。
薩長の天下というのは明治20年よりあとである。p.112
実力者・佐賀藩鍋島閑叟亡き後の薩長。
久光が結局のところ廃藩置県まで薩摩を率いるのであり、倒幕の功労者としては西郷や大久保よりはるかに重要な人物であった。p.131
昨今、久光の再評価が高い。
ヤクザ新撰組より志士の京人気。p.162
ヤクザ対過激派
春嶽の慶喜評「ねじあげの酒飲み」p.182
一筋縄でいかない面倒くさい慶喜。
現代の政治家では森喜朗あたりにイメージは近い。p.195
「フィクサー的な政商」坂本龍馬。
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