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サブカル大蔵経793森見登美彦『きつねのはなし』(新潮文庫)

仲間に薦められて初めて読んだ森見登美彦さんの本。

京都の黄昏時と暗闇、路地と建物。

贈与によって縛られること。

私もこの本で何か縛られたような。

左京区物語でもありました。

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日が暮れたら吉田神社の節分祭へ行くのです。p.79

 母の実家近くなので、夏休みに訪れた時よく一人で参道から吉田山を登りました。途中、鹿を飼っている檻があり、鹿の餌のナスの切れ端を買って、与えたら、思いのほか長い舌がニョロッとでてきて、歯をむき出しにむしゃむしゃ食べられました。

大阪からも仕事帰りに百万遍の喫茶店で落ち合う約束をした。p.128

 進々堂かな?名古屋ほどではないにしろ京都も喫茶店文化だと思います。打ち合わせたり、待ち合わせたり、食事したり。

荒神橋を渡り、河原町通で信号待ちをしているあたりで、顔を撫でるような小糠雨になった。p.209

 ここもよく歩いた路線でしたので、ちょっと生々しいです。

祖父は京都の鹿ヶ谷にある屋敷に一人で暮らしていた。p.238

 母の思い出語りには「疏水」と言う単語がよく出てきました。昔はあそこで泳いだとか、桜がただで見れて一番綺麗だとか。京都は東京ほどではないけど、川と水の街なのかもしれません。その水の物語。


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