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サブカル大蔵経837佐藤健太郎『ふしぎな国道』(講談社現代新書)

マニア系新書の中で群を抜く優しい文体。

写真のセンスあふれる作品。

カラー新書の鑑。

道とは何か。その他力性とたくましさ。

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乗用車では1回で曲がり切れないほどの異様な角度のヘアピンカーブとして有名。場所は京都市左京区と言えばずいぶん都会に思えるが、実際にはもののけが跳梁しそうでそんな深い山の中。p.24

 国道477号、百井別れ。都から山中へ雰囲気が一変するあの雰囲気。つくづく地形は不思議で、人はそこに蠢いてるだけか。

大阪市〜奈良市を直線的に結んでいるから地図だけ見ると利用価値の高そうな道に見えるが、実際には全く車道としての機能を果たさない道だ。間に立ちはだかる暗峠(大阪府東大阪市〜奈良県生駒市)という名前からして、もはやただごとではない。p.72

 「関西を代表する酷道」国道308号。忖度のない地名の清々しさと禍々しさ。日本の闇の歴史は国道とともにある。

40号までの国道は一級国道と呼ばれた。p.91

 地元に39号と40号が隣接しています。一級国道だったのか…。旭川と網走、稚内をそれぞれ結ぶ〈国防の国道〉ゆえか。

この時期、ちょっと国道体系を混乱させる改革を行っている。二級国道のいくつかが、重要性を認められて一級国道に昇格したのだ。41〜57号。二桁国道への昇格は57号までで打ち止めとなった。例外として、沖縄が変換された際、当時の琉球政府道1号が国道58号として日本の国土網に組み込まれたが、これが2桁国道としては最後の指定となった。というわけで今に至るまで59号から100号は欠番のままになっている。p.99

 番号の意味。地理と数字のマッチング。

459本ある国道は、全てスタートとゴールがあり、途中のルートも厳密に決まっている。p.110

 〈国道完走〉という旅の形式。

国道58号は鹿児島市から種子島・奄美大島を経て沖縄本島に達する。p.136

 海の上を走る国道のダイナミズム。カーナビがバグったような映像がたまらない。

三重県にはガードレールや橋、電柱などあちこちにおにぎりステッカーが貼られている。全域にわたって多数設置しているのは三重県くらいなので非常に目を引く存在だ。p.164

 標識の考古学ともいえる世界。ものすごく興味深いです。

白看は、かつての街道筋である県道や、一線を退いた旧道にひっそり残っていることが多い。p.228

 白看板、そういえばたまに山中で見かけます。宝石はすぐそばの旧道にある。

非国道走行。非国道ルートを地図上で検討したり実際に走行して検証することを非国活動、こうした趣味を持つ者たちのことを非国民と呼ぶ。p.243

 この辺りのとんちが素敵すぎます。国道という国・国体・組織といういかめしさを軽やかに楽しむセンス。地図と現場で日本はまだまだ楽しめる。

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