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サブカル大蔵経847高橋源一郎『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)
今日は衆議院選挙でした。
本書では、著者がいわゆる〈論壇誌〉を、読み込み、私たちに〈翻訳〉してくれる。
赤坂真理さんもそうですが、現在の日本人を考える上で、〈読む〉という作業の大切さを感じました。
高橋源一郎の読む力。暴力的にすら感じられるレッテルを貼らないその広範囲さ。
発想の鋭さや突飛さは、その精緻さの上に成り立っていることがわかりました。
その中で初めて〈民主主義〉が浮かびある気がしてきました。
私が目が醒める思いで読んだのは論壇以外の言葉だ。城南信用金庫の脱原発宣言や理事長のメッセージだ。p.12
仏教がお経の中だけでないように。
著者(開沼博)のいう原子力ムラは中央の官産学の共同体ではなく、福島のような、原発と共に生きることを選んだ地方のムラのことだ。p.21
そこを踏まえずに上から目線の民主主義は受け入れられなくなる。
どうしても伝えたいと思ったら、ただいいたいことを言うだけではだめで、その空間を届けなければならない。それが柔らかさの秘密。p.30
空間というモノを語る、物語。
親鸞は緊急の課題の中に永遠の課題を見つけ、永遠の課題と信じられるものの中に緊急の課題を発見したのである。p.60
吉本隆明の親鸞を読む。
彼らは「奪われた」という感覚を共有している。仕事・未来・財産をだ。特権を持つ在日、優遇の外国人、権力のメディアや公務員や組合。彼らはレジスタンスをしていると信じている。p.75
安田浩一の在特会ルポ。〈損してる〉より強い〈奪われた〉というやるせなさ。
戦後の先生は、正しくなかった、恥ずかしい、教壇でうつむく姿こそが、最高の教育だった。p.124
鶴見俊輔の回想。無言の教育。
民主主義とは意見が通らなかった少数派が、それでもありがとうと言うことのできるシステム。p.196
台湾の学生が教えてくれた。
無知とは知識の欠如ではなく、知識に飽和され、未知のものを受け容れることができなくなった状態。p.248
バルトの言葉。本をたくさん読んだ気になっている今の自分のよう。
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