見出し画像

サブカル大蔵経883釈徹宗/内田樹/名越康文『現代人の祈りー呪いと祝い』(サンガ)

釈先生がなんか頼りなくて面白い。

サンガの編集は、少し大雑把な印象。

画像1

【釈】「呪い」というのは、もともとの言葉が「告る(のる)」、つまり「言葉を使う」ということです。そして、「祈り」も同じ語源です。ということは、「呪い」も「祝い」も裏表で、かたや負の祈り、かたや正の祈り、そんな感じですよね。p.22

 祈りと呪いは表裏一体。真宗で〈祈り〉がタブーな理由がここにあるのか。でも、親鸞聖人は念仏を廃して師匠を遠流にした当時の朝廷を呪いはしなかっただろうか?

【内田】どうして、ネット上の言論には「人を説得する」というモメントがないのかなと、いつも不思議に思っていたんですけれど、考えてみれば当たり前で、説得する必要がないからなんです。p.27

 ネット上での〈説得〉というのは、たしかにないような気もするけど、「ムダスレ」のキン肉マンの板や、なんJの野球関連には、諭してくれる哲人がいます。

【名越】難しいのですが、ものすごいベタに、夢も希望もなく現実だけを言いますと、他人に迷惑をかけたら精神医学の対象になるのです。p.96

 現実的な線引き。現象学的なのかな?

【名越】医者は死と闘っているわけです。/つまり、「敗北して死んだ」という観念しか、そこには浮かんでこない。p.132

 名越さんが、僧侶の釈さんに尋ねる、医師の苦悩。

【内田】「磯江さんの絵からは屍臭がします」と言ったら、目をぎらりとさせて、「よく見てくれました」と。p.151

 内田さんのお話に出てくる磯江毅さんから写実絵画やホキ美術館を知りました。

【名越】しかし、ものすごい反骨心が表れているように思います。初めて見た瞬間に、こんな顔相を持っている人は部屋に入ってきただけで空気が変わるし、絶対に人が集まってくるだろうと思いました。p.174

 親鸞聖人の安城の御影の顔相。

【名越】甲子園ぐらいの問題をもう一つ起こして、最初の問題を無力化する。p.195

 親鸞聖人話法。

【名越】僕の師匠は「精神分裂病ではなくて、むしろ精神集中病だと思う」と言われたことがあります。p.209

 集中することが病気にもなりえる。

いいなと思ったら応援しよう!

永江雅邦
本を買って読みます。

この記事が参加している募集