サブカル大蔵経687鈴木輝一郎『織田信雄』(学陽文庫)
前項の『図録豊臣秀吉』で興味を持った織田信雄を主人公とした貴重な小説ですが、北畠時代から本能寺までの前半生の物語。清洲会議、関ヶ原、大坂の陣、秋田時代、などの続編が読みたい。1640年まで生き抜いた信雄目線で織豊期を辿ってみたい。しかし著者がこの時代を選んだということは、信長との関係性を書きたかったのか。
いつか織田信雄主人公の大河ドラマ見たいです。
信長は自分の膳だけ先に平らげると、末席の稲葉入道一鉄良通の側に向いた。p.35
昨年の大河ドラマで村田雄浩が演じた稲葉一鉄を信長のお気に入りとして投入。
血は捨てられない。だが器量は捨てられる。織田にとって毒にも薬にもならぬ男と見なされれば、敵意に晒されることはなかろうp.126
織田信雄は愚将だったのか、信長譲りのうつけのふりをしていただけなのか。そして結局、誰が織田家を継いだのだろうか。淀君でも有楽斎でもなく信雄だったのか。
時の流れには従うが、人の力攻めには絶対に従わない、という伊賀衆たちの気持ちがそこにございます。p.169
北畠と伊賀衆。天正伊賀の乱。
光秀の率直さは長所でもあり欠点でもある。p.263
信雄と光秀の関係と本能寺の変。
しつこい男だ。信雄は内心嘆息をもらした。p.376
光秀を詰問する信長に対して。信長のしつこさは異常か、甘えか。
もし実行に移すならば、せめて羽柴筑前殿を調略してからー/光秀よ。何度でも言おう。私はあの父を捨てた。p.391
信長を殺したのは光秀以外の可能性もあったのかもしれない。
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