焼くと健康効果!寒い季節は「焼きリンゴ」で朝食を
寒さ覚える頃は冷えた果物は控えがちです。でも果物を焼いて頂けば、甘みや旨味が凝縮して生食とは異なる風味を楽しめます。特に寒い季節が旬のリンゴは健康維持や美容に役立つ成分を多く含み、加熱することによって生食にはない健康効果が生まれます。リンゴの健康美容効果、朝食向けの焼きリンゴの基本レシピなどを紹介します。
知っているようで知らない「リンゴ」の基礎知識
寒くなると「新リンゴ」がお店に並びます。
よく見かけるリンゴの名前にちょっとした意味がある事や、リンゴを選ぶ時に知っておくと便利な事をご存知でしょうか。
リンゴが甘くなる仕組みは?
リンゴの果実が大きくなり、甘くなる仕組みに欠かせないのが日光です。光合成で作られたデンプンは実を大きくするのに使われた後、秋になると糖に変化して甘くおいしくなります。
より糖度が高いリンゴは?
リンゴの品種が「サン○○」や「葉取らず」という名前になっている物があります。これは袋掛けしないで日光に当てながら育てたリンゴの事です。日光に長く当たる分、より糖度が高く育ちます。
長持ちするするの袋掛けタイプ
従来のリンゴ栽培で主流になっていた袋掛けする方法は、リンゴの果実が大きくなるまで袋をかけて傷から守り、葉もむしってから均一に日光を当てて一気に赤くします。
貯蔵性が高くより長持ちするのはこちらです。
濃い紅色になるのはどんなリンゴ?
最近では馴染みのリンゴよりもずっと深い紅色のリンゴを見かけます。代表的な物が信州産の「秋映(あきばえ)」という品種です。果皮の色は寒冷地で育てられた物ほど色づきが良くなるのですが、完熟すると更に黒っぽい紅色になるので、皮の色で熟しているかどうかわかる品種です。
赤リンゴと黄・青リンゴの違いは?
目にいいとされるアントシアニンがリンゴの皮を赤くする成分です。アントシアニンは紫外線と15~20度の気温に反応してリンゴを赤くします。
その量は品種によって異なるため、元々少ない品種の黄・青りんごは日光をたくさん浴びても赤くなりません。
リンゴの蜜の正体
「蜜入り」という名前がついているリンゴの断面は、蜜が染みたように見えます。この正体は、リンゴが十分に甘くなったため糖に変化する必要がなくなったソルビトールという成分で、実はこの部分の糖度は普通に見える部分と変わりません。同じ糖度のリンゴでも栽培条件によって蜜が出ない事も珍しくないので、あくまでおいしいリンゴの目安の一つと考えてみて下さい。
ピカピカのリンゴは完熟の証
リンゴによっては表面がピカピカに輝いているように見える物もあります。これはリンゴが熟すと分泌される天然成分による物で、人工的にワックスなどを塗った物ではありませんので、皮ごと食べても問題ありません。ただ、ピカピカを通り越してベタベタしてくる品種もありますし、リンゴが熟しきった証拠でもあるので、ピカピカのリンゴは早めに食べましょう。
生で食べても得られる「リンゴ」の健康&美容効果
栄養豊富なリンゴ
ビタミン、ミネラルがバランス良く含まれているリンゴ。
古くから「1日1個のリンゴで医者いらず」と伝わるように、健康維持に欠かせない成分も豊かに含んでいます。
その中でも特に注目したいのは、皮とその周辺に多く含まれる「ペクチン」と「ポリフェノール」です。
水溶性食物繊維“ペクチン”で腸内環境改善
ジャム作りに欠かせない「ペクチン」は、植物の細胞壁を構成する一成分です。「ペクチン」は、あらゆる果物や野菜に含まれている天然の多糖類で、水溶性の食物繊維です。
特に果物、中でもリンゴや苺、みかん等の柑橘類には良質なペクチンが多く含まれています。
ポリフェノールでアンチエイジング
ポリフェノールは、リンゴの皮に特に多く含まれ、強い抗酸化力を持ちます。
活性酸素を除去する効果や、血流を改善する効果、口臭を予防する効果、肌を美白へ導く効果など様々な効果を持つ優れた成分です。
肺がんや心臓病の発症リスク減らして、中高年に多い肺疾患の予防も期待
ポーランド・ワルシャワ生命科学大学のチームは、45~79歳のスウェーデンの男性4万4335人を13年間追跡し、食生活と喫煙、運動習慣などと肺疾患の発症リスクの関係を詳しく調査しました。
その結果、喫煙歴に関わらず、特定の果物や野菜を1日に5皿以上食べていた人は、2皿以下の人に比べて発症リスクが35%低くなることがわかりました。
特定の果物や野菜で一番効果が高かったのが、リンゴ、ナシ、緑黄色野菜です。研究チームのジョアンナ・カルーザ博士は、論文要旨の中で「リンゴなどの含まれる抗酸化力が強いポリフェノールが、肺疾患発症の原因となる細胞組織のストレスや炎症を軽くしている可能性がある」と指摘しています。
子どものアレルギー疾患を35~37%減らす
リンゴの健康効果については、2016年にハーバード大とシドニー大の国際研究チームが「1日に1個リンゴを食べると寿命が延びる。特に70歳以上の高齢女性では、ほとんど食べない人に比べて死亡率が4割近く減る」という報告を発表しています。
このほか、フィンランドで約1万人を28年間追跡した調査では、肺がんリスクを58%、心臓病リスクを39~41%減らすという驚きの結果が出ています。
また、イギリスやオランダでも子供のアレルギー関連疾患リスクを35~37%減らす、という調査があります。
これらの調査では、リンゴのポリフェノールに「脂肪を燃焼して血管の動脈硬化を防ぐ作用」があると同時に、「アレルギー症状の原因であるヒスタミンを抑える働きがある」ことがわかりました。また、リンゴの中に含まれるペクチンや、リンゴ酸、ビタミンが活性酸素を抑え、食べ物の消化や吸収、脂肪の燃焼を図っていることもわかり、注目されているのです。
新しいリンゴの切り方「スターカット」で栄養キープ
皮をむいて8等分し、種のある芯の部分を取り除いて食べる人が多いと思います。しかし、この切り方は実はリンゴの栄養素を無駄にしています。せっかくの栄養を無駄にせず、栄養をキープする方法として話題の切り方が「スターカット」です。
スターカットとは、リンゴを輪切りにする切り方です。スターカットの場合にはリンゴを横向きに置き、皮つきのまま上から包丁を入れ、好みの厚さにスライスしていきます。スターカットにしたリンゴは、皮がたくさん口に入らないため、皮が気になりません。
なぜスターカットと呼ぶのかというと、リンゴを輪切りにすると中心の芯の部分が星の形に見えるからです。
芯の部分を残して食べますが、食べにくいようならリンゴの芯抜き器を試してみましょう。
焼けば増える、リンゴの健康&美容効果
1.甘みと風味が凝縮するため、満足感や満腹感が得られやすい
2.先述したペクチンは、加熱すると分子が小さくなり活性が高まる
アップルパイやタルトタタンでお馴染みなように、加熱したリンゴには、生食に勝る独特の食味と芳香があり、それが何よりの魅力です。といっても、慌ただしい朝に手の込んだ調理は大変。習慣化するには、簡単な「焼きリンゴ」が一番です。
リンゴを焼くとペクチンが9倍に
リンゴの栄養で特に注目したいのは、先ほど紹介したペクチンとポリフェノールです。
ペクチンは水溶性食物繊維で、腸に良い働きがあります。腸に良いのでダイエットや便秘に効果的とされているのですが、このペクチンは加熱することによって「9倍」に増えると言われています。
腸内環境の改善は健康面でとても大切なことだし、体重が気になっている人やお通じに悩んでいる人にも良いので、焼きリンゴをたまには食べてみましょう。ペクチンは皮や皮の近くの実に多く含まれるので、皮をむくのはNGです。
ポリフェノールは、抗酸化作用があります。ポリフェノールは加熱しても増えるわけではありませんが、皮にたくさん含まれているので、リンゴは「皮ごと食べる」のがオススメです。
デメリットとしては、ビタミンCが壊れてしまうことが挙げられます。ただ、リンゴはそれほどビタミンCが多い果物ではないのでビタミンC目的で食べる必要はないです。ビタミンCが多いのは、キウイや柿、イチゴなどです。
基本の「焼きリンゴ」の作り方
忙しい朝でも簡単に焼きリンゴを作る方法です。
まずは芯を抜いて輪切り(スターカット)しましょう。
皮は、もちろんそのままです。
フライパンにオリーブ油を少々入れて、そのまま焼くだけです。
弱火で片面3分ずつ、最後にバターを入れれば風味が増します。
甘いものが欲しい時には仕上げに砂糖をかけるものいいですが、加熱したリンゴはとても甘くなっています。
リンゴを焼いて頂けば身体も温もり、甘みや旨味が凝縮し生食とは異なる風味を楽しめます。
リンゴのバタートースト
溶けたバターがリンゴとパンにじゅわっ。
素朴で食べ飽きないおいしさ。
材料【1人分】
食パン(6枚切) 1枚
リンゴ 1/4個 はちみつ 適量 バター 適量
1.リンゴは皮ごと薄切りにして、食パンにのせる。リンゴの間にところどころバターをはさみ入れる。
2.オーブントースターで4~5分(1000Wの場合)ほど焼き色が付くまで焼く。器に盛り、はちみつをかける。
はちみつの代わりにメープルシロップをかけても。
グラニュー糖をふりかけてからトーストしてもおいしく仕上がります。
焼きリンゴカマンベール
カマンベールのちょっとくせのある味わいとバターのコクが、焼いて甘みの増したリンゴのおいしさを引き立てます。
材料【2人分】
リンゴ 1個 カマンベールチーズ 1/2個
砂糖 小さじ2 バター 10g
1.リンゴは皮ごと縦半分に切り、スプーンなどで芯をくり抜く。
2.くり抜いたところにバターを入れ、カマンベールチーズをちぎってのせ、その上に砂糖をかける。
3.180℃に予熱したオーブンで20分ほど焼く。
効果が高まる!焼きリンゴダイエットのやり方
焼きリンゴダイエットは、3食のいずれか1食を焼きリンゴに置き換えることで摂取カロリーを抑えるだけでなく、加熱することでペクチンの効果を9倍にしたダイエット方法です。
甘みと温かさで1個だけでも十分お腹は満たされるので空腹感と戦うことも少ないです。
焼きリンゴダイエットの5つの効果をみていきましょう。
1.便秘解消効果 腸内環境を整えて便秘解消効果だけでなく、血糖値の上昇を防いで太りにくい体質に導いてくれます
2.美肌効果 腸内環境が整うことで美肌効果が期待できます。メラニン色素の生成を抑え、美白効果も期待できます
3.むくみ解消効果 リンゴに含まれるカリウムは余分なナトリウムを排出する働きがあるのでむくみ解消に効果があります
4.アンチエイジング効果 ポリフェノールは体内の活性酸素を除去して体の酸化を防いで老化を予防できます
5.口臭対策効果 リンゴに含まれるリンゴ酸には口臭の原因物質を分解する働きがあり、口臭対策効果が期待できます
置き換えダイエット(1食にリンゴ1個だけ)が難しい場合は、食事の前に焼きリンゴを食べるようにすると良いでしょう。食前に食べることで、食べ過ぎを防ぐことができるのでダイエットに効果がでます。
また、焼きリンゴに生のリンゴを少し混ぜて楽しむのもいいでしょう。味や食感に変化があって飽きずに食べられます。
リンゴの種類は、フジやジョナゴールドなど豊富ですが、リンゴダイエットにおすすめの種類は、ペクチン含有量の多い「王林」です。酸味が少なく、甘みを強く感じる一方で、サッパリとしています。
逆にアップルペクチン含有量が少ない「紅玉」は、アップルジャムなど加工品に使いやすく酸味が強い品種です。
リンゴは品種によって味が異なるので、一番おいしいと思うものを食べる方がダイエットは長続きしやすいですが、「体重減少を目標にがんばる!」と決めている方は、ペクチンが一番豊富に含まれる「王林」でチャレンジしてみてください。