メンバーの気分を可視化して、 アクションを発見できる 1on1 のコンテンツ - Engineering Manager Advent Calendar 2024 21日目
これは Engineering Manager Advent Calendar 2024 21日目の記事です。
どの記事もとても参考になり、勉強させていただいています!
1on1の記事もいくつかありますが、本記事では私が実践している1on1のコンテンツをご紹介させていただきます。
きっかけ
「最近どう?」から始まる 1on1 が苦手でした
メンティとして参加する1on1で、最初に「最近どうですか?」と聞かれることが多かったです。「最近どう?」の基準は何だろう、どれに対してなのか…と考え込んでしまい、回答に詰まることがしばしばありました。
ところが、いざ私がメンターとして1on1を行うとき、同じように「最近どう?」と聞いてしまう私がいました。メンバーも「最近どう?」にものすごく悩んでしまいました。
もっと思っていることを引き出して、お互いに有意義な1on1の時間にしたい。そんな思いから、意見が出やすいアイスブレイクを考えてみることにしました。
成功への条件の1つは幸せであること
別の文脈で読んでいた以下の本に、幸福度とベロシティの関係性について書いてあることを思い出しました。
また、成功するための要因の一つは、「幸福であること」とありました。
"幸せだから成功する" とても良い言葉です。
幸せな状態がさまざまな成功を生み出し、仕事だけでなくプライベートでも良い循環を生みます。
逆に、幸福度の低下はベロシティの低下よりも先に表れる先行指標の一つと書かれています。もしベロシティの低下前に「メンバーの幸福度の変化」を検知することができれば、メンバーやチームにとってとても有益な情報になるのではないかと考えました。
メンバーが幸せであるかどうかを測定するために、何をすればわかるかなぁ?というのを考えてみました。
なにをやる?
気分測定システム「KOKOROスケール」
あらためて「幸せとは?」という問いを考えていると、「幸せについて本気出して考えてみた」という歌が脳内をエンドレスに流れてしまいました……
幸せってなんだろう……
上記の書籍にも幸福度を測定するための質問内容が書かれていましたが、もっと直感的でカジュアルにできないかと考えていたところ、独立行政法人 理化学研究所の気分測定システム「KOKOROスケール」を開発 というプレスリリースを見つけました。
これならイケるかも? と 以下のように軸を変更し、1 on 1 を実施するときにスライドを1枚用意しました。
縦軸
私(メンター)の立場からすると、同じ仕事をするならワクワクして取り組んでほしいという思いがあります。モチベーション向上のフォローが必要かどうかを判断するために、やる気やモチベーションを配置しました。
横軸
多くの人は安心することでパフォーマンスが上がるため、不安側にプロットしてくれた場合に私のアクションが必要かを引き出し、判断するために心情をグラデーションで表現できるようにしました。
※ 人によっては不安だからこそパフォーマンスが出るという方もいますが、だからと言って不安になるように行動することはしません😇(難易度の高い課題をお願いするかもしれません)
どうやった?
1on1の頭のアイスブレイクとして、後述の質問をしながらメンバーに直感で良いからとプロットしてもらいます。
その後、実践初回か2回目以降かで質問内容を変えて深堀りを進めていきます。
実践 初回
質問
1. 自分が一番パフォーマンスを発揮していたときの気分をプロットしてください。
・どんなことをしていましたか?
・どのようなシーンでその状態でしたか?
2. 今の気分を直感でプロットしてみてください。
・その状態とのギャップを教えてください。
3. その状態に近づく(維持する)ために、次の◯週間で何か一つ行動するなら、何をしますか?
4. 私にサポートしてほしいことはありますか?
・もしくは対話しながらこちらから提案する
実践 2回目以降
質問
1. 前回の気分と比較しながら、今の気分をプロットしてみてください。
2. 前回と今回の気分の変化の原因がわかりますか?
・何がありましたか?何をやりましたか?
3. 理想の状態に近づく、もしくは右上に変化するために、次の◯週間で何をしましょうか?
4. 私にサポートしてほしいことはありますか?
・もしくは対話しながらこちらから提案する
気をつけたこと・意識したこと
誘導しない。 気分、その状態に至った経緯の言語化の補助に徹する。
一番気をつけたことは誘導しないことでした。
メンティ自身が理想状態や今の気分、アクションも自分ごと化するために、メンティ自身が自分で言語化できるようにフォローに徹しました。
全部を引き出そうとしない。一つでも何か得られれば良しとする。
期間全体で起こった出来事を引き出そうとせず、直近の出来事で気分が変化することもありますが、1つの出来事が出ればそれで良しとしました。
全部を引き出そうとしてあれもこれもとなると、ぼやけてしまい中途半端になってしまいます。
一つずつ解決するためにまず一つを徹底してやってみることを心がけました。
ありのままを出してもらう。そして負荷をかけない。
不安・無気力ゾーンにいることがダメだと思われないように安心してもらい、むしろ健全であることを伝えています。どの象限が良いとか悪いとかはないですし、評価には一切関係なく、誰にも言わないことを必ず守ります。
また、事前準備は不要とし、負荷をかけずにリラックスしてありのままの気持ちを出してもらうことを意識しました。
まとめ
有意義な1on1にするために「最近どう?」以外の方法で始める方法と、メンバーの幸福度を測定する方法を検討していると、上記の方法にたどり着きました。
気分を前回からの相対評価でプロットすることで、「先週と比べて〇〇ということが起きました」「ずっと悩んでいた〇〇という問題が解消しました!」など、具体的な出来事がメンバーから出るようになり、その出来事を深掘りすることで次のアクションを対話しながら見つけ出すことができています。
私自身はまだ生産性の指標と紐づけることができていませんが、気分と生産性指標を紐づけることで、パフォーマンスが高かったときの気分をより正確で詳細に言語化・プロットでき、現状とのギャップを埋めるアクションに繋げられるかもしれません。
2025年は、メンバーおよび私自身のより正確な理想状態の言語化して、より効果が高そうなアクションを生み出すために、この手法のブラッシュアップもしくは新たな方法にチャレンジしてみようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!!