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[OldCityBoy的「カルチャー」考察] 王道に向き合う、そして"幽遊白書"からバトンを受け取った"呪術廻戦" #2
前回は本題に全く行けず、画風の考察だけになってしまったのですが、今回こそ、表題にある"王道"と"幽遊白書からのバトン"に関してです。
まずは"王道"に関してです。
前回、"呪術廻戦"は、
型は"NARUTO"を世襲・絵は"幽遊白書"を意識、
と書き、"幽遊白書"の観点から書きましたが、
"NARUTO"はもっと直接的でパクリと言われても仕方がないです…
でも、そんなの気にしなくていいんです!
そもそも、パクっていること自体は作者が一番自覚してるはずで、でも、王道を描くってそういうことなのです。
ここで言う王道とはメジャーという意味で、できるだけ多くの人に愛される作品になる、という意味で、それを実現できるストーリーの型なんてそもそもそんなにないのです。
そりゃ、もっと凝った作者オリジナルなストーリーを作ることもできるでしょうが、"少年ジャンプ"というトップオブトップな漫画雑誌で生き抜くには、そんなプライドなんぞ捨てるべきであり、
パクったっていいんです、命懸けでやるのであれば!
と、暑苦しい文章になってしましましたが、次は、"幽遊白書からのバトン"に関してです。
ちなみに、"幽遊白書"と言っても分からない方が増えている気がするのですが、"HUNTER x HUNTER"と同じ作者で、90年代初めの少年ジャンプ王道漫画です。どのくらい凄かったかと言うと、その時の少年ジャンプで同時に掲載していたのが、"ドラゴンボール"と"スラムダンク"で、それらと人気を競っていた、と言うと分かると思います。(最近、Netflixで実写化しました。)
で、"呪術廻戦"は、実は"幽遊白書"をリアルタイムで読んでいた現在の40代を非常に楽しませる作品となっています。というのは、"幽遊白書"の魔界統一トーナメントの続きを描いてくれているようだからです。
具体的に、バトルものとしての"幽遊白書"として一番期待が高かったのが、魔界統一トーナメント、という天下一武道会みたいな大会です。そこで、主人公の幽助とラスボス級キャラの黄泉との闘いが開始され、当時少年だった現在の40代は、どのような闘いが描かれるのか楽しみにしていたはずなのですが、突如そのストーリーは打ち切られ、はぁぁぁぁ!?、と全員唸ったと思います。
"呪術廻戦"で例えると、宿儺と五条悟のバトルが開始された次の回で、そのバトルはすでに終了しており、次の物語が始まったようなものです。
理由は所説ありますが、自身は、作者の富樫さんがこれ以上凄いバトルを描けなくなったため、と考えています。
具体的に、富樫さんのバトル描写として限界は"魔界統一トーナメント"より前の"暗黒武術会"ですでに来ており(あくまで描くのに時間があまりに限られている週刊連載を続けるという前提です)、それを超えなければいけないが超えられる見通しが立たない・超えたとしても次のバトルではさらにそれを超える描写を描かなければならないプレッシャーで、富樫さんはすでに壊れていたのではかと思われます。よって、その後、"幽遊白書"は無理やり終わらせる方向に一気に加速します。(ただし、飛影と躯による文学的な作品が出てくる)
そんな大人な事情は子供には分かるわけもなく、この強制終了は"幽遊白書"ファンに大いなる消化不良を引き起こしたのですが、"呪術廻戦"のバトルは、そもそも画風が"幽遊白書"をベースとしていることもあり、それにあの画力が掛け合わさり、魔界統一トーナメントの続きを描いてくれているようなのです!
よって、あの時肩透かしを食らった我々40代読者に、
その続きをわざわざ描いてくれて、ありがとう!!!
としかいいようのない気分にさせてくれます。
ということで、"呪術廻戦"は、少年ジャンプ黄金期の代表漫画である”幽遊白書"からのバトンと受け取った、と認識してます。(ちなみに、"ワンピース"は、"ドラゴンボール"のバトンを受け取っている)。
ということで、”幽遊白書"からのバトンと受け取ったのは漫画が現れたことは40代として非常にうれしい限りなのですが、1つ懸念があります。
”幽遊白書"の時の富樫さんのように壊れないか!?
です。
理由は上記で書いた通りなのですが、そもそも週刊連載をやること自体、命を削る作業なのに、さらに常に過去の自分を超えていかないといけない…
よって、40代読者から芥見さんへのメッセージとしては、
富樫さんみたいに身体壊さないでね…(本当に)、
というのもありつつ、
でも、30代前半だからまだまだ無理は聞くし、頑張り時だよね、
という矛盾したものとなってしまうのですが、現在の流れだと、もう2~3巻で終われるはずなので、最後まで走り切ってほしい限りであります。