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アート・カルチャー

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#東京国立博物館

[OldCityBoy的「アート」鑑賞] 東京国立博物館の東洋館探訪:インド細密画に見る東西の融合

東京国立博物館の本館に行ったことがある方は多いと思いますが、実は東洋館もとても面白いんです。多くの人が本館で日本美術を楽しんで終わりにしがちですが、自身は東洋館の5階と地下1階の展示が大好きで、いつも立ち寄ります。 で、先日、地下1階で気になるインド細密画を見つけたので紹介しますね。 まずは👇の絵。 この絵を見た瞬間、「ん、ジョットの絵の構図に似てない?」と思ったんです。 具体的には👇の絵です。 特に人物の部分だけ見ると、構図がかなり似ている気がしませんか? この

[OldCityBoy的「アート」鑑賞] 美術・工芸品でもある日本刀の鑑賞方法

美術館で日本刀が展示されているのをよく見かけますが、 「綺麗なのは分かるけど、どうやって鑑賞すればいいの?」 な声をよく聞くので、自分の鑑賞方法を ・刀身 ・鍔 ・鞘 の3つに分けて紹介しますね。 まずは、刀身です。 "反り"とか"刃文"が見どころ、と良く解説されますが、いまいちピンと来られない方が多いと思います。 自身としては、 これって全部手作業でやっているんです! の背景説明があった方が、より分かりやすく鑑賞できると思っています。 というのも、今だと工業製品による

[OldCityBoy的「アート」鑑賞] "考える像"、を考える

"考える像"で有名なのが、ロダンの"考える人"です。 が、実際、これは考えているのではなく、生命の誕生を上から見下ろしながら物思いにふける創造主ってご存知でした? 詳しくは下の記事で記載したので、読んでいただけると嬉しいです。 ということで、"考える像"の実は…、は考えるのはとても面白いのですが、実は"考える像"は東洋では仏像の表現にて非常にポピュラーな形で、皆様も半跏思惟像なるものを見たことありませんか? この半跏思惟像、人々を救済する方法を考え思索にふける様子を表

[理系による「アート」考察] 東京国立博物館にある"椅子のある風景"

働き始めて少しお金に余裕ができ始めると、おしゃれな家具が気になりCasaを読み始めるのは、あるあると思います。 自身もご多分に漏れず、イームズや北欧家具を購入したりしていたのですが、空間全体をお洒落にするには家具だけでなくインテリア全体に気を使う必要があり、それはそれで楽しいのですが、 子供が小さいと無理!!! ということで、ほぼほぼ処分しました。 それ以降は、美術館やパブリックスペースで設置してある風景を鑑賞する方が好きになりました。 鑑賞ポイントとしては、"椅子

[理系による「アート」考察] 自由過ぎる天才絵師、俵屋宗達

俵屋宗達と言えば"風神雷神図屛風"が有名ですが、かなり謎多き絵師のようです。かつ、下記の動画でもありますが、かなり自由な画風で、それまでの絵のルールというものを全く無視するかのように作品を描いています。 自身が"風神雷神図屛風"を始めてみたのは学生のころで、良い意味であまりに言語化できない絵だったため、あっけにとられ長時間見とれてしまい、それ以来俵屋宗達の追っかけになるのですが、この前、東京国立博物館をふらっと訪れたときに2つも同時に展示してあるのを見つけ("伝"俵屋宗達で

[理系による「アート」考察] 神を具現化する演出としての縄文土器

欧州の方に日本人の無宗教感に関して説明しているときに、 神とは、欧州人だとイエス・キリストな認識が大多数だと思うけど、日本人にとっては自然そのものだよ、 と話すと、妙に納得したような顔をされ、この仮説自体あながち間違っていないと確信したのですが、その後、この説の説得力を増すために実例があった方が良いな~、と色々探しており、いよいよ見つけたので紹介しますね。 で、それは縄文土器です。 縄文土器には、 ・そもそも何なのか? ・なぜあの形なのか? の大きく2つの疑問があるのです

[理系による「アート」考察] 織部焼の茶碗が歪んでいる理由

歴史における、なんでだろう?、は結局本人がもういないので正解を出すことはできず、なるほど、そうかもしれない!、と言わせたもの勝ちなのでは?、と思ったりするのですが、表題の問いに対して、自身の考えを書いてみますね。 織部焼のアートディレクターは"古田織部"ですが、下の漫画が面白いのでお勧めです。 で、古田織部がなぜ茶碗をわざと歪ませたか?、なのですが、仮にタイムマシンがあり古田織部に直接聞けるとしても、気分!、の一言で終わりそうな気が実際しています。 この"気分"という言

実は、"仏教"は煩悩を取り去る方法を追求する学問であり、"仏様"は人間です。

神も仏もあるものか!!!、という文章にもあるように、日本人は"神"と"仏"を同列に扱っており、よって、仏教自体も宗教として認識していますが、実は、"仏教"は煩悩を取り去る方法を追求する学問・哲学であり、"仏様"は人間です。 まず、仏教からですが、現代日本では主に死者を弔う宗教、の認識になっていますが、あれは江戸時代に人口把握・戸籍管理のための檀家制度が施行されたことによる名残だと自身は認識しています。 が、本来、仏教は煩悩を取り去る方法を追求する学問・哲学、です。で、煩悩