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アート・カルチャー

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#アート好き

[理系による「アート」解説] "野生爆弾くっきー"の作品から考えるアート界 ➡よく分からなくなったら原始に戻ろう

原宿を歩いていた時にたまたまやっていたので見てきました。 野生爆弾くっきーの作品そのものは、お笑いコントの小道具から来ており、根本は言語化できない・トークにできないお笑いの何かを、作品としてアウトプットしたものの認識です。 で、なぜくっきーの作品が今注目されているか?、に関して考察します。 理由は簡単で、もはや複雑すぎて一般人がついていけなくなったアート界において本能的に分かりやすいから、です。(インスタ映えも本質的には、本能的に分かりやすい、の要素です) 最近のアー

[理系による「アート」解説] デビット・ホックニーとコラージュ

自身が、まだ存命のアーティストの中で一番好きなのは、ホックニー、になります。 自身の認識では、ホックニーは完全な絵画マニアで、原始の壁画から近代の絵画、そして写真までマニア目線で、かつ趣味で、研究し、その膨大な知識とバックグラウンドに自分なりのアレンジを加えて自身の作品をアウトプットしています。作風が時代毎に異なるのは、その時得た新たな知識から思いつくアイディアをすぐに試したくなるためだと思います。 ホックニー作品で自身が一番驚愕したのは、キュビズムに新しい概念を加えた"

[理系による「アート」解説] 国宝・燕子花図屏風(尾形光琳) ➡どうやったら国宝を個人が購入・所有できるんだ!?

現在展示中の国宝である"燕子花図屏風"は根津美術館に所蔵となっていますが、根津美術館は私立美術館であり、個人が所有していた美術品を公に展示する目的があり、その個人とは"根津嘉一郎"となります。 "燕子花図屏風"級の国宝を個人が購入・所有することができることに興味をそそられ、少し調べてみました。 まず、"根津嘉一郎"に関してです。甲州財閥の有力な構成メンバーの一人であり、株式投資をふくめ、生涯を通じて関わった鉄道会社は40社を数える鉄道王と称された明治・大正の実業家になりま

[理系による「アート」解説] 能・狂言の鑑賞方法 ➡この世とあの世の狭間でダンス・ダンス・ダンス

"狂言"は、今で言うと"お笑いコント"なので、観やすく分かりやすいです。 問題は"能"です。かなり抽象度の高い演劇です(アングラ演劇ともまた違う)。 死者の"怨念"や"現世への固執"が主なテーマの演劇なのですが、 ・音響は、打楽器と笛と歌のみです。 ・照明は、変化がありません。 ・一部の役者は、能面をかぶっているため表情が分かりません。 とまあ、一般的な舞台とも全く違います。 自身は"ダンスによる幽玄舞台"と定義しています。 まず、"ダンス"の意図するところですが、一部

[理系による「アート」解説] 能面の鑑賞方法

美術館・博物館に展示してあることがありますが、どう鑑賞すればよいかわからない方も多いと思います。結論としては、茶器と同様に抽象彫刻として鑑賞すればよい、ですが、より具体的に解説します。 能面で必要な要件は、中庸(偏りがないこと)の表情、であることです(無表情ではないのでご注意あれ)。"中庸の表情"とは、鑑賞者の喜怒哀楽をそのまま反映する表情です。つまり、鑑賞者が悲しい気分であればその能面の表情が悲しそうに見え、イライラしていたら能面の表情がイライラしているように見える、とい

[理系による「アート」解説] 抽象芸術活動として茶会

"茶会"の捉え方は色々あるのですが、ここでは抽象彫刻である茶器を用いてどのように客人をもてなすか、と定義します。 まず、客人をもてなすので、客人のことを知る必要があります。 客人が抽象芸術に理解がある方であれば井戸や楽など攻めた茶碗を使うことができますが、そうでない場合は天目や織部など分かりやすいものを使う必要があります。 また茶器や花瓶、掛け軸なども同様です。 あくまで、もてなすことが主題なので、自身の道具自慢になってはいけません。 が、客人を喜ばすためには自身の価値観

[理系による「アート」解説] 抽象彫刻として茶器

美術館で茶器が展示してあるものの、鑑賞の仕方が分からない方が多いのではないでしょうか。よって鑑賞の一つの方法を提示します。 結論から言うと、抽象彫刻として鑑賞すればよいです。 では何を抽象しているかというと、自然、です。 ???となりそうですが、逆に、自然を抽象として表現してください、と自身が問われた場合の解として茶器を見ると、鑑賞しやすくなります。 土と火という自然にありながら具体性がないものから、自然自体を表す造形と色を作り出す試みの結果、と自身は解釈しており、つま

[理系による「アート」解説] 風を描ける日本人

風を描いてください、とリクエストを受けた場合どうしますか? 私は、無理です、と答えざるを得ないです。 が、描ける人がいたのです! しかも日本人です! それは歌川広重です! 恐らくですが、風を描けた画家は世界的にいないのでは、と思います。 ターナーは大気を描くことはできましたが、自身の知る限り、風までは表現できていません。 で、我らが歌川広重です。 2次元ですよ、そして筆のタッチが出ない印刷ですよ。でも風を描けているのです! ポイントは左下の傘を追いかけている男性の絵で

[理系による「アート」解説] 体調により評価が揺らぐゴッホ作品

あくまで個人的な意見ですが、ゴッホ作品は体調により、感動するときもあれば、何が良いんだ?と疑問符を投げかける時があり、評価の振れ幅が非常に大きいです。 ゴッホ作品を大きく下記の3つに分類します。 -黒の時代 -アルル時代 -療養時代 で、体調が悪い(気分が落ち込んでいる)時、 -黒の時代 →ますます気分が落ち込みます。 -アルル時代 →おぉ、スゲー、と感動します。 -療養時代 →おぉ、スゲー、と感動しますが、ますます気分が落ち込みます。 体調が良い(気分が良い)時、 -

[理系による「アート」解説] "民藝運動"とポロックの共通点

"民藝運動"とは、アーティストのよる芸術ではなく、一般市民による一般市民ために創出された品に美を発見する試み、と柳宗悦が定義したと記憶しています。 一般市民から創出された芸術、ですが、見出し画像にあるような皿は、アーティストではなく、普通の職人さんによる一般消費者向けの品と推測されるが、そこに美を感じる。特に、渦の勢いが美しい。そこに美しく描こうという意図は全くない、が、逆にその邪念がないことがフォルムとして美しくたらしめている、といった意図です。 上記は、新しい美の発見

[理系による「アート」解説] サグラダファミリアでガウディが表現したかったこと

#少し性的な表現になりますので、不快な方はご注意ください。 結論からいうと、生命誕生の過程の体験、となります。 まず、サグラダファミリアの門の造形ですが、女性器を連想させる。 ↓ つまり、門から中に入る我々は精子となる。 ↓ となると、教会内部は子宮。#教会内部は妙に有機的装飾。 ↓ で、その中を精子が動き周り、卵子を探す。 ↓ 卵子自体がどこに表現されているかはわからないないのですが(もしかして、サグラダファミリアはまだ完成していないので、これから作成!?)、例えば塔の

[理系による「アート」解説] ダビデ像と中宮寺半跏思惟像の共通点

"パーフェクト"を、これ以上何も加える余地がないこと、とここでは定義する。 西洋の美における"パーフェクト"は何であるか?、という問いに関してはダビデ像と答える。学生時代、世界の美を巡る旅をしていた時に一度見たが、"パーフェクト"以外の適切な表現が見つからなかった。 では、 東洋の美における"パーフェクト"は何であるか?、という問いに関しては中宮寺半跏思惟像と答える。学生時代、日本の美を巡る旅をしていた時に何度も見たが、"パーフェクト"以外の適切な表現が見つからなかった。

[理系による「アート」解説] ピカソとキュビズム

ピカソの絵、時代ごとに作風が異なるがキュビズムと言われるまるで子供が描いたような絵が有名だろう。 理系で数学好きの自身にとってキュビズムはとても面白い。 具体的に、 絵画自体は2次元である。当たり前である。では2次元空間で3次元を表現するには? その手法に遠近法がある。遠くのものは小さく、近いものは大きく描く手法である。では、これ以外に2次元空間で3次元を表現する方法はないものであろうか?に答える手法として"キュビズム"を捉えるとピカソの絵が鑑賞しやすくなる。 キュビ