DiorのCMで感じた進化
DiorのCMと聞いて思い浮かぶものはあるだろうか?
私は香水(Miss Dior)のCMをパッと思いつく。車を運転する女性(ナタリーポートマン)が曲に合わせて叫んでいる印象が強い。
BGMはJanis JoplinのCry Babyでお花畑や海などの背景に合わせ、フレッシュでエネルギッシュな女性に似合う香水だ、というようなイメージが伝わってくるCM。最近放映されていると思う。
しかしながら、MISS DIOR EXHIBITION Stories of a Missで歴代CMも見る機会があり、ブランドの方針は勿論、世の中の女性感についての変化が読み取れた。
Cry Babyの1つ前だと思う。CMの曲はSiaのChandelierだったのも記憶に新しい。
CMで使われる前に既にヒットした曲を敢えて使うところに歌詞などから強いメッセージを伝えたい意思を感じるものだった。
Chandelierといえば結構ダークな曲だ。
現実に対してネガティブな主人公が、一時的にでもハッピーになろうと、羽目を外すのだが、その必死な精神状況の危うさがちょっと私的には怖い曲。
その曲をDiorが敢えて使うのは、香水が疲弊した人々にとって心の拠り所であって欲しいという気持ちがあるからではないかと思う。
あわよくば依存するほど好きになって欲しいという可能性もあるけれど笑
またAND YOU, WHAT WOULD YOU DO FOR LOVE?という台詞を最後に言い始めたCMのよう。愛のためにどんな犠牲を払うか、となった時に香水を買うことも入るのかな?
深い台詞だと思う。
次に、少し記憶が薄れているが、Chandelier名前にもJanis Joplinの曲が使われていたようだ。Piece Of My Heartという曲でCMは花嫁が結婚式から逃げ出して、ヘリコプターで別の恋人と何処かに行ってしまうといった壮大なハリウッドっぽい感じ。
個人的にはストーリーが少しチープと思うけれど、王道のラブストーリ感でもあって、女性心をくすぐるかもしれない。あとJanis Joplinの力強い声は逃げ出す女性の確固たる意思を表現するのに合っている気がする。
他に会場で見たCMでは、ソフィアコッポラが監督を務めた作品もあった。
さすが映画監督。数分でラブストーリーのワンシーンに一気に引き込みつつ、あくまでプロモーションとしてポップカルチャーとして作り込んでいた。
使われていた曲は官能的で発売当時、批判さえあったというJe t’aime… moi non plusで映像では兎に角、男女がイチャイチャしている感じ。でもソフィアコッポラ監督の真骨頂でずっと見ていたくなる美しさのあるCMだ。
初期の頃は、イラストがパワポスライドのように動くだけだったのでそれに比べると物凄い変化だった。がしかし、レトロな初期CMは簡単な造りなのに意外に高級感があって、それはそれで好きなデザイン。
最近CMやパッケージのリバイバルが多い気がするけれど、Diorもそのようなキャンペーンをしてみたら、昔を知らない世代に火をつけそうな気もした。
Stories of a Miss back movies